Appierの研究論文がNeurIPSに採択 AIエージェントはツールを「使う」だけでなく「自ら作る 」段階へ
新フレームワーク「SMITH」により、小規模モデルが大幅に少ないトークン数で大規模モデルに匹敵する性能を実現 ── 拡張可能なマルチエージェント協調への道を拓く

Appier Group株式会社 (エイピア、本社: 東京都港区、代表取締役CEO: チハン・ユー、東証プライム: 4180、以下Appier) は本日、同社の最新研究論文「Joint Optimization of Tool Creation and Use for Large Language Model Agents」(邦題:「LLMエージェントにおけるツール作成と活用の同時最適化」)が、NeurIPS(「AI界のオリンピック」とも呼ばれるAI・機械学習分野における世界最高峰の国際会議)に採択されたことを発表しました。本論文では、AIがツールを作成し、実際の問題解決の結果に基づいて継続的に改良することによって、効果的に活用するまでを単一の学習ループで実現する強化学習フレームワーク「SMITH(Schema-grounded Multi-task Iterative Tool Honing)」を提案しています。今回の成果は、「モデルはツールを作成できても、それを十分に使いこなせないことが多い」というエージェント型AIの重要課題に正面から取り組むものです。
本研究では、SMITHで学習した小規模AIモデルが、未知のタスクにおいても、はるかに大規模なAIモデルが作成したものに匹敵する再利用可能なツールを構築できることが示されました。これらのツールはモデルやタスクをまたいで共有が可能であり、繰り返し行われる推論にかかるトークンコストの大幅な削減を実現します。NeurIPSへの採択は、AIエージェントの効率化とマルチエージェント協調の高度化におけるAppierの研究開発力を示すものであり、エージェント型AI研究の世界的な最先端に立っていることを裏付けています。
Appier共同創業者 兼 代表取締役CEOのチハン・ユーは、次のように述べています。 「人間は問題解決の経験をツールという形に落とし込むことで、毎回ゼロから始める必要をなくしてきました。AIエージェントも今、同じように進化を遂げつつあります。本研究は、エージェントがツールの作り方を学び、それを継続的に磨き上げ、実証済みのツールをあらゆる規模のモデル間で共有できることを示しました。これにより、マルチエージェント協調はより効率的かつ拡張可能なものになります。今回のNeurIPS採択は、Appierの先見的な研究とイノベーションがあらためて評価されたものと受け止めています。当社は今後もエージェント型AIを実社会のさまざまな場面へと実装し、企業に目に見える成果をお届けしてまいります」
AIエージェントに求められるのは、ツールを作る力と「使えるかどうか」を見極める力
エージェント型AIが企業の業務フローを自律的に担う場面が増えるなか、適切な外部ツールを選択し実行させる能力は、実運用における重要な要件となっています。しかし、多くのAIシステムは依然として、エンジニアが事前にAPIを構築したり、特定のなツールを設定することに依存しており、データソースやタスク、ビジネス要件が変わるたびに作り直しが必要となっています。AIが自らツールを作成できる場合でも、多く場合、ツールの作成と利用を別々のAIモデルに割り当てています。その結果、ツールを作成するAIモデルは実際の性能に関するフィードバックをほとんど得られず、ツールの説明が正確か、安定して作動するかが判断しずらく、ときには他のAIモデルから正しく実行されていないいう課題があります。
SMITHは、この2つのスキルを1つの学習ループに統合し、AIが優れたツールを作る力と、それを使いこなす力を同時に習得できるようにする。ツールの説明が曖昧であったり、パラメータ設計が不適切であったり、実行に失敗したりした場合、その結果がモデルにフィードバックされます。「作成・利用・検証・改良」というループを回すことで、ツールの品質は継続的に向上していきます。本研究では、ツールの作成と利用を同時に学習させる手法が、それぞれを個別に学習させる手法を明確に上回ることが確認されました。
