【慶應義塾】固形がんに対し強い抗腫瘍効果をもつCAR-T細胞の作成に成功
-「疲弊」に打ち勝つ新規のCAR-T細胞療法の開発-
今回、本学医学部内科学教室(呼吸器)の中川原賢亮大学院生(学術振興会特別研究員)、福永興壱教授、および東京理科大学の吉村昭彦教授らの研究グループは、NR4Aの発現を全てなくしたヒト由来CAR-T細胞を作成することに成功し、その抗腫瘍効果を評価しました。NR4Aを無くしたCAR-T細胞は、がん細胞との培養下において、野生型のCAR-T細胞と比較し高い増殖能と疲弊化への抵抗性をもち、持続的に強い抗腫瘍効果を発揮することが確認されました。またNR4Aの発現を抑えたCAR-T細胞は、ミトコンドリアの恒常性が高まり、優れた代謝活性をもつことも明らかにしました。さらに人の肺がん細胞株を移植したマウスの実験モデルにおいても、NR4Aを無くしたCAR-T細胞はヒト肺がんへの治療効果が増強され、マウスの寿命を延長することができました。
この研究は、固形がんに対するCAR-T細胞療法の新規治療戦略につながり、固形がんに対する免疫療法への応用が期待されます。
本研究成果は、2024年8月16日(英国夏時間)に、米国がん免疫治療学会(Society for Immunotherapy of Cancer)の機関誌である『Journal for ImmunoTherapy of Cancer』に公開されました。
▼全文は本学のプレスリリースをご参照ください。
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2024/8/20/240820-1.pdf
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