《上場企業のIR部門における業務実態調査:1on1編》面談の周辺業務に8割超が課題感、現場が求める「データの資産化」

株式会社ログラス

株式会社ログラス(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員CEO:布川 友也、以下「当社」)は、「上場企業のIR部門における業務実態調査」の回答データに基づき、投資家・アナリストとの個別面談(1on1)関連業務に関するレポートを発表しました。

 <調査結果サマリー>

個別面談の件数は増加傾向にある一方、1件あたりの周辺業務は平均1.66時間に達し、準備や振り返りに面談時間以上の時間がかかっていることが明らかになった。周辺業務に課題を感じている回答者は85.6%に上り、AI・デジタルテクノロジーを通じた効率化を期待する声が多かった一方で、それ以上に、対話データの資産化が期待されていることが示された。

・過去1年で面談件数が「増加した」と回答した割合は51.9%。年間の平均件数は357件に達し、プライム上場企業の該当者(n=67)では59.7%が増加したと回答。スタンダード(n=22)は「変わらない」が45.5%と多く、市場区分によって増加のペース感に差がある。

・面談本体を除く周辺業務(準備・議事録・Q&A整理)に要する時間の平均は1件あたり1.66時間。全体の年間平均面談件数(357件)に、1件あたりの平均周辺業務時間(1.66時間)を掛け合わせると、年間約593時間(営業日換算で約74日分)に相当する試算が得られた。

・面談の記録・Q&A整理において「いずれかの課題を感じている」回答の合計は85.6%。最多はAI・音声認識の精度不足による手直し(52.9%)であり、ツールを導入しても手直し負荷が残存する実態が示された。

・対話記録の運用では、完全手動・音声のみ・書き起こし+大幅修正のいずれかに該当するアナログ〜半アナログ運用が71.0%を占め、専用システム・AIソリューションを活用している企業は14.3%にとどまった。

・投資家から過去の回答との矛盾を指摘された際に即時の照合が困難な割合は25.7%。当時の担当者への確認が必要と答えた19.7%を含め、属人管理に起因するリスクが浮かんだ。

・対話データを経営判断に「活用できている」と答えた割合は57.7%に上る一方、経営陣への報告形式は「重要コメントを抽出した定性レポート」が51.3%で主流となっており、定量データを交えた体系的な活用にはまだ発展の余地がある実態が示された。

・AI・デジタルテクノロジーへの期待として「過去記録の資産化・属人化解消」が63.3%で最多。投資家・アナリスト対話業務に従事する回答者(n=104)に限定すると73.1%に上昇し、現場が「記録の資産化」を求めていることが数字に表れた。

■調査背景と目的

第一四半期決算が一段落し、秋にかけて国内外の投資家との個別面談(1on1)が本格化するIRシーズンを迎えます。 東京証券取引所から上場企業への「資本コストや株価を意識した経営」の要請から3年が経ち、説明会・個別面談・質疑対応に加え、非財務情報の整備など、IR・開示の範囲と深度が拡大しています。プライム上場企業の約9割、スタンダード上場企業の約5割が「資本コストや株価を意識した経営」に関する開示を行っており(※1)、機関投資家等との対話が経営課題の前面に位置づけられています。さらに金融庁ではコーポレートガバナンス・コードの改訂に向けた議論が進み(※2)、投資家との対話・開示の質が焦点の一つとなっています。

投資家との個別面談(1on1)は、経営方針や資本政策を説明し、関係性の核となる接点であり、この改革を背景に面談の機会そのものが増加傾向にあります。一方、面談前後に発生する準備・議事録作成・Q&A整理といった周辺業務は、IRの重要性の高まりとは裏腹に、組織内で可視化されにくい負荷として積み上がりうる状況にあります。

汎用ツールや音声認識の活用が進む現在も、記録の構造化・蓄積が追いつかず、対話データが経営判断や株主対応に再接続されないという課題が、実務上の論点として浮上しています。

本レポートは、上場企業のIR部門にて勤務し、投資家・アナリストとの個別面談に関わる担当者からの回答を基に、個別面談とそれに関わる業務の実態を数値で可視化することを目的とします。

参考

※1:株式会社東京証券取引所上場部 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示状況(2026年7月末時点)

※2:金融庁 「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」関連資料

■調査概要

調査名

上場企業のIR部門における業務実態調査

調査方法

オンライン上でのアンケート調査

調査期間

2026年3月13日~2026年3月15日

調査対象

上場企業に勤務し、過去1年以内にIR関連業務に従事したことのある担当者 300名

調査企画

株式会社ログラス

※本レポートの面談関連設問(1)〜(3)および属性別集計のベースは、投資家・アナリストとの対話関連業務に従事する回答者(n=104)です。(4)〜(7)の一部設問は全体(n=300)を使用しています。

※本レポートは株式会社ログラスの見解を含みます。調査データを引用される際は、“株式会社ログラス調べ”と明記いただけますと幸いです。

■調査結果詳細

(1)投資家との個別面談(1on1)件数と増加の実感

投資家との個別面談の年間件数の平均は357件であった。東証のガバナンス改革や株価上昇を背景に、面談件数は増加傾向にある。関連業務に従事する回答者の過半数(51.9%)が、過去1年間で投資家との個別面談が増加したと答えた。

(参考)プライム上場企業の該当者(n=67)では59.7%が増加を実感。スタンダード(n=22)では「変わらない」が45.5%と多く、市場区分で増加のペース感に差がある。

