令和5年度(第73回)税理士試験の合格率は21.7%!株式会社MS-Japanが「税理士試験の受験資格緩和による合格者数・合格率の変動」を調査
受験資格緩和後初の試験は「一部科目合格者数」が8年振りに6,000人越え
11月30日(木)、令和5年度(第73回)税理士試験の合格発表がありました。受験された皆様、本当にお疲れ様でした。今回の試験から受験資格が緩和されており、受験者数も32,893人と昨年よりも4,040人増加しています。
そこで、管理部門・士業の転職やキャリアを支援するMS-Japanでは、「税理士試験の受験資格緩和による合格者数・合格率の変動」に関する調査を実施しました。税理士のキャリア支援に30年以上携わったノウハウをもとに、今回の試験における合格者数・合格率がどう変動したのかを解説します。
【調査結果の詳細】
「【速報】令和5年度(第73回)税理士試験合格発表!受験資格緩和による合格者数・合格率の変動は?」
https://www.jmsc.co.jp/knowhow/topics/12082.html
※本調査結果を掲載される場合は、出典「MS-Japan調べ」https://www.jmsc.co.jp/knowhow/topics/12082.htmlと明記をお願いいたします。
【調査サマリー】
令和5年度(第73回)税理士試験の合格者数は7,125人で、合格率21.7%
令和5年度(第73回)税理士試験は合格者数・合格率ともに直近5年間で最高値
受験資格緩和により、簿記論・財務諸表論の受験者数がそれぞれ昨年比120%以上に
【令和5年度(第73回)税理士試験の合格者数は7,125人で、合格率21.7%】
令和5年度の税理士試験受験者数、合格者数、合格率は下記の通りです。
今年の試験からは受験資格が緩和されたこともあり、昨年の受験者数28,853人から実に4,040人増の32,893人が受験しています。
受験者数が増加した上に、合格率も昨年の19.5%から21.7%に上昇しているため、合格者数は7,125人と、昨年の合格者数5,626人から1,499人増の結果となりました。
受験資格の緩和によって税理士試験受験者・合格者数を増やそうという試みは成功したと言えるでしょう。
【令和5年度(第73回)税理士試験は合格者数・合格率ともに直近5年間で最高値】
上記の表・グラフを見てわかる通り、2020年試験で一度落ち込んだ受験者数もここ4年で回復傾向を示しており、今回の試験で2019年試験の受験者数を上回る結果となりました。
また、合格率はここ5年ではおおよそ20%弱で推移しておりましたが、今回試験は合格率21,7%と、ここ5年で最も高く、5,500人前後で横ばいだった合格者数が7,125人まで一気に跳ね上がっています。
ここ5年の試験の中では、合格率・合格者数ともに最高値をマークした、税理士業界にとって非常に好ましい結果となりました。
【受験資格緩和により、簿記論・財務諸表論の受験者数がそれぞれ昨年比120%以上に】
令和4年税理士法改正により、今回の税理士試験から受験資格要件が大幅に緩和され、受験資格の学識の要件が広くなりました。以下の表をご参照ください。
簿記論と財務諸表論については、これまでは日商簿記1級等の資格がない場合、大学や専門学校等で特定の学識要件を満たす必要がありましたが、今回の試験から受験資格は撤廃となったため、どなたでも受験が可能になりました。
税法科目については、「社会科学」に属する科目を少なくとも1科目履修していれば受験が可能になったため、文学部や理工学部の大学生・卒業生の方にも受験の可能性が広がっています。
※「社会学科」に属する科目とは、「法律学又は経済学に属する科目」に該当していた科目のほか、社会学、政治学、行政学、政策学、ビジネス学、コミュニケーション学、教育学、福祉学、心理学、統計学等の科目が該当します。
次に、受験資格の緩和によって税理士試験の受験者数や合格率がどのように変動したのかを解説します。
<簿記論・財務諸表論>
簿記論の受験者数は16,093人で、昨年の受験者数対比で124.9%。財務諸表論の受験者数は13,260人で、こちらは昨年の受験者数対比で131.1%となっております。
やはり、受験資格が実質的に撤廃されたことによって、受験へのハードルが下がった会計学科目に関しては、大きな受験者数の増加が見て取れました。
次に合格率に関してですが、簿記論は昨年の23%から5.6ポイント減少した17.4%となった一方で、財務諸表論は昨年の14.8%から13.3ポイントも上昇し、合格率28.1%と非常に高い合格率をマークしています。
簿記論はすべて計算問題であり、限られた時間内で正確な計算を求められるため、どうしても計算の練度が問われます。初受験者も増加したであろう今回試験では、簿記論合格に至るまでの計算力を身に着ける時間が足りなかった受験者も多かったのではないでしょうか。そういった背景から、簿記論の合格率は減少してしまったものと思料します。
一方、合格率が大きく上昇した財務諸表論ですが、こちらは計算ではなく財務諸表の作成方法やその考え方、ルールを学ぶ科目になるため、しっかりと対策を行い、理論を理解していれば合格を勝ち取れる科目です。そういった簿記論・財務諸表論の特性の違いもあり、今回の試験ではこの2科目に顕著な合格率の差が生まれたのではないでしょうか。
<税法科目>
税法科目に関しては、昨年と比較して受験者数、合格者数、合格率すべてにおいてさほど大きな変動は見て取れませんでした。
やはり、税理士試験を受験する人は簿記論・財務諸表論から受験をする方が圧倒的に多いため、今回受験資格が緩和されて受けやすくなった税法科目ではありますが、こちらに関しては大きな影響は受けなかったのでしょう。
しかしながら、今回簿記論・財務諸表論に合格した人の中には、これまで税法科目の受験資格を有していなかった人も存在しているでしょうから、来年以降の試験では、税法科目に関しても受験者・合格者が増加することがきたいできるのではないでしょうか。
本調査では、他にも「年齢別の試験結果」「科目別の試験結果」「税理士試験後の就職・転職活動情報」等、計6項目に渡る調査結果を掲載しております。
詳細はこちらの記事でご確認ください。
https://www.jmsc.co.jp/knowhow/topics/12082.html
【引用元】
国税庁『税理士試験』
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/zeirishi.htm
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