慶應義塾大学、日本調剤株式会社 共催セミナー「病院経営戦略における医薬品マネジメント ~フォーミュラリーの可能性と経営戦略~」
日本調剤株式会社ニュースレター
全国47都道府県で調剤薬局を展開する日本調剤株式会社(本社所在地:東京都千代田区丸の内、代表取締役社長:三津原 庸介、以下「日本調剤」)は、慶應義塾大学との共催セミナー「病院経営戦略における医薬品マネジメント~フォーミュラリーの可能性と経営戦略~」を5月21日に開催いたしました。
近年、病院経営を取り巻く環境が厳しさを増す中、医療機関にはコストを抑制しながら質の高い医療を提供するだけでなく、医療職の働き方改革の推進が求められています。本セミナーでは、病院経営における医薬品マネジメントと、それを後押しするフォーミュラリーに焦点を当て、各分野の第一人者の先生に病院経営、医療経済の観点からそれぞれご講演いただくとともに、当社取締役FINDAT事業部長 増原 慶壮からフォーミュラリーを支援する医薬品情報WEBプラットフォームFINDATについて発表いたしました。
また、ミニシンポジウム「病院経営における医薬品マネジメントの重要性」では、病院経営の効率化、安定化と持続可能な日本の社会保障制度に向けた医薬品マネジメントのあり方やフォーミュラリーの可能性について活発な意見交換が行われました。本ニュースレターでは、その一部をご紹介いたします。
■当日のセミナー動画はこちら:https://info.findat.jp/newstopics/p1195/
ミニシンポジウム冒頭、裵氏からの「病院経営の中で医薬品をどうとらえていくのか」という投げかけに対し、早くから独自の院内フォーミュラリーを導入している大坪氏は「DPC方式が導入された医療機関において、医薬品の公定価格と仕入れ価格との差分による薬価差益が少なくなる中、効果が同じであれば経済性を考慮したジェネリック医薬品を選択するなど薬剤費を抑えること、また欧米で普及しているフォーミュラリーを導入することが経営の安定化の一つの鍵になる」と述べられました。また、同院のフォーミュラリー作成をリードした当社増原によると、フォーミュラリーを導入することで、エビデンスに基づいた医薬品の整理が進み、結果、過剰在庫が抑えられ、在庫管理の手間の低減、業務の効率化にもつながることがわかっています。
超高齢社会の進展により、2015年度以降概算医療費が40兆円*を超え続ける中、医療者自らが医薬品使用の適正化を進めることが期待されています。増原は聖マリアンナ医科大学病院在任中、採用薬の有効性・安全性のエビデンスを示すだけでなく、薬剤費の削減効果と病院収益に与える影響を数値化し、フォーミュラリー導入に向け必要な体制を構築した経験から、「理想論だけでは難しい。薬剤部長も経営者の一人なので、やりたいことを実現するためには、一つひとつのデータの積み重ねによる裏付けが必要」と述べました。これを受け裵氏は、「医療職は検査データに基づき患者さんを診断するのでデータ分析の素養がある。100億円の売上のある病院の薬剤部長は10億円の数字の責任を負っているので、病院経営の面でもその視点を応用してほしい」と今後の薬剤師への期待を述べられました。
■病院経営における「バリューベース・プライシング」に基づいた価値の再定義が必要
近年欧米では、原価に利益を乗せて価格を設定するコストベース・プライシングだけではなく、付加価値から価格を設定するバリューベース・プライシングの考え方が導入されています。赤沢氏は、「医療経済評価の中でも高い、安いといった単純な価格評価だけではなく、患者満足度やPRO(Patient Reported Outcome)、さらには社会的影響を考慮することが必要になる」と強調しました。また、内視鏡手術支援ロボットを複数導入した海外の医療機関の事例を挙げ「業務効率だけで見れば不要かもしれないが、複数台導入したことで世界から注目される施設となり、優秀な研修医の誘致やレピュテーション向上に寄与したため、投資額以上のリターンがあった。病院経営全体の価値を再定義し、投資のメリハリをつけ、さらにそれらをエビデンスに基づいて評価できるようになることが理想」と述べられました。裵氏からも「経済的価値と非経済的価値の両面から中長期的な病院ブランディングを見据えた投資判断が必要になるだろう」との見解がありました。
■院内フォーミュラリー導入に向けた経営層と現場の協働は医療従事者のタスクシェアにも寄与
