洋上風力のポテンシャル海域を再分析 新たな自然・社会条件や漁業共生を考慮

「日本の洋上風力ポテンシャル海域(第2版)」を発表

株式会社三菱総合研究所

株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下 MRI)は、5月12日、研究レポート「日本の洋上風力ポテンシャル海域(第2版) -洋上風力と漁業の未来共創につながる好循環の形成に向けて-」(以下 本レポート)を発表しました。2024年4月に発表した第1版の改訂版として、新たな自然・社会条件を考慮したポテンシャル海域を分析するとともに、漁業活動データを重ね合わせたポテンシャルマップを作成しました。

1. 背景

洋上風力は、温室効果ガスの2050年ネットゼロ実現、エネルギー・経済安全保障の確保、産業育成と経済成長に向けた重要な電力供給源です。日本で洋上風力の大量導入を実現させるためには、漁業との共生の実現が大きなポイントとなります。

MRIは、洋上風力と漁業の共生という社会課題を解決するため、両産業の対話促進に向けた基礎情報となる、洋上風力のポテンシャル海域の分析レポート※1を2024年4月に発表し、その後も分析結果の精査を続けてきました。

※1 三菱総合研究所ニュースリリース「三菱総合研究所、日本の洋上風力ポテンシャル海域に関する分析結果を発表」(2024年4月)

2. 分析結果の概要

【分析の概要】

第2版では、新たな自然条件として海底傾斜データの追加や、社会条件の一つとして船舶航行に関するデータの更新を行い、ポテンシャル海域を再分析しました※2。また、ポテンシャル海域を絞り込むための新たな切り口として、水深や離岸距離に応じた分析も行いました。さらに、沖合底びき網漁獲統計データと重ね合わせたポテンシャルマップを作成し、漁業に関するデータを集約することの重要性を提言しています。

※2 本レポートにおける分析は、全ての自然条件や社会条件、漁業等の海洋利用の実態、系統連系可否等を考慮できていないことから、実際の開発可能海域とは一致しない場合があります。また、あくまでポテンシャルを示すものであり、2050年ネットゼロ実現に向けた必要導入量を示すものではありません。

【主な分析結果】

全ポテンシャル海域

  • 全ポテンシャル海域の面積は、着床式※3 62GW、浮体式※4 2,347GW相当と推計
    (第1版の分析結果は、着床式70GW、浮体式2,396GW相当であり、大幅な増減はなし)

水深別・離岸距離別ポテンシャル海域(浮体式)

  • 浮体式のポテンシャル海域を水深別に分けると、水深500m未満:837GW、水深500m以上:1,509GW

  • さらに離岸距離100km未満に限ると、水深500m未満:310GW、水深500m以上:422GW

漁業データとの比較

  • 浮体式のポテンシャル海域と沖合底びき網漁獲統計データとを比較し、利用海域の重複を確認

  • その上で国主導による漁業に関するデータの集約と共有の必要性を提言

※3:海底に基礎を固定し、基礎の上に風車を設置する技術形式

※4:浮体構造物を係留索・アンカーで海底に固定し、浮体構造物の上に風車を設置する技術形式

三菱総合研究所作成(使用データおよび出所はレポートp.9, p.23参照)

三菱総合研究所作成(使用データおよび出所はレポートp.9, p.23参照)

3. 今後に向けて

MRIは、本レポートを、関係各所における議論や対話の入り口として活用いただくことで、洋上風力と漁業の共生実現への貢献を目指しています。今後も関係者の皆さまと議論を深めながら、洋上風力と漁業の未来共創につながる好循環の形成に向けた活動に取り組みます。

レポート全文:

日本の洋上風力ポテンシャル海域(第2版)

Potential Sea Areas for Offshore Wind in Japan (Second Edition)

本件に関するお問い合わせ先

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〒100-8141 東京都千代田区永田町二丁目10番3号

【内容に関するお問い合わせ】

  エネルギー・サステナビリティ事業本部

  メール:offshorewind@mri.co.jp

【報道機関からのお問い合わせ】

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業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区永田町2-10-3
電話番号
03-5157-2111
代表者名
籔田 健二
上場
東証プライム
資本金
63億3624万円
設立
1970年05月