【ロロ・ピアーナ】 モンゴル・ウランバートルで開催のUNCCD COP17に参加
モンゴルの草原とカシミヤの生態系をサポートするプロジェクト”Resilient Threads(レジリエント・スレッド)”の取り組みを開始してから1周年

LVMHグループのメゾンであるロロ・ピアーナは、国連支援のもと隔年で開催される、UNCCD(国連砂漠化対処条約)COP17(締約国会議)への参加を発表しました。同会議は、砂漠化、土地の劣化、干ばつといった相互に関連する課題に対する解決策を提案・構築するために設立されたものです。モンゴルのウランバートルで8月17日から28日まで開催されるUNCCD COP17では、乾燥地における人々の生計、食料安全保障、そして生態系を保護する取り組みを含め、土地の再生に向けた優先課題に国際的な焦点を当てます。
LVMHの参加の一環として、ロロ・ピアーナは”Resilient Threads(レジリエント・スレッド)”プロジェクトを発表します。これは2025年に同メゾンが立ち上げた複数年にわたるプログラムであり、脆弱な環境にあるスフバートル区のレジリエンス(回復力)を高めると同時に、地域の生物多様性とカシミヤ生態系の未来を強化することで、モンゴルのカシミヤ協同組合、遊牧民のコミュニティ、そしてモンゴルの草原を支援するものです。
気候変動と異常気象がもたらす複合的な負荷に対応して策定された本プログラムは、人、動物、環境の福祉と健康を相互に関連するものとしてとらえる、包括的な「ワンヘルス」アプローチを採用しています。初年度には、ステップ(草原)地域およびカシミヤ生産に関わる生態系の強化に向け、ワンヘルス関連の活動、生物多様性センターの設立、「ゾド(厳冬・大雪災害)」の影響に関する報告書の作成、そしてバヤンデルゲル種赤ヤギの保全プログラムといった主要な取り組みが実施されました。
「ワンヘルス」の取り組み
本プロジェクトの初年度には、計画された様々なサービスを結びつける拠点となる「ワンヘルス・ネットワーク」が立ち上げられました。さらに、専門的な研修プログラムを通じて、18の分野から30名の専門家がワンヘルス・アプローチに関する訓練を受け、10ヶ月にわたる研修を経て、王立獣医科大学(RVC)およびリエージュ大学から認定を取得しました。今年度、スフバートル・ソム(郡)では、多分野の専門家チームを結集させた初の移動式ワンヘルスハブが試験的に実施されました。このハブは3日間にわたり運営され、約75名の牧畜民を支援しました。特筆すべき点は、本ハブが、人の健康診断・カウンセリング・包括的な治療と、獣医療の相談・検査、さらには羊毛の刈り取りに関するトレーニングを組み合わせた、統合的なユニットとして運営されたことです。
モンゴル生命科学大学(MULS)では、王立獣医科大学およびリエージュ大学との連携により、先駆的な「ワンヘルス・マスタークラス」が現在開発されており、今秋にはパイロット版が実施される予定です。本プログラムには、生物多様性、健康、そして生態系に対する包括的な理解を次世代に習得させるための厳選されたトレーニングが盛り込まれています。
生物多様性の保全
本年度、スフバートル区の玄関口に「ムンクハーン生物多様性センター」が開設され、同プロジェクトにおける生物多様性および放牧地保全の取り組みの拠点となりました。同センターは、生物多様性や放牧地の保全・再生に向けた活動の中核を担います。具体的には、実践的なデモンストレーション、種子販売や植物生産を通じた市場ベースのインセンティブ提供、伝統的な環境知見の普及、乳製品の販売拠点としての機能、学校訪問などが含まれます。
ゾドと呼ばれる、動物や人間の健康、そして生物多様性に甚大な被害をもたらす厳しい寒波は、モンゴル東部草原地帯の全体的なレジリエンスを損なう要因となっています。2025年、モンゴルにおいて極端気象現象がワンヘルスの視点から初めて詳細に分析・評価され、その知見や提言は、地域および国レベルの気候リスク対策政策にすでに反映されています。この「ゾド影響評価報告書」は、適応策を実践することの極めて重要な意義を強調しています。具体的には、健康や気候変動に伴うリスクに立ち向かうために必要な知識や最善の対策を遊牧民の各家庭が身につけることが求められます。こうした対策には、家畜への定期的なワクチン接種や駆虫、家畜用シェルターの維持・補強、医療サービスの利用、女性の健康に関する研修への参加、そして放牧地管理のための季節的な家畜の移動などが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
