総務省「新東名高速道路の一部区間における自動運転レベル4トラック実証と連携したV2N通信を用いたユースケース実証に関する検討事業」を受託
株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下 MRI)は、4月1日、総務省の「新東名高速道路の一部区間における自動運転レベル4トラック実証と連携したV2N通信を用いたユースケース実証に関する検討事業」(以下 本事業)を受託しました。本事業では、株式会社インターネットイニシアティブ(代表取締役 社長執行役員:谷脇康彦)、NTTコミュニケーションズ株式会社(代表取締役社長:小島克重)、エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ株式会社(代表取締役社長:羽生哲也、以下 MRA)、先進モビリティ株式会社(代表取締役社長:瀬川雅也)、ソフトバンク株式会社(代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川潤一)、ダイナミックマッププラットフォーム株式会社(代表取締役社長CEO:吉村修一)、株式会社T2(代表取締役CEO:森本成城)、豊田通商株式会社(取締役社長・CEO:今井斗志光)と共に、新東名高速道路の一部区間にて、自動運転走行のための携帯電話通信(V2N通信)の評価・実証実験を推進します。
1.背景・経緯
政府の「デジタルライフライン全国総合整備計画」(2024年6月)の中で、2024年度以降、新東名高速道路の一部区間(駿河湾沼津SA~浜松SA:約100km)において、関係府省庁連携で自動運転レベル4トラックの実現に向けた実証実験を実施することが決定しました。現在、新東名高速道路の一部区間での自動運転レベル4トラックの先行社会実装を目指し、自動運転レベル4に関連した多くの実証実験が行われています。
本事業の対象区間: 新東名高速道路 駿河湾沼津SA~浜松SA(約100km)

V2N通信は、携帯電話網を用いた、車両と通信ネットワークとの間で情報をやり取りする通信方式であり、自動運転の円滑な運行管理や遠隔監視等に必要となる要素となることから、有効性の評価・検討が求められています。
総務省では、V2N通信において有望とされているユースケースに関し、その有効性等について多角的に検証・評価することを方針として定め、自動運転トラック実証に向けたV2N通信に係る取り組み状況・計画を示しています。
本事業では、V2N通信の社会実装を見据えた、有効性の検証・評価を行うとともに、V2N通信の信頼性確保やコスト等に関する検討を行うため、V2N通信を用いたサービスの実証実験を新東名高速道路の一部区間で実施します。
2.本事業の概要・各社の役割
(1)本事業の概要
①V2N通信の通信品質改善方策評価
昨年度の総務省 令和6年度「新東名高速道路の一部区間における自動運転レベル4トラック実証と連携したV2N通信環境に関する調査検討」において測定した新東名高速道路の通信環境の課題を踏まえて、通信品質改善方策を設定、適用し、新東名高速道路および東北自動車道の一部区間において実測による無線区間の通信品質の実力値評価を実施する予定です。常時接続性や通信安定性、冗長性等の観点から各施策の有効性を評価・検討します。
②V2N通信を用いたサービスの実証実験
新東名高速道路の一部区間を走行する自動運転車両に対して、V2N通信を用いたサービスである「先読み情報(※1)の提供」および「車両の遠隔監視(※2)」を提供する実証実験を行います。この実証実験は、関連する省庁の取り組みと連携して実施する予定です。
※1 先読み情報とは、車両が走行予定の箇所の道路状況や交通イベント情報のこと
※2 遠隔監視とは、車両の運行状態を遠隔地からリアルタイムでモニタリングし、異常時には適切な対応を支援するシステムのこと
(2)MRI・MRAの事業領域・役割
中央省庁や自動車OEM等の自動運転関連企業に対する、自動運転を支えるインフラ(データ連携基盤、コネクティッドシステム)の政策・戦略立案や、技術開発コンサルティングにおいて豊富な実績を有しています。これまでの知見・ノウハウを活かし、実証実験の計画立案・関係府省庁とのコミュニケーションを担うとともに、多様な見地から下記パートナーをとりまとめ、実証実験を円滑に推進する役割を担います。
(3)株式会社インターネットイニシアティブの事業領域・役割
