保育士の労働時間や残業、有給取得率はどのくらい?保育士バンク!総研が「令和4年度 保育士の働き方レポート」を発表
【調査サマリー】
1.保育施設で働く職員の平均労働時間・残業時間について 平均労働時間の分布をみると、月160時間が全体の約3割を占めている。残業時間においては、残業なしの職員が過半数を超えているが、月30〜50時間を超える職員も一定数存在している。また施設別では、全体平均である160時間に比べ大きな差はないが、院内保育室や乳児院など一部24時間の勤務体制を行っている施設では、平均よりもやや勤務時間は長くなっている。
平均の有給取得率は65%、取得率別の人数構成比では100%取得している人が最も多く、次いで50%、60%という結果となった。
東京23区、大都市、小都市等は65%を超えているが、中核都市は平均よりやや低く、ほか地域と比べ8%ほど少ない。また管理職の有給取得率については、56.5%と平均よりも約10%ほど低くなっている。 (※保育園・幼稚園に勤務する、一定期間継続して利用している7,500人前後の職員データから算出) |
1. 保育施設で働く職員の平均労働時間・残業時間について
平均労働時間別の人数分布では、月160時間は全体の32.4%となっており、次いで150時間、170時間となっているが、200時間を超える職員も一部存在している。
厚生労働省による「令和2年賃金構造基本統計調査 」の「一般_都道府県別_職種(特掲)DB 」によると、保育士の所定内実労働時間は168時間であり、弊社が出したデータよりやや長くなっている。その理由として、今回集計対象となっている園では、ICTシステムを導入している園であることが要因になっている可能性がある。
残業時間においては、残業なしの職員が過半数を占めているのに対し、月30〜50時間を超える職員も一定数存在している。
施設形態別の平均労働時間については、全体平均の160時間とそこまで大きな差がない。
一方で、院内保育室や乳児院などの一部24時間の勤務体制を行っている施設では、平均よりもやや勤務時間は長くなっている。また、役職別の平均労働時間については、管理職の勤務時間が一般(管理職以外)より長くなっている。
2. 保育施設で働く職員の有給取得状況について
平均の有給取得率は65.1%となった。取得率別の人数構成比では、100%取得している方が最も多く、次いで50%、40%となった。
3. 地域別の有給取得率について
東京23区、大都市、小都市等は65%を超えているが、中核都市は57.4%とほか地域と比べ8%ほど低い。また管理職の有給取得率については、56.5%と平均よりも低い傾向にある。
こども家庭庁が公表した「不適切な保育」の調査では、全国の保育所で2022年から12月までの間に914件、そのうち虐待にあたると確認できたのは90件あったと報告されました。
このような背景には、慢性的な保育士不足といった厳しい労働環境が原因の一つとされており、保育の質向上には、保育士の働き方を見直す必要があります。
新年度によるクラス進級や新任職員の配置が落ち着く5月から8月の夏休みの間は、職員の働き方を見直す最適なタイミングと言われています。
また、保育業界では「変形労働時間制」の導入割合が80%(保育士バンク!コネクト導入園実績:園に所属する職員のうち、40%以上が変動労働時間制を用いている園の割合)と非常に高く、労務管理が複雑化し、事務作業に追われ勤務時間が長くなってしまっているケースも見受けられます。
ICT活用によって、労務管理・登降園管理などの事務作業を簡略化し、業務効率化を実現することで、職員一人ひとりの負担が軽減され、労働時間の削減にもつながっているのではないでしょうか。
保育士バンク!総研では、今後も最新テーマの研究や調査を実施し、保育に携わるすべての方にとって有益な情報の発信に努めてまいります。
※本調査を引用いただく際は、出所として「保育士バンク!総研」と明記してください。
※詳細データはこちらをご覧ください
https://prtimes.jp/a/?f=d16431-215-b80d52495e66e94907fff1ee119b1bb1.pdf
■保育士バンク!総研について
「保育士バンク!総研」は、保育業界に特化した調査・研究機関です。少子高齢化が進む中、変わりゆく保育労働市場を見通し、課題に向き合い、解決に寄り添うことで、保育業界に貢献することを目的として設立いたしました。保育領域における複数の事業展開で培ってきた業界知見やノウハウをもとに、最新テーマの研究や調査を実施し、保育に携わるすべての方にとって有益な情報の発信につとめています。
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