【江戸東京博物館】企画展「市民からのおくりもの2020-令和元年度 新収蔵品を中心に-」開催のお知らせ
本展は、当館が新たに収蔵した資料を、みなさまにご覧いただく展覧会です。令和元年度・2年度も多くの資料を当館の収蔵品に加えることができました。資料をご寄贈くださった方々への感謝の意も込めて、この中から厳選してご紹介いたします。
8代将軍徳川吉宗が1745年(延享2)に徳川家康百三十回忌の法要を盛大に営んだ時の行列を描いた華麗な絵「紅葉山八講法会図巻(もみじやまはっこうほうえずかん)」、勝海舟の父・小吉(こきち)(1802~1850)が自身の半生を語った貴重な自伝「夢酔独言(むすいどくげん)」、喜多川歌麿(うたまろ)が望月5図を描き蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)が1789年(寛政元)に出版した豪華な狂歌絵本「狂月坊(きょうげつぼう)」、日本初のオリンピック招致活動に際し東京市が1933年(昭和8)に制作したアルバム「Tokyo Sports Center of the Orient(東洋のスポーツ中心地東京)」など、バラエティー豊かな江戸博コレクションの世界をお楽しみください。
1.会期
令和3年3月9日(火)~5月9日(日) 開館時間:午前9時30分~午後5時30分※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(4月26日、5月3日は開館)
※会期中に一部の資料の展示替えがあります。※4月5日(月)は展示替日
※新型コロナウイルス感染症の状況によって、会期・開催時間・観覧料・各種割引サービスを変更する場合がございます。最新の情報は当館のホームページでご確認のうえ、ご来館ください。
2.会場
東京都江戸東京博物館 常設展示室内 5F企画展示室
3.観覧料
企画展は常設展観覧料でご覧になれます。
一般 600円(480円)/大学・専門学校生 480円(380円)/中学生(都外)・高校生・65歳以上 300円(240円)/中学生(都内)・小学生以下無料 ※( )内は20人以上の団体料金。消費税込。
4.主催等
東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館
5.展示構成および主な資料
■第1章 将軍家の権威と旗本・豪商
江戸時代は武士が統治する時代でした。その頂点に立つのが将軍です。徳川将軍家は先祖を敬い、その姿を肖像に写し、盛大な法要を営んできました。特に初代将軍家康は東照大権現として神格化され、多くの肖像画が残されています。徳川家康の百三十回忌にあたる1745年(延享2)3月、8代将軍吉宗は江戸城内紅葉山東照宮(もみじやまとうしょうぐう)で法要を盛大に挙行しました。この華麗な法要を描いた絵巻「紅葉山八講法会図巻(もみじやまはっこうほうえずかん)」は本展で最も注目の資料です。また徳川家関係資料としては、1864年(元治元)に備前岡山藩から水戸徳川家に嫁いだ萬壽子(ますこ)の婚礼調度と思われる黒棚も収集しました。
江戸幕府はその長い治世を幕臣に支えられてきました。旗本の勝家の養子となった勝小吉(かつこきち)(勝海舟の父)の回顧談「夢酔独言(むすいどくげん)」や、御庭番の和多田家伝来の短刀は、武士の暮らしの一端を伝えています。
城下に目を移せば、江戸には多くの豪商たちがいました。薬種問屋と質屋を兼業し、大名相手の貸金業を営んだ湯島の豪商、笹屋山中家代々の貴重な肖像画や、三井家に伝来した婚礼調度の長持(ながもち)、江戸屈指の豪商であある川村家に伝わったとされる図面をもとに作成した茶の湯起こし絵図などを通して、豪商の豊かな生活をご覧いただきます。
■第2章 江戸が育てた美と技の世界
人々が集う江戸では、著名な文人や職人を輩出した美の世界が華開きました。
江戸を代表する絵師・文人の酒井抱一(さかいほういつ)(1761~1828)が1809年(文化6)下谷(したや)大塚(おおつか)(現・台東区根岸5丁目付近)に構えた雨華庵(うげあん)は、抱一の活動の拠点であると同時に、江戸琳派(りんぱ)の絵師達の学び舎となり、その後明治時代に至るまで文化人たちの交遊の場となりました。ここでは雨華庵に掲げられた木額など、抱一とその周辺の人々との交流を伝える絵画や工芸品をご紹介いたします。
また浮世絵版画は、江戸に住む人々の生活や町の姿を描きました。緻密な描写の銅版画、吉原を描いた紅摺絵(べにずりえ)、曲独楽(きょくごま)や象などの見世物の様子を伝える錦絵を通して当時の江戸の様相を、また喜多川歌麿が描き、蔦屋重三郎が版元となって出版した豪華な狂歌絵本「狂月坊(きょうげつぼう)」では、浮世絵版画の高度な技術をご覧ください。
さらに江戸の伝統を受け継ぐ華やかな装飾と釣りを楽しむための工夫と技巧が施された江戸和竿(わざお)、江戸から明治にかけて活躍した彫金師(ちょうきんし)、府川一則(ふかわかずのり)の代々が製作した精緻な金工品、東京の籐工芸製品を写した写真などから、現代にも伝わる江戸の工芸の世界に触れていただきます。
■第3章 大東京-発展する都市
本章では、絵葉書、写真、生活の道具など様々な資料を通して、東京の近代史をご案内します。
明治以後、東京に西洋の風俗が入ると、錦絵や印刷物にその様相が記録されるようになりました。近代化とともに東京には様々な新名所が誕生しました。また、数多くの博覧会が催され、特に1914年(大正3)に上野で開催された東京大正博覧会は、多くの観客を集めました。
繁栄を続けた東京ですが、1923年(大正12)9月1日の関東大震災で壊滅的な被害を受けます。この時、「関東大震災絵葉書」など、数多くの絵葉書が作られ、当時の惨状を今日に伝えています。震災後の復興事業で、東京は新しい街並みに生まれ変りましたが、その後は政府高官を歴任した高橋是清(これきよ)が暗殺された二・二六事件が起こるなど、次第に不穏な時代を迎えます。高橋是清のご子孫から寄贈された資料から、彼の人となりをご紹介いたします。
■第4章 首都東京-戦争から復興へ
首都東京は災害のみならず、戦争でも大きな破壊を経験しました。本章では昭和の戦争と復興、そして平成まで続く時代をご紹介いたします。
震災からの復興後、高まる戦時色の中で1941年(昭和16)に太平洋戦争が勃発し、東京は戦時体制から敗戦、続く占領下の困窮と混迷の時代、復興までの長い道のりを歩みました。占領下の時代に日本で作られた柱時計や困窮を乗り越える為の生活指南書、復興後の大衆旅行時代の隆盛を示す鉄道記念乗車券など様々な資料で、その歴史を垣間見ることができます。また、高度成長期を経た後も、東京を中心に街や人を撮影しつづけた師岡宏次(もろおかこうじ)の写真は、変わりゆく時代の様子を克明に記録した資料といえます。
戦争はオリンピック開催にも大きな影響を与えました。1940年(昭和15)に開催が予定されていた東京オリンピックは、日中戦争激化のため幻となりました。しかし1964年(昭和39)、第18回オリンピックの開催によって、東京はその復興と世界都市への成長を全世界に知らしめることとなりました。
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