【9/17(木) 開催】写真家・馬場磨貴登壇。写真家の「過去・現在・未来」を紐解くトークイベント「TRINITY」vol.02 開催
写真家の「過去・現在・未来」を紐解くトークシリーズ「TRINITY 瞬間と永遠 ── Past, Present, Future」vol.02。写真家・馬場磨貴氏&写真評論家・鳥原学氏が登壇します。

誰かの「選択」に触れるとき、あなたの輪郭が立ち上がる。シャッターが切られる瞬間の背後には、作家たちが積み重ねてきた膨大な時間と、無数の選択が存在します。
本トークシリーズでは、写真家の過去・現在・未来を紐解きながら「どう生き、何を見つめ、何を未来へ手渡そうとしているのか」を探ります。作家が秘める心の声に耳を傾ける。あるいはその視線や思想を、時代背景を踏まえながら専門家が読み解く。——「時間」を切り口としながら、ひとりの表現者の軌跡に迫ります。
【登壇:馬場磨貴】人間の存在と実存を、ポートレート写真で問いかける


今回取り上げる写真家は、馬場磨貴氏。身体、生命、母性、女性性といったアプローチから人間の存在そのものを問う、ポートレートを中心とした写真作品を制作している作家です。
妊娠と流産、東日本大震災での被災といった体験が反映された『We are here』、社会で共有される “母親像” の自明性を、子育てを経たうえで見つめ直した『DONOR』を始め、馬場氏の作品には自身の人生経験や、そのときどきに感じたこと、考えたことが色濃く息づいています。
私のお腹の中に起こった生と死は、女性が意志の力ではどうにもならない弱い存在であることを気づかせてくれた。(中略)ある日街を歩いていて突然閃いた。目の前のビルの合間から、巨大な妊婦が現れた。その大きな姿に解放感とたまらない安心感を覚えた。
――馬場磨貴『We are here』より



子育てが一段落した今、ふと問いがよぎります。母性とは、一体何なのだろう。私が知っている母たちは、賢母でも慈母でもありません。幸福を抱きながらも、血の通った複雑な女性たちです。(中略)ボーヴォワールが「女は女に生まれるのではなく、女になるのだ」と語ったように、女性は母になるために生まれたわけではありません。
――馬場磨貴『DONOR』より


今回は馬場氏がこれまで発表してきた作品集を辿りながら、写真を通して見つめてきたもの、そして現在の表現に至るまでの歩みを読み解いていきます。


過去・現在・未来ーー写真家の生き方と価値観を読み解くトークイベント
本シリーズで迫るのは大きく2つの問いです。「なぜその写真を撮るのか?」「何のためにその写真を撮るのか?」。すなわち過去と未来、そしてその両極を揺れ動きながら作家に「選択」を迫る現在--三位一体(TRINITY)の時間がはらむ謎です。
ここで語られるのは、写真の話であって、写真だけの話ではありません。一枚の写真の向こう側にあるプロフェッショナルとしての価値観。そして一人の人間としての生き方。それらに触れることは、私たち自身の見えない未来を照らし出すことでもあります。無数の選択の軌跡をたどり、次の一歩を考える。そんな時間がここにあります。
写真を学ぶ方はもちろん、表現やものづくり、人生の選択について考えたい方にもおすすめのトークイベントです。皆さまのご参加をお待ちしております。
登壇者プロフィール

■馬場磨貴/UMABA MAKI
東京都生まれ。美術大学油絵科在学中から写真を撮り始める。
日本写真芸術専門学校卒業後、朝日新聞社出版写真部に勤務、フォトグラファーとして多くの企画に携わる。
2002年 文化庁在外研修生として渡仏、Ecole Nationale Superieure de la Photographie d'Arles に学ぶ。
帰国後はフリーランスとして東京を拠点に活動。文化学園大学、日本写真芸術専門学校講師。
第33回 太陽賞 ・準太陽賞受賞、第5回 Canon写真新世紀佳作受賞。
写真集に「DONOR / 赤々舎」、「We are here/ 赤々舎」、「ABSENCE / 蒼穹舎」などがある。
展示は「DONOR」OM SYSTEM GALLERY/新宿(2026年)、「Donor」IRIS ARLES/ フランス(2024年)、「まぼろし」OM SYSTEM GALLERY/新宿(2022年)、「Flora」銀座・蔦屋書店、「ふたり 」(2021年) / Promenades Photographiques Festival/フランス(2020年)など多数。

■鳥原学(聞き手・解説)
NPI講師。1965年大阪府生まれ。近畿大学卒業。フリーの執筆者・写真評論家。写真雑誌や美術誌に寄稿するほか、ワークショップや展示の企画などを手掛ける。2017年日本写真協会学芸賞受賞。
著書に『時代を写した写真家100人の肖像』『写真のなかの「わたし」:ポートレイトの歴史を読む』『日本写真史』など多数。
【本イベントに寄せたコメント】
"女性性"について、シンボリックに撮り続けてきた馬場磨貴さんには、お聞きしたいことがたくさんあります。
どの作品についても、被写体である女性を見つめるまなざしが、男である私が持つ「女性」のイメージとは異質だからです。
その美しさの中には、常に深い共感性とメッセージがあります。
作品ごとに、女性についての理解や価値観を強く揺さぶる衝撃力があります。
初写真集「ABSENCE」で作品の静謐さに引き込まれました。
ところが「We are here」では、その印象が覆され、生命力を感じさせる強さと無垢さが表れています。そして、最近作の「DONOR」では、聖母的なイメージに社会的な現実を重ねています。
これらの展開は、どのようにして生まれてきたのか。そこには、きっと馬場さんの写真家としての歩みが作用しているはずです。
今回のトークでは、私たちの性別を越えて、新たな繋がりの可能性を見いだせればと思っています。
イベント概要
TRINITY 瞬間と永遠── Past, Present, Future vol.02
日程:2026年9月17日(木)
時間:18:30-20:00
会場:日本写真芸術専門学校キャンパス(〒150-0031東京都渋谷区桜丘町4-16)
主催:日本写真芸術専門学校
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