居酒屋倒産が過去最多を更新
第3波で年末需要が消失、倒産ペース加速か
依然として収束の見通しの立たない新型コロナウイルスの感染拡大。例年であれば、これからのシーズンは、忘年会や新年会など宴会需要が増え、まさに書き入れ時を迎えるはずの居酒屋業界。しかし、今年は様相が一変。多人数の飲み会の自粛が続いてきたなか、ここにきて第3波が発生したことで、GoToEatキャンペーンをきっかけに年末にかけて期待されていた客足回復ムードは一気に冷え込み、倒産発生のペースが加速する可能性がある。
<調査結果(要旨)>
10月時点で過去最多を更新
月別でみると、政府より緊急事態宣言が発令された4月(23件)に最多となった。5月は、裁判所や弁護士事務所の業務の大幅縮小などの影響で減少したが、その後は高水準で発生し続けている。このままのペースで倒産が発生すると、年間で200件に達する可能性もある。
「関東」が最多
都道府県別では、「東京都」が30件で最多。以下、「大阪府」(26件)、「愛知県」(11件)、「兵庫県」(10件)、「福岡県」(9件)と続く。
負債額別 1000万~5000万円未満が8割を占める
また、2011年以降は負債50億円超の大型倒産は発生していない。
破産が94.5%を占める
また、「会社更生法」は、2009年以降発生していない。
忘年会・新年会シーズンの需要期待薄に 年末にかけ倒産ペース加速の恐れも
居酒屋業態はじめ飲食業界は、従前より人手不足問題や後継者問題、消費者の節約志向の高まりなど課題を抱えていた。また、昨年10月の消費税率の引き上げに伴う軽減税率の導入により、内食や中食の需要が高まったことや今年4月には改正健康増進法が全面的に施行されるなど、飲食店を取り巻く環境は変化の時期を迎えていた。そうしたなか、追い打ちをかけるように新型コロナウイルスの感染拡大により、営業自粛要請や営業時間短縮要請、その後も客足が回復しないなど飲食店に深刻なダメージを与えている。
政府は、持続化給付金や実質無利子・無担保融資などの支援策を打ち出し、一定の効果を発揮している。また、10月よりGoToEatキャンペーンを開始し、客足も戻りつつあるなかであったが、近時、飲食店でクラスターが発生するなど、いわゆる第3波の発生で再度新規感染者数が増加する事態となっている。政府は、飲食店でのガイドラインの見直し、強化の考えを示しており、さらなる感染拡大を防ぐための取り組みが導入されるだろう。
昨年、居酒屋経営業者の倒産件数は過去最多となったが、今年はすでに10月時点で前年を上回っている状況だ。現在、各種支援などを活用し、どうにか資金繰りを維持している企業も多いとみられる。しかし、予約サイトではGoToEatキャンペーンの予算に達したため終了する旨が相次いで発表され、改めて支援も有限であることが示された。新型コロナウイルス感染拡大の収束の見通しが立たない状況は続くが、いかに客足を戻し、売り上げ、利益を上げていくか、経営の根本的な改革が求められる。
例年であれば忘年会や新年会といった居酒屋にとってはまさに書き入れ時を迎えるはずだが、第3波の発生で利用を控える動きもより強まるだろう。年末年始需要の消失で、倒産ペースが加速する可能性もある。
- 2020年1月~10月における居酒屋経営業者の倒産は164件発生し、すでに過去最多を更新した
- 地域別でみると、「関東」が50件で最多。都道府県別では、「東京都」(30件)が最多
- 負債額別でみると、「1000万~5000万円未満」の小規模倒産が構成比80.5%(132件)を占める。また、2011年以降は負債50億円超の大型倒産は発生していない
- 態様別でみると、「破産」が155件で構成比94.5%を占める
10月時点で過去最多を更新
2020年1月~10月の居酒屋経営業者の倒産は164件発生し、過去最多となった2019年の161件を10月までに更新した。
月別でみると、政府より緊急事態宣言が発令された4月(23件)に最多となった。5月は、裁判所や弁護士事務所の業務の大幅縮小などの影響で減少したが、その後は高水準で発生し続けている。このままのペースで倒産が発生すると、年間で200件に達する可能性もある。
「関東」が最多
164件を地域別でみると、「関東」が50件(構成比30.5%)で最多となった。次いで、「近畿」(49件、同29.9%)、「中部」(22件、同13.4%)と続く。2006年以降は、「近畿」が最多となっていたが、10月時点では僅差ながらも「関東」が最多となっている。また、「関東」「北陸」「九州」では、すでに最多を更新している。
都道府県別では、「東京都」が30件で最多。以下、「大阪府」(26件)、「愛知県」(11件)、「兵庫県」(10件)、「福岡県」(9件)と続く。
負債額別 1000万~5000万円未満が8割を占める
負債額別にみると、「1000万~5000万円未満」の小規模倒産の構成比が80.5%(132件)を占める。「5000万~1億円未満」の倒産は24件(構成比14.6%)発生し、10年ぶりに20件台となった。
また、2011年以降は負債50億円超の大型倒産は発生していない。
破産が94.5%を占める
態様別にみると、「破産」が155件で全体の94.5%を占めた。2012年以降減少傾向であった「民事再生法」は7件発生しており、昨年と同数となっている。
また、「会社更生法」は、2009年以降発生していない。
忘年会・新年会シーズンの需要期待薄に 年末にかけ倒産ペース加速の恐れも
居酒屋業態はじめ飲食業界は、従前より人手不足問題や後継者問題、消費者の節約志向の高まりなど課題を抱えていた。また、昨年10月の消費税率の引き上げに伴う軽減税率の導入により、内食や中食の需要が高まったことや今年4月には改正健康増進法が全面的に施行されるなど、飲食店を取り巻く環境は変化の時期を迎えていた。そうしたなか、追い打ちをかけるように新型コロナウイルスの感染拡大により、営業自粛要請や営業時間短縮要請、その後も客足が回復しないなど飲食店に深刻なダメージを与えている。
政府は、持続化給付金や実質無利子・無担保融資などの支援策を打ち出し、一定の効果を発揮している。また、10月よりGoToEatキャンペーンを開始し、客足も戻りつつあるなかであったが、近時、飲食店でクラスターが発生するなど、いわゆる第3波の発生で再度新規感染者数が増加する事態となっている。政府は、飲食店でのガイドラインの見直し、強化の考えを示しており、さらなる感染拡大を防ぐための取り組みが導入されるだろう。
昨年、居酒屋経営業者の倒産件数は過去最多となったが、今年はすでに10月時点で前年を上回っている状況だ。現在、各種支援などを活用し、どうにか資金繰りを維持している企業も多いとみられる。しかし、予約サイトではGoToEatキャンペーンの予算に達したため終了する旨が相次いで発表され、改めて支援も有限であることが示された。新型コロナウイルス感染拡大の収束の見通しが立たない状況は続くが、いかに客足を戻し、売り上げ、利益を上げていくか、経営の根本的な改革が求められる。
例年であれば忘年会や新年会といった居酒屋にとってはまさに書き入れ時を迎えるはずだが、第3波の発生で利用を控える動きもより強まるだろう。年末年始需要の消失で、倒産ペースが加速する可能性もある。
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