バヤンデルゲル・レッド・ゴートの再生
バヤンデルゲル・レッド・ゴートは、モンゴル国内でも最高品質の天然ライトグレー・カシミヤを産出する、強靭で固有の品種であり、国の貴重な資産として認められています。しかし、2023年から2024年にかけて発生したゾドにより、この貴重な品種は存続の危機に瀕しました。バヤンデルゲル・ソム(郡)では飼育ヤギの約45%が失われ、そのうちの約80%がバヤンデルゲル・レッド・ゴートであったためです。この事態は、品種の存続のみならず、このヤギに生計を依存する1,000戸以上の遊牧民世帯の生活をも脅かすものでした。本プロジェクトは、人工授精による繁殖群の回復を図るとともに、カシミヤの品質と生産性を向上させ、遊牧民の所得増大とレジリエンスの強化を目指すものです。この取り組みにおいて遊牧民は重要な役割を担い、繁殖管理、家畜の健康管理、そして回復力強化に向けた地域能力の向上に貢献しています。初年度となる本年には、この活動の成果として650頭を超える新たな子ヤギが誕生しました。
ロロ・ピアーナにとって、世界最高品質の原材料を調達することは、不可欠であるだけでなく、戦略的な最優先事項でもあります。そのため、メゾンは連携する地域やコミュニティに対して多大な投資を行っています。
ロロ・ピアーナは、ペルー、モンゴル、ニュージーランドなど世界各地の調達パートナーと緊密に協力し、現地の能力強化や高品質なサプライチェーンの継続的な維持を支援するための長期的な取り組みを行っています。原材料の生産に携わる人々の生活の安定と幸福こそが事業の強靭さの基盤となるため、こうしたパートナーシップはメゾンの事業運営において不可欠なものなのです。
SFAについて
2015年に設立されたSFAは、非営利の基準策定・会員制組織です。同組織は、人、動物、環境の健康と福祉を守る、責任ある包括的な世界の天然繊維セクターの実現を目指し、サプライチェーンに関わる事業者、ステークホルダー、業界の専門家からなるグローバルな連携を推進しています。サプライチェーン全体に働きかけながら、SFAはモンゴルや中国の牧畜民と、世界のファッション業界におけるブランドや小売業者とをつないでいます。SFAの「アニマル・ファイバー・スタンダード(動物繊維基準)」は、責任あるカシミヤ生産のための5つの世界的原則(効果的な管理、ディーセント・ワーク、生物多様性と土地利用、動物福祉、繊維品質の向上)を定めています。
OCTについて
Odyssey Conservation Trust(OCT)は、世界中で「ワンヘルス(One Health)」の実践に取り組む国際的な組織です。生物多様性の喪失や気候変動の最前線において、ジェンダーに配慮したワンヘルス・アプローチを用い、生態系の保護と地域社会のエンパワーメント(主体性の強化)を推進しています。20年以上にわたる国際的な経験を活かし、人間、動物、環境の健康を相互に関連づける統合的なワンヘルス・ソリューションを提供しています。その活動は4つの大陸に及び、科学的イノベーションと伝統的知識を融合させることで、生物多様性の再生を図るとともに、地域社会や先住民族、とりわけ女性によるリーダーシップを支援しています。ワンヘルス・ソリューションや研修プログラムの開発に向けたパートナーシップを通じて、最も脆弱な立場にある人々のレジリエンスを高め、共同の行動を促進しています。現場で実証された同組織の「One Health in Action(実践されるワンヘルス)」モデルは、再現性が高く、大きなインパクトをもたらす持続可能なアプローチとして高く評価されています。
UNCCDについて