2015年以降、厚生労働省が掲げる「患者のための薬局ビジョン」により、薬剤師業務の対物から対人中心への転換が推進され、2022年度の調剤報酬改定の中でも薬剤師の対人業務への評価が拡充されました。また、少子超高齢化による労働人口の減少を見据え、規制改革推進会議の中でも医療従事者のタスクシフト、タスクシェアが議論されています。このような中、大坪氏は、「当院ではフォーミュラリー導入に向けた体制構築に向けて、エビデンスに基づいた処方提案を行うための教育や薬剤師の病棟配置を行っていたため、薬剤師の対物から対人業務へのシフトは早くから実践されていた。対人の「人」は患者さんだけでなく医師や他の医療職も含まれるため、薬剤師が病棟で薬物治療にあたってくれることは医師にとっても大きな助けになる」と述べられました。また、フォーミュラリー導入に向けた成功要因については、「当初医師の反発もあったが、チーム医療を通じてコミュニケーションが増えることで良好な関係が構築できたこと、また病院の執行部がフォーミュラリー導入を強く支える意思表示をし、少しの反対意見では揺るがないものにすることも大切」と強調されました。
■地域フォーミュラリーの導入に向けた3つのポイント
日本の医療政策において地域包括ケア、地域医療構想など、「地域」を中心とした軸での改革が進む中、裵氏から、「病院単体ではなく、地域という面で医療を捉えていく必要がある中、地域全体で共有する地域フォーミュラリーの果たす役割とは」という投げかけに対し、各氏から3つの示唆をいただきました。
日本調剤では、社会や医療環境の変化に伴い、調剤薬局・薬剤師の役割が多様化する中、DI業務の負担を軽減し医療従事者のタスクシェアを通じたチーム医療の充実、フォーミュラリーの作成をサポートし、患者さまの標準薬物治療の推進と持続可能な社会保障制度への貢献を目指します。
*厚生労働省 令和3年8月公表資料「令和2年度 医療費の動向」より引用
<FINDATについて> https://info.findat.jp/
FINDAT(ファインダット)は、医療従事者のための医薬品情報WEBプラットフォームです。様々なデータソースや、国内外の各種ガイドラインやグローバルで信頼性の高い有料の二次情報データベースなどから網羅的に収集した医薬品情報を中立的に評価し、WEB上でご提供するサービスです。
FINDATとは、“FIND(見つける)”+“ATLAS(地図)”を組み合わせた造語で、「医療の道標になるように」という願いが込められています。※FINDATは日本調剤株式会社の登録商標です。
<日本調剤株式会社について> https://www.nicho.co.jp/
1980年の創業以来、一貫して国の健康保険制度を支える調剤薬局のあるべき機能・役割を全うすべく「医薬分業」を追求し、調剤薬局展開を積極的に行っています。現在では、全都道府県に調剤薬局を展開し約4,000名の薬剤師を有する、日本を代表する調剤薬局企業として評価を得ています。また、ジェネリック医薬品の普及や在宅医療への取り組みだけでなく、早くからICT投資を積極的に進めており、超高齢社会に必要とされる良質で革新的な医療サービスの提供を行ってまいります。
また、ミニシンポジウム「病院経営における医薬品マネジメントの重要性」では、病院経営の効率化、安定化と持続可能な日本の社会保障制度に向けた医薬品マネジメントのあり方やフォーミュラリーの可能性について活発な意見交換が行われました。本ニュースレターでは、その一部をご紹介いたします。
■当日のセミナー動画はこちら:https://info.findat.jp/newstopics/p1195/
■病院経営の中で10-20%を占める薬剤費は、在庫管理、人材配置などを含め複合的な検討が必要
ミニシンポジウム冒頭、裵氏からの「病院経営の中で医薬品をどうとらえていくのか」という投げかけに対し、早くから独自の院内フォーミュラリーを導入している大坪氏は「DPC方式が導入された医療機関において、医薬品の公定価格と仕入れ価格との差分による薬価差益が少なくなる中、効果が同じであれば経済性を考慮したジェネリック医薬品を選択するなど薬剤費を抑えること、また欧米で普及しているフォーミュラリーを導入することが経営の安定化の一つの鍵になる」と述べられました。また、同院のフォーミュラリー作成をリードした当社増原によると、フォーミュラリーを導入することで、エビデンスに基づいた医薬品の整理が進み、結果、過剰在庫が抑えられ、在庫管理の手間の低減、業務の効率化にもつながることがわかっています。
■これからの薬剤師は、エビデンスに基づいた処方提案と同様、エビデンスに基づいたコスト管理が必要
超高齢社会の進展により、2015年度以降概算医療費が40兆円*を超え続ける中、医療者自らが医薬品使用の適正化を進めることが期待されています。増原は聖マリアンナ医科大学病院在任中、採用薬の有効性・安全性のエビデンスを示すだけでなく、薬剤費の削減効果と病院収益に与える影響を数値化し、フォーミュラリー導入に向け必要な体制を構築した経験から、「理想論だけでは難しい。薬剤部長も経営者の一人なので、やりたいことを実現するためには、一つひとつのデータの積み重ねによる裏付けが必要」と述べました。これを受け裵氏は、「医療職は検査データに基づき患者さんを診断するのでデータ分析の素養がある。100億円の売上のある病院の薬剤部長は10億円の数字の責任を負っているので、病院経営の面でもその視点を応用してほしい」と今後の薬剤師への期待を述べられました。