(2)面談前後の「見えない業務」にかかる負荷

面談の前後に発生する準備・議事録・Q&A整理にかかる時間は平均1.66時間に達する。回答者の過半数が、1件の面談あたり1時間以上を周辺業務に費やしている。

最多は「1時間以上、2時間未満」(29.8%)。1時間以上を費やしているのは54.8%、2時間以上を費やしているのは25.0%であった。プライム(n=67)の平均は1.76時間と全体平均を上回った。

(3)面談内容の記録プロセスにおける課題

ツール活用が進んでも、面談の周辺業務の負荷は残る。いずれかの課題を感じている回答者は85.6%と、高い数値を示した。周辺業務における課題として、最も多く挙げられたのは「AI・音声認識の精度不足による手直し」(52.9%)。「担当者による記録の質のばらつき」「データの検索性の低さ」も上位に並び、データ整備に関する課題認識が高い。

(4)対話記録の運用実態

以降の設問は回答者全体(n=300)を対象とする。個別面談における対話内容の記録・整理に専門システム・AIソリューションを導入している企業は14.3%で、実態はアナログ〜半アナログに偏っている。汎用ツールで書き起こしても大幅修正が伴うケースが最多で、前節の課題認識の背景が、この運用実態にあることを示している。

(5)投資家からの矛盾指摘への対応と属人化リスク

投資家から過去の回答との矛盾を指摘された際に「即時の照合が困難」な割合は25.7%。「当時の担当者への確認が必要」と答えた層を含め、属人的な体制が記録の空白をつくりうることが示された。

(6)対話データの活用と、経営への報告形式

投資家との対話データを経営判断に「活用できている」と答えたのは57.7%と過半数を超えている。一方で「どちらともいえない」「活用できていない」と認識する回答者は37.4%。記録が蓄積されても、経営への接続は課題として残る。

投資家の意見を経営陣に報告する形式は、重要なコメントを抽出した定性レポートが主流(51.3%)で、定量的なデータの活用は一部(21.3%)にとどまる。

(7)AI・デジタルテクノロジーへの期待 ──「効率化」を超えた「資産化」

8割超の担当者が、AI・デジタルテクノロジーによる課題解決を期待している。

全体(n=300)では「過去記録の資産化・属人化解消」への期待が63.3%で最多となった。さらに、投資家・アナリストとの対話業務に従事する回答者(n=104)に限定した集計では、「過去記録の資産化・属人化解消」への期待は73.1%と全体より高く、現場が求めているのは効率化にとどまらない対話データの蓄積・活用であることが示された。

■まとめ:IRの重要性と実務負荷の"ねじれ"をどう解消するか

本調査から明らかになったのは、投資家との個別面談(1on1)をめぐる構造的課題です。面談件数と周辺業務の重さはプライム上場で顕著であり、手直しによる業務負荷も集中しやすい現状が示されました。これらの課題を打破するカギは、記録作業の効率化と、対話内容の資産化の実現にあります。

・効率化:周辺業務の時間を圧縮し、担当者が投資家との対話そのものに集中できる環境をつくる

・資産化:面談記録を構造化・データ化し、過去の対話を組織全体で検索・参照・分析可能にする

投資家との個別面談は、企業にとって極めて密度の高い情報交換の場であり、その対話データをいかに蓄積し経営に活かせるかが、今後のIR活動の成果を左右します。AIやテクノロジーによる「資産化・属人化解消」への期待が6割を超えている現状は、単なる作業の効率化にとどまらず、対話データを組織の強みに変えたいという現場の切実なニーズの表れです。

■解説:株式会社ログラス 取締役 執行役員CFO 伊藤 駿

AI・デジタルテクノロジーを、効率化だけでなく対話データの蓄積という形で活用したいという声が多かったという点で、IRへの意識が着実に高まっていることを実感させる調査でした。一方、通常1時間または30分で行われる投資家面談に対して、その1件の準備や振り返りに平均1.66時間もの時間をかけていることは非生産的であると言え、実際にテクノロジーを活用して生産性を上げていくことが待たれる内容となりました。2026年も日本株への高い注目が続く中、IR活動についても更なる進化が求められる1年になると考えられます。

■Loglass AI IRについて

「Loglass AI IR」は、煩雑なルーティンワークであった従来のIR業務を効率化し、投資家との対話の質を向上するAIソリューションです。さらに、近年複雑化しているIR業務の負担を減らし、IR担当者の戦略的な活動を支援します。

■ 株式会社ログラスについて

「良い景気を作ろう。」をミッションとして掲げ、経営管理・企業経営の変革を支援するAIソリューション「Loglass」シリーズを提供しています。主なサービスとして、「Loglass 経営管理」「Loglass IT投資管理」「Loglass 人員計画」「Loglass サクセスパートナー」「Loglass AI IR」「Loglass 設備投資計画」「AIソリューション」を提供しています。

代表者:代表取締役 執行役員CEO 布川 友也

設立:2019年5月

所在地:東京都港区三田3-11-24 国際興業三田第2ビル 9階

事業内容:新しいデータ経営の在り方を生み出すDXサービスの企画・開発・販売

URL:https://www.loglass.co.jp/

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会社概要

株式会社ログラス

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URL
https://www.loglass.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都港区三田3-11-24 国際興業三田第2ビル9階
電話番号
-
代表者名
布川友也
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2019年05月