IT・ネットワーク業界をリードするなかで培われた、ネットワーク・クラウド・セキュリティ・モバイル・IoTの技術をもとに、国内外企業や個人ユーザーに対して、ITサービスとシステムインテグレーションを展開しています。
本実証実験では、V2N通信の通信品質改善方策評価およびV2N通信を用いた「先読み情報の提供」の実証システムの構築・評価における、通信品質改善方策「マルチプロファイルSIM」を提供します。
(4)NTTコミュニケーションズ株式会社の事業領域・役割
通信事業者ならではの高品質なインフラと技術を活かし、ネットワーク、クラウド、コロケーション、アプリケーション、セキュリティなどの多岐にわたるICTサービスを展開しています。
本実証実験では、V2N通信の通信品質改善方策評価およびV2N通信を用いた「先読み情報の提供」の実証システムの構築・評価における、通信品質改善方策「パケット優先制御(5Gワイド)」を提供します。また、V2N通信を用いた「遠隔監視」の実証システムの構築・評価における、通信品質改善方策「Cradio」の提供、遠隔監視ソリューションの提供等、実証システムの構築を実施します。
(5)先進モビリティ株式会社の事業領域・役割
東京大学生産技術研究所の次世代モビリティ連携研究センターの技術を基礎に、バス、トラックなどの大型車両の自動運転技術の事業化による社会貢献を目指すベンチャー企業です。
本実証実験では、車両の運行に関わる業務全般を担い、遠隔監視アプリケーションの有効性等について評価を行います。
(6)ソフトバンク株式会社の事業領域・役割
スマートフォンを中心とした魅力的なサービスや5Gネットワークで通信事業を強化するとともに、最新テクノロジーを活用しながら革新的な新規事業を創出し、さらなる成長を目指しています。
本実証実験では、V2N通信の通信品質改善方策評価において、2回線のモバイル回線を使用して信頼性の高いネットワークを実現する法人向けサービス「Twinアクセス」(※3)を提供します。
※3 「Twinアクセス」は、事業所など拠点向けのアクセス回線サービスとして提供しているものです。実証実験では、例外的に、通常とは異なる用途で提供します。
(7)ダイナミックマッププラットフォーム株式会社の事業領域・役割
高精度3次元地図データの生成・提供を強みとして自動運転や先進運転支援システム(ADAS)向けのソリューションを中心に、インフラ管理やエンタメ、物流、防災など多様な産業分野に向けた3Dデータビジネスを展開しています。
本実証実験では、V2N通信を用いた「先読み情報の提供」の実証システムの構築及び実証システムの評価を行い、実証の通信環境下で先読み情報を自動運転に必要なサービスレベルで送信できるかを検証します。
(8)株式会社T2の事業領域・役割
自動運転レベル4のトラックを開発し、自ら運送業者として、2027年に幹線輸送サービスの実現を目指しています。
本実証実験では、自動運転トラックを拠出・走行し、V2N通信を用いたサービス(先読み情報提供)の有効性を、自動運転システムを構築する立場で評価します。
(9)豊田通商株式会社の事業領域・役割
自動車、エネルギー、機械、金属、情報通信等、多種多様なビジネスをグローバルに展開しています。
本実証実験では、RoAD to the L4テーマ3事務局として培った知見を活かし、遠隔監視に関するアプリケーションの評価を行うとともに、遠隔監視実証実験の計画策定/進捗管理を担います。
3.今後の展望
本事業で得られた、V2N通信の有効性評価・検証結果及び、V2N通信を用いたサービスの実証実験結果は、国や携帯電話事業者におけるV2N通信の品質向上等のための施策に活用されることが期待されます。引き続き、自動運転車を支える通信環境の構築や、システム構築の支援を引き続き担うことで、自動運転車が安全・安心に走行できる社会を目指していきます。
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本件に関するお問い合わせ先
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株式会社三菱総合研究所
〒100-8141 東京都千代田区永田町二丁目10番3号
【内容に関するお問い合わせ】
モビリティ・通信事業本部 宮下、愛甲、鈴木、稲田、荻田
メール: v2nv2x-support@ml.mri.co.jp
【報道機関からのお問い合わせ】
グループ広報部
メール:media@mri.co.jp
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