【働き方改革の波、医師の福利厚生に届かずか】約9割の医師が福利厚生に「変化なし」と回答

591名の医師が語る、満足度4割未満の本音

株式会社エムステージグループ

2025年6月17日 10時00分

医療人材総合サービス、事業場向け産業保健支援を提供する株式会社エムステージ（東京都品川区、代表取締役：杉田雄二）は、エムステージが運営する『Dr.転職なび』『Dr.アルなび』の登録医師591名を対象に、「福利厚生」に関するアンケート調査を実施しました。

■調査背景

近年、医師の長時間労働や過重労働が社会課題として注目され、2024年4月からは医師にも時間外労働の上限規制が適用されるようになりました。こうした制度変革を受け、今後は単なる労働時間の見直しにとどまらず「働きやすい環境」の実現がより重視されていくと考えらえます。そこで今回は「福利厚生」に着目し、医療現場の福利厚生の現状と、転職先検討時の影響を調査しました。

■調査結果のサマリー

◯医師の働き方改革の福利厚生への影響

・約9割が福利厚生に「変化がなかった」と回答

◯勤務先の福利厚生の現状

・現在の福利厚生に「満足していない」約6割

◯転職時の福利厚生ニーズと実態のギャップ

・転職時に福利厚生を重視している医師は約5割

　特に重視する福利厚生〈通勤・住宅関連〉〈休暇関連〉〈職場環境・業務関連〉が上位

・〈通勤・住宅関連〉の福利厚生｜金銭面で負担の大きい「通勤手当の支給」を求める声が最多

・〈休暇関連〉の福利厚生｜「夏季・冬期の特別休暇」と同程度、「時間単位の有給休暇制度」も重要視

・〈職場環境・業務関連〉の福利厚生｜日々の出費を支える「社食や食事手当の支給」に高いニーズ

◼︎医師の働き方改革の福利厚生への影響

1. 約9割が福利厚生に「変化がなかった」と回答

勤務先の福利厚生について、約9割の医師が働き方改革施行前と比べ「変化がなかった（88.0%）」と回答。「変化があった（12.0%）」と感じる医師は約1割にとどまり、働き方改革の福利厚生への影響は小さいものであることがわかりました。

◼︎勤務先の福利厚生の現状

2. 現在の福利厚生に「満足していない」約6割

勤務先の現在の福利厚生について、「満足していない（60.6%）」と回答した医師は約6割にのぼる結果となりました。

福利厚生に「満足していない」と回答した理由については、制度そのものの整備不足に加え、「福利厚生の案内が全くない」「休暇関係はいくら充実していても業務量や人間関係から取得が困難」といった、利用環境に対する課題も多く挙げられました。一方、「満足している」と回答した理由では、「有給をとりやすく、定時で帰る雰囲気があるから」「時短勤務や病児保育で助かっているから」といったコメントが見られました。

◼︎転職時の福利厚生ニーズと実態のギャップ

3. 転職時に福利厚生を重視している医師は約5割

　特に重視する福利厚生は〈通勤・住宅関連〉〈休暇関連〉〈職場環境・業務関連〉が上位

転職先検討時の福利厚生について、「かなり重視している（11.2%）」「ある程度重視している（33.8%）」となり、約5割の医師が重視する結果となりました。さらに、福利厚生を7つのカテゴリに分類したところ、転職時に最も重視されていたのは「通勤・住宅関連（78.7%）」で、次いで「休暇関連（71.4%）」「職場環境・業務関連（53.5%）」となりました。