■病院経営における「バリューベース・プライシング」に基づいた価値の再定義が必要
近年欧米では、原価に利益を乗せて価格を設定するコストベース・プライシングだけではなく、付加価値から価格を設定するバリューベース・プライシングの考え方が導入されています。赤沢氏は、「医療経済評価の中でも高い、安いといった単純な価格評価だけではなく、患者満足度やPRO(Patient Reported Outcome)、さらには社会的影響を考慮することが必要になる」と強調しました。また、内視鏡手術支援ロボットを複数導入した海外の医療機関の事例を挙げ「業務効率だけで見れば不要かもしれないが、複数台導入したことで世界から注目される施設となり、優秀な研修医の誘致やレピュテーション向上に寄与したため、投資額以上のリターンがあった。病院経営全体の価値を再定義し、投資のメリハリをつけ、さらにそれらをエビデンスに基づいて評価できるようになることが理想」と述べられました。裵氏からも「経済的価値と非経済的価値の両面から中長期的な病院ブランディングを見据えた投資判断が必要になるだろう」との見解がありました。
■院内フォーミュラリー導入に向けた経営層と現場の協働は医療従事者のタスクシェアにも寄与
2015年以降、厚生労働省が掲げる「患者のための薬局ビジョン」により、薬剤師業務の対物から対人中心への転換が推進され、2022年度の調剤報酬改定の中でも薬剤師の対人業務への評価が拡充されました。また、少子超高齢化による労働人口の減少を見据え、規制改革推進会議の中でも医療従事者のタスクシフト、タスクシェアが議論されています。このような中、大坪氏は、「当院ではフォーミュラリー導入に向けた体制構築に向けて、エビデンスに基づいた処方提案を行うための教育や薬剤師の病棟配置を行っていたため、薬剤師の対物から対人業務へのシフトは早くから実践されていた。対人の「人」は患者さんだけでなく医師や他の医療職も含まれるため、薬剤師が病棟で薬物治療にあたってくれることは医師にとっても大きな助けになる」と述べられました。また、フォーミュラリー導入に向けた成功要因については、「当初医師の反発もあったが、チーム医療を通じてコミュニケーションが増えることで良好な関係が構築できたこと、また病院の執行部がフォーミュラリー導入を強く支える意思表示をし、少しの反対意見では揺るがないものにすることも大切」と強調されました。
■地域フォーミュラリーの導入に向けた3つのポイント
日本の医療政策において地域包括ケア、地域医療構想など、「地域」を中心とした軸での改革が進む中、裵氏から、「病院単体ではなく、地域という面で医療を捉えていく必要がある中、地域全体で共有する地域フォーミュラリーの果たす役割とは」という投げかけに対し、各氏から3つの示唆をいただきました。
最後に「日本の病院経営、地域医療は、予算制約の中で今後厳しさを増す。官民一体の改革、働き方改革、医療改革に加え、新型コロナウイルスのような外的要因も加わり、これまでの延長線上の考え方や、やり方では立ち行かなくなる中、私たちはフォーミュラリーという大きな武器を得た。医療の標準化、ひいては患者さんの笑顔のためにフォーミュラリーの展開を考えていきたい」と裵氏は締めくくりました。
日本調剤では、社会や医療環境の変化に伴い、調剤薬局・薬剤師の役割が多様化する中、DI業務の負担を軽減し医療従事者のタスクシェアを通じたチーム医療の充実、フォーミュラリーの作成をサポートし、患者さまの標準薬物治療の推進と持続可能な社会保障制度への貢献を目指します。
*厚生労働省 令和3年8月公表資料「令和2年度 医療費の動向」より引用
<FINDATについて> https://info.findat.jp/
FINDAT(ファインダット)は、医療従事者のための医薬品情報WEBプラットフォームです。様々なデータソースや、国内外の各種ガイドラインやグローバルで信頼性の高い有料の二次情報データベースなどから網羅的に収集した医薬品情報を中立的に評価し、WEB上でご提供するサービスです。
FINDATとは、“FIND(見つける)”+“ATLAS(地図)”を組み合わせた造語で、「医療の道標になるように」という願いが込められています。※FINDATは日本調剤株式会社の登録商標です。
<日本調剤株式会社について> https://www.nicho.co.jp/
1980年の創業以来、一貫して国の健康保険制度を支える調剤薬局のあるべき機能・役割を全うすべく「医薬分業」を追求し、調剤薬局展開を積極的に行っています。現在では、全都道府県に調剤薬局を展開し約4,000名の薬剤師を有する、日本を代表する調剤薬局企業として評価を得ています。また、ジェネリック医薬品の普及や在宅医療への取り組みだけでなく、早くからICT投資を積極的に進めており、超高齢社会に必要とされる良質で革新的な医療サービスの提供を行ってまいります。
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