AppierのリサーチサイエンティストであるChieh-Yen Lin(チエイェン・リン)は、次のように述べています。 「SMITHでは、AIモデルにツールの使い方を学習させる際、モデルが参照できるのはツールの説明とパラメータ仕様のみで、その裏にあるコードは見えません。そのため、各説明の分かりやすさや、ツールを正しく実行できるかどうかが、学習中の直接的なフィードバックとなります。実験では、他のAIモデルもこれらのツールを用いることで、より効果的に問題を解決できることが確認されました。今後は、環境と継続的にインタラクションしながら、より幅広いタスクに対応できるモデルの構築を目指していきます」
4つの例題から学び、16の未知の問題で実証
SMITHは、易しい問題から難しい問題へと段階的に学習を進めます。AIはまず4つの簡単な例題から解法を学び、それをもとにツールを作成します。次に、これまで見たことのない、より難易度の高い16問でモデルを検証し、汎化できるかどうかを確かめます。新たな問題を解決できたツールのみを残し、複数のAIエージェントが利用できる共有ツールライブラリに追加します。高品質なツールが蓄積されるにつれ、より優れたツールが性能の劣るツールに置き換わっていきます。これにより、エージェントはタスクごとに新たなツールを一から作るのではなく、実証済みの問題解決スキルを構築し、再利用できるようになります。
本研究の主な知見は、以下の3点になります。
1. 小規模AIモデルがツール作成において大規模AIモデルを凌駕: SMITHで学習した約40億パラメータのAIモデルが作成したツールは、未知のタスクにおいて、本研究で比較した他のすべての手法を上回りました。さらに、約300億パラメータのAIモデルがその場でツールを作成するベースラインをも凌駕しました。効果的なツール作成は、必ずしもAIモデルの大規模化に依存しないことが示されました。
2. 実証済みツールはAIモデル規模を問わず機能: 小規模AIモデルが作成したツールは、わずか約3億5,000万パラメータの軽量AIモデルが使用した場合でも、新たなタスクに十分対応できました。同じツールは大規模AIモデルの性能も向上させ、エージェント間でより柔軟かつ効率的な役割分担を可能にします。
3. 繰り返される推論を再利用可能なツールへ: SMITHは、繰り返し行われる推論を、直接呼び出せるツールへと変換します。実験では、従来の段階的推論では平均3,206トークンだった出力が約100トークンまで減少し、約32倍の効率向上を達成しました。類似の問題に直面した際、AIは毎回推論プロセス全体を実行する必要がなく、タスク性能を維持しながら、推論の高速化と計算コストの削減の両立が可能となります。
本研究は、企業向けエージェント型AIに新たな方向性を示すものです。財務指標の換算やデータ処理から、レポートの照会、ルールチェック、カスタマーサービス案件の振り分けに至るまで、日常業務の多くは反復的な作業で占められています。AIは、こうした個別に散在する手法を、どのエージェントからも呼び出せる実証済みの共有ツールへと転換し、繰り返し発生する開発や推論のコストを削減できる可能性があります。
広告・マーケティング領域では、顧客データ、パーソナライゼーション、カスタマーサービス、広告枠購入を担う各エージェントが、実証済みのツールと一貫したビジネスルールを共有することで、より効率的に連携できるようになるでしょう。新市場への参入、新規広告主のオンボーディング、限られたデータからのスタートなど、いずれの場面においても、企業は過去の成功事例を検証可能かつ拡張可能なAI能力へと転換し、エージェントが新たなタスクにより迅速に適応できるよう後押しすることができます。Appierは今後も先見的な研究を通じてエージェント型AIを推進し、AIを企業の長期的な成長を支える中核エンジンへと進化させていきます。
Appierについて
Appier(東証プライム:4180)は、『AIをもっとシンプルに』というビジョンのもと、2012年にAIネイティブ企業として設立されました。Appierの「広告クラウド」「パーソナライゼーションクラウド」「データクラウド」は、リアルタイムに思考し、自ら最適解を導く高度な自律型AIが搭載された「自律型AIサービス(AaaS: Agentic AI as a Service)」を通して、最先端の広告・マーケティング技術を提供しています。AIをビジネス成果(ROI)に直結させることで、顧客企業の成長を支援しており、現在、アジア太平洋地域、米国、欧州に17の拠点を構えグローバルで事業を展開しています。東京証券取引所プライム上場(IR情報)
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