1インチサイズプラットフォームIMUのラインアップ拡充、低ノイズのプレミアムモデル『M-G370PDT』を量産開始
加速度センサー検出範囲をお客様にて切り替え可能、ジャイロノンリニアリティを改善
2011年にエプソン初となるIMU製品を発売以来、当社IMUは、精密農業(GNSS*2)や民生・産業部品を活用する小型人工衛星*3、EO/IRカメラジンバル*4、アンテナの制振制御など、さまざまなアプリケーションに採用され、多くの実績と高い品質により、市場から好評を得ています。近年では、空中や人工衛星での映像撮影や測量など利活用分野が広がり、より正確な位置・姿勢制御のニーズが増大しています。それに伴いIMUには姿勢制御において重要とされる精度、特にノイズ性能への要求が高まっています。
新製品『M-G370T』は1インチサイズかつ、従来製品2機種それぞれの特長を兼ね備えることで、低ノイズ、高精度計測を実現しました。
従来の「M-G370PDS」(以下M-G370S)で実現したIMUの重要性能である短期安定度を示す角度ランダムウォーク*5 0.03°/√h を維持しているため耐ノイズ性が高く、機器やシステムに発生するわずかな姿勢変化をより正確に検知することが可能です。また「M-G370PDG」(以下M-G370G)で実現した、加速度センサーの検出範囲±8G/16Gのお客様での切り替え機能と、ジャイロセンサー*6のすべての検出範囲においてノンリニアリティ*7特性0.05%を搭載しました。これによりゆっくりした動作から速い動作まで、さまざまな動作を高精度に計測することが可能となりました。
1インチサイズプラットフォーム製品のラインアップ拡充により、用途に合わせてさまざまな機能・性能から最適な製品をお客様に選択いただけます。
エプソンは、社会・技術の変革などから、今後も小型・軽量・低消費電力に加え、高精度・低ノイズ高安定といった「省・小・精」から生み出す価値で、お客様の商品・サービスに大きく貢献するセンシングシステムを提供していきます。
■新製品の特長
・1インチサイズプラットフォーム(24 x 24 x 10 mm3)
従来製品(M-G370S/370G)と互換性を維持し、お客様の開発コスト・評価期間を大幅に削減可能
・角度ランダムウォーク 0.03°/√hを実現
・加速度センサーの検出範囲 ±8G/16Gをお客様にて切り替え可能
・ジャイロセンサーのノンリニアリティ特性0.05%を実現
・低消費電流 16mAを実現
■本製品のアプリケーション
・民生・産業部品を活用する小型人工衛星・EO/IRカメラジンバル・アンテナなどの制振制御
・無人機(産業ドローン・地上車・海底探査) など
・産業機器などの振動・角度・軌道計測
・ナビゲーションシステム(GNSS、INS*8、高精度ロケータ)など
【関連リンク】
製品の詳細情報は下記ウェブページをご参照ください。
https://www.epson.jp/prod/sensing_system/
【お客様のお問い合わせ窓口】
セイコーエプソン株式会社 MD営業部 MDプロダクトマーケティンググループ
https://www.epson.jp/prod/sensing_system/contact/
*1:慣性計測ユニット(Inertial Measurement Unit:通称IMU)
3軸の角速度センサーと3軸の加速度センサーからなる慣性運動量を検出する装置
*2:GNSS(Global Navigation Satellite System)
全地球測位衛星システム
*3:本製品およびエプソンのIMUは、宇宙空間での使用における規格に準拠したものではありません。
*4:EO/IR(Electro-Optical/Infra-Red)カメラジンバル
電気光学式、赤外線式カメラシステム
*5:角度ランダムウォーク
アラン分散の-1/2乗の傾きがある部分を角度ランダムウォークと呼ぶ。ホワイトノイズと相関があるため、平均時間を長くすると平均時間の-1/2乗で値は小さくなる
*6:ジャイロ(角速度)センサー
基準軸に対する、物体の単位時間当たりの回転角度(角速度)を検出するセンサー
*7:ノンリニアリティ
ジャイロセンサーあるいは加速度センサーの入出力特性において、線形近似したときの近似直線と出力値のずれ幅(誤差)の最大値をフルスケールとの比で表したもの
*8:INS(Inertial Navigation System)
慣性航法装置
*9:バイアス安定性(Bias Instability)
アラン分散※で水平(0乗)の特性を表す部分をバイアス安定性と呼ぶ。1/fノイズと相関があり、
センサーのポテンシャルを表す重要な指標の一つである
※:アラン分散
センサーの性能を表す指標の一つで、静止時出力の安定性を表している。横軸にデータの平均時間、縦軸に平均時間で区切ったときの平均値の分散を示している。アラン分散に現れる特性の傾きは-1、-1/2、0、1/2、1乗の傾きになることが知られており、アラン分散はノイズ密度と相関性があり、ノイズ密度は周波数、アラン分散は時間で表現される指標である。値が小さいほど、安定度が高く、性能が良いことを示す。
以上
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