国連砂漠化対処条約(UNCCD)は、土地問題に関する唯一の法的拘束力を持つ国際協定です。本条約は、土地の適切な管理・保全を推進するものです。195の締約国は、パートナーシップを通じて条約の実施と、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指しています。その究極の目的は、過剰利用や干ばつから土地を守り、食料・水・エネルギーを将来にわたって供給し続けられるようにすることにあります。現在および将来にわたり、土地を持続可能な形で管理し、土地の劣化の中立性(Land Degradation Nuetrality)の達成に取り組むことで、気候変動の影響を軽減し、天然資源をめぐる紛争を回避するとともに、地域社会の繁栄に貢献します。
ロロ・ピアーナについて
1924年、ピエトロ・ロロ・ピアーナがイタリア・ピエモンテ州クアローナに「Ing. Loro Piana & C.」を設立して以来、メゾンは常に卓越性を追求し続けてきました。1950年代には、ピュアカシミヤやエクストラファインウールといった最高品質の天然繊維をファブリックへと昇華させることに尽力し、1980年代から1990年代初頭にかけては、初の製品(完成品)の製造を開始しました。ロロ・ピアーナは、長きにわたる伝統と、革新や最先端技術を巧みに融合させることで、その品質と比類なき手触りで知られる製品を生み出しています。それらは独自のヘリテージと「メイド・イン・イタリー」の芸術性が調和した証と言えるでしょう。
今日、ロロ・ピアーナ・ファミリーが6世代にわたり育んできた卓越した職人技の伝統を継承し、その貴重なノウハウを次世代へとつなぐことに尽力しています。同メゾンのコレクションは、タイムレスで控えめなエレガンスとラグジュアリーを体現しています。ロロ・ピアーナは2013年よりLVMHグループの一員となっています。
「レジリエント・スレッド」は、責任ある調達と生態系の積極的な保護を推進する、LVMHグループの環境戦略であるLIFE 360と完全に連携しています。グループとそのメゾンは、森林破壊や砂漠化のリスクがある地域での調達を回避し、2030年までに500万ヘクタールの自然生息地を回復することに取り組んでいます。本プロジェクトは、これらのコミットメントを具体的に表現したものであり、パートナーシップに基づいて構築され、現場で実施されます。
ロロ・ピアーナとモンゴル
40年以上にわたり、ロロ・ピアーナはモンゴルの貴重なカシミヤの調達に尽力し、カシミヤの卓越性を追求するパイオニアとしての地位を確立してきました。メゾンの歴史は、好奇心と献身の物語であり、一針一針に縫い込まれ、すべての繊維に織り込まれています。伝統と革新の狭間に位置するカシミヤは、雲のような柔らかな手触りや、遠い国々の魅惑的な物語を想起させ、常にメゾンが揺るぎない品質を追求する象徴であり続けてきました。何十年にもわたり、ロロ・ピアーナは最高品質のカシミヤを追い求め、その探求は、まさに一つの旅そのものとなっています。比喩的な意味において、この旅は、敬意、好奇心、そして情熱に支えられた、文化的、感覚的、そして触覚的な発見の旅です。現実には、業界の真の先駆者であるセルジオとピエール・ルイジ・ロロ・ピアーナが、1980年代にこの旅に確固たる信念を加えました。それは、遊牧民、当局、そして現地のパートナーとの協働を通じて、永続的な卓越性を実現できるという信念です。
モンゴルのウランバートルでは、メゾンはイタリア国外で唯一の紡績工場を運営し、カシミヤ繊維の加工を行っているほか、現地の協同組合と長期的な関係を築き、熟練した牧畜民と協力することで、何世紀にもわたる繊維調達という伝統の継承と保存に努めています。
ロロ・ピアーナは2019年以来、責任あるカシミヤ・サプライチェーンのための認証プロトコルの策定に積極的に取り組んできました。同メゾンは、国際動物福祉協力委員会(ICCAW)およびサステナブル・ファイバー・アライアンス(SFA)と連携して基準の草案を作成し、6つのパイロットプロジェクトの一つに参加しました。こうした取り組みが実を結び、2021年には最初のカシミヤ製品が認証を取得するに至りました。
2024年、ロロ・ピアーナはSFAへの寄付を通じて、モンゴルでゾドの被害を受けた地域社会を支援しました。ゾドは、放牧や飼料・水の確保を困難にし、多くの人々が家畜を失う事態を招く寒冷期の自然災害です。この寄付は資金面での支援となるとともに、地域社会の主要な生計手段である家畜の再確保にも役立てられました。


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