心因性ホルモンのオキシトシンとコルチゾールは各受容体を介して真皮ヒアルロン酸に影響を及ぼすことを発見

株式会社シーボン

2025年11月25日 13時00分

　株式会社シーボン（本社：東京都港区､代表取締役社長：崎山一弘､証券コード4926）は､心理状態によって肌状態が変化する事象について研究を進めています。今回､私たちの研究グループは､真皮線維芽細胞においてオキシトシン※1とコルチゾール※2がそれぞれの受容体を介し、ヒアルロン酸合成酵素であるHAS2の遺伝子発現量を制御したことを確認しました。

　本研究成果の一部を､2025年11月3日～5日に開催された第98回日本生化学会大会において発表しましたので、ご報告いたします。

※1 ：心因性ホルモン。幸せホルモンとも呼ばれ、スキンシップやマッサージなどにより血中濃度が上昇する

※2 ：心因性ホルモン。ストレスホルモンとも呼ばれ、過度なストレスに反応して血中濃度が上昇する

研究の背景

　脳と皮膚は起源が同じであることから（皮脳同根）、心と皮膚には密接な繋がりがあると言われています。

シーボンでは、心理状態が皮膚の状態に影響を与えているという考えをもとに、肌と心を科学することで素肌が持つ本来の美しさの可能性を引き出すことを目指し、心因性ホルモンと肌との関連性を研究しています。今回の研究では､心理状態に応じて分泌されるホルモンであるオキシトシンとコルチゾールを介したヒアルロン酸制御に着目し、各受容体が化粧品素材のターゲットとなる可能性を見出しました。

方法

　線維芽細胞にオキシトシン単体またはオキシトシン受容体阻害剤と共作用、コルチゾール単体またはグルココルチコイド受容体阻害剤と共作用した場合のHAS2遺伝子発現量変化と培養上清中のヒアルロン酸濃度を評価しました。

研究結果とその後の展望　　　

　HAS2遺伝子発現は、オキシトシン単作用によって増加し、オキシトシン受容体阻害剤と共作用したことにより減少しました。また、コルチゾール単作用ではHAS2の遺伝子発現量が減少しましたが、グルココルチコイド受容体阻害剤との共作用により増加したことが確認できました(図１)。　以上の結果より、オキシトシンとコルチゾールは真皮線維芽細胞において、受容体を介してヒアルロン酸合成酵素の働きを調節している可能性が示唆されました(図２)。