くすんだ唇でも鮮やかに美しく発色する口紅 ~赤の色材を効果的に使いこなす処方技術を開発~
口紅を塗った時に、期待した発色と違うなと感じた経験はありませんか。口紅を美しく仕上げるためには、唇自体をよく知ることも大切です。花王は今回、“もともとの唇の色”に着目し、唇にくすみ悩みを持っている方でも鮮やかな口紅の発色が得られる技術を開発しました。
唇の色によって口紅の発色は異なる!
花王は、唇の色はさまざまであることに着目し、日本人の見た目の唇の色が「赤く鮮やか」「赤みがない」「彩度が低い」「暗い」という特徴を有する4つのグループに分けられることを報告しています※1。改めて調べると、特に彩度と明度の低いくすんだ唇は、口紅の発色もくすんだ仕上がりになることがわかりました(図1・右)。口紅の塗膜は半透明なので、唇の色の影響を受けてしまうのです。
花王は、くすみのない唇とくすんだ唇に口紅を塗布した際の仕上がりの差を光学的に解析し、くすんだ唇では、特に赤色領域の発色が不足していることを見いだしました(図2)。
最適な赤色材を研究
この結果を受けて花王は、くすんだ唇でも赤の発色を向上させる技術を検討しました。その結果、赤色領域の散乱が選択的に増大する光学物性(散乱係数)をもつ色材を使用するのが有効であることがわかりました。
赤を発色させるには、一般的に、光を吸収および散乱して発色する赤顔料が用いられますが、赤色領域の散乱係数は最大値から減少していきます(図3・黒点線)。つまり、赤色領域の散乱を高いまま維持することができないため、赤色顔料を増やしても、くすんだ唇では“くすんだ赤”の発色に見えます。
また、シャボン玉がさまざまな色みに見えるのと同様の現象(光の干渉)により、赤色に発色する赤干渉パール顔料もよく知られた赤色材です。赤干渉パ―ル顔料の散乱係数は、赤色領域で高いまま維持するものの、緑色領域付近から増大していきます(図3・黒実線)。つまり赤色領域の散乱のみを増大することはできず、“白っぽい赤”の発色に見えます。
そこで、赤顔料と赤干渉パール顔料を組み合わせたところ、緑色領域付近の散乱を抑え、かつ赤色領域の散乱を維持し、赤色領域の散乱が選択的に増大する光学物性が得られることがわかりました(図3・赤実線)。このような赤色材を応用し、不足していた赤色領域の発色を補うことで、くすんだ唇でもくすみのない唇に口紅を塗布した時の発色と同様の塗膜をつくれると考えられます。
さらに口紅へ配合する場合には、赤干渉パール顔料の表面に赤顔料を付着させた「赤顔料被覆パール顔料(図4)」を用いることで、発色が最も効果的に得られることを見いだしました。
この色材を配合した口紅を塗布すると、くすんだ唇でも鮮やかな発色が確認できました(図5)。
唇は顔印象に大きな影響を与える部位です。唇を今までよりもっと美しく彩ることで、より良い顔印象まで提供できると考えています。
本研究内容は、第24回日本感性工学会大会(2022年8月31日~9月2日、オンライン開催)にて発表しました。
※1 21~79歳の日本人女性85名の唇の色を対象に色分類 第17回日本感性工学会春季大会
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