Akamai レポート:クラウドプロバイダーの選定において、デジタルネイティブ企業の 87% がコストやスケーラビリティよりもセキュリティを重視
急速にクラウド化が進むアジアのデジタルネイティブ企業における優先順位に変化
オンラインライフの力となり、守るクラウド企業、Akamai Technologies, Inc.(NASDAQ:AKAM)はアジアのデジタルネイティブ企業(DNB)を対象とした調査結果を発表し、これらの企業がクラウドの導入を加速する際にセキュリティとテクノロジーの複雑化という課題に直面するようになっており、ビジネスの継続的な成長にリスクをもたらしている状況を明らかにしました。
※本リリースは、2024年9月12日にシンガポールで発表されたプレスリリースの抄訳版です。
本調査『持続可能な成長に向けてセキュリティを優先するアジアのデジタルネイティブ企業』(※1)で、DNB は、テクノロジー導入を積極的に推進する企業として定義されています。これらの企業は、テクノロジーの進展に合わせたスピードで変化し、オンラインでの業務、生活、娯楽に関する顧客のニーズへの対応を図っています。Akamai の調査によると、DNB の 9 割が今後 12 か月間に効率と生産性を優先し、クラウドコンピューティングやAPIに対応したマイクロサービスなどのテクノロジーに投資していることが明らかになりました。IDC によると、2026 年までに DNB のテクノロジーに対する投資額は最大で 1,289 億ドルに達し、最も支出が増加するクラウドベースのテクノロジーの増加率は 37.3% になると予測しています。
「最先端テクノロジーはデジタルネイティブ企業の DNA の中核ですが、これはチャンスであると同時に課題でもあります。テクノロジー導入の加速は、DNB の弱点となる可能性もあります。IT の複雑化によって、クラウドの実装を脅かし、ひいては業績にまで影響を及ぼしかねない重大なサイバーリスクにさらされるからです」と、Akamai で Cloud Computing を担当する Chief Technology Officer の Jay Jenkins は述べています。また、「『クラウド時代の申し子』 であるDNB が潜在能力を最大限に発揮するためには、クラウドの性能を最大化し、マルチクラウドアプローチを採用してベンダーロックインの回避、柔軟性の向上、クラウドサービスの利用とコストの最大化を図る必要があり、そのための新しい手法を見つけなくてはなりません」
テクノロジーファーストの考え方が DNB のサイバーセキュリティ対策を阻害
DNB はクラウドネイティブの設計方針を採用し、競合他社に先行するための重要な差別化要因としてテクノロジーを活用しています。独立して機能し、API を介して通信するマイクロサービスを中心にして構築されたインフラを使用しているため、DNB はスケーリングが可能であり、市場投入までの時間を短縮できます。今回の調査によると、DNB の 74% はクラウドに完全に移行しているか、またはクラウドテクノロジーを採用しています。
オーストラリアとニュージーランドの回答者は、クラウドテクノロジーについて、これまでの破壊的なパワーという見方から、ビジネス上不可欠なコンポーネントになっているという見解に変わりつつあり、97% がクラウドソリューションを採用しているか、またはクラウドの採用を検討しています。一方インドでは、DNB は成長とイノベーションに重点を置いており、クラウドインフラ内での AI 統合は 98% と最高になっています。インドではほぼすべての DNB が、すでにクラウドソリューションを使用しているか、クラウドの採用を検討しています。さらに、インドの DNB はその発展とともに、セキュリティとコスト最適化、徹底的なベンダー評価に注力して持続可能な成長を追求しています。インドのデジタルネイティブは、技術革新における豊かな歴史を背景に、その地域の同等の企業よりもベンダーパフォーマンスを重視しています。
一方でアジアの DNB は迅速さを優先してクラウドテクノロジーを導入するため、ソフトウェア、システム、サービスの環境が複雑になりやすく、より大きなサイバー脆弱性にさらされる可能性があります。セキュリティへの影響を管理することは、クラウド移行の段階に関係なく DNB にとって絶えず課題となっています。DNB の 75% が、セキュリティをクラウドインフラの性能と機能の最大のギャップとして認識しており、その他の問題、たとえばネットワークレイテンシー、データストレージ、データ取得、コンピュートリソースなどを上回っています。実際、44% の回答者が、セキュリティギャップへの対処における最大の課題は IT インフラの複雑化から発生する、と回答しています。
クラウド移行を急いだことでパフォーマンスの追求を阻害する恐れがある重大な課題を引き起こし、DNB は、ビジネス成長の追及に伴うサイバー脅威の増加を無視できなくなりました。
クラウドの最適化と API セキュリティの強化
DNB は「クラウド時代の申し子」ですが、オンラインライフの安全を確保することは依然として課題となっています。クラウド、データ、AI の分野では新たなテクノロジーが台頭しており、その可能性を最大限に活用しようと格闘しているからです。DNB は、API とクラウドベースのインフラを広範囲で使用しているためサイバー攻撃の主要な標的となり、従来型の企業と比較してフィッシング、アカウント侵害、ランサムウェアのリスクが高まっています。
本調査によると、DNB がクラウドセキュリティの問題に対処するための優先事項としてアクションリストのトップにあげているのは API のセキュリティです。9 割が、クラウドプロバイダーやセキュリティプロバイダーを評価する際に API のセキュリティがきわめて重要、または重要な製品機能であると回答しています。DNB の 87% が、クラウドプロバイダーの選定において、パフォーマンス、評判、スケーラビリティ、コストよりもセキュリティ機能を重視すると述べています。増加するサイバー脅威に対抗するために、DNB はテクノロジーパートナーからサポートを受けながらサイバー攻撃者が悪用する可能性のある「部品を繋ぐ鎖(API)の脆弱な箇所」を特定する必要があります。
「API は、最新のクラウドネイティブインフラのいわば結合組織です。アジャイルで柔軟な、セキュリティが確保された運用を実現するためには、最新のセキュリティフレームワークで高度な API セキュリティ対策、定期的な API セキュリティ監査、API アクティビティに対する高い可視性を提供する必要があります」と Jenkins は述べています。
APIセキュリティの観点で最もリスクが高いセクターとしてあげられるのは、ゲーム、ハイテク、動画メディア、コマースです。イノベーションと市場投入までのスピードを追求する中で DNB は、セキュリティチームが適切に評価できるようになる前に API を使用したアプリケーションやプロセスを開始する可能性があり、その結果、サイバー脅威にさらされるリスクが高まるかもしれません。ASEAN ではフィッシングが DNB にとって大きな懸念事項になっていることから、APJ 地域の同等の企業に比べてフィッシング対策テクノロジーへの投資の優先度が高くなっています。フィッシングの手口は、電子メールベースの攻撃から進化しており、現在ではモバイルデバイスやソーシャル・メディア・プラットフォームまで拡大しています。その結果、ASEAN は APJ 地域の同等の企業と比較して、フィッシング対策テクノロジーへの投資額が大きくなっているのです。ASEAN はフィッシングが特に多発しており、2023 年だけでも 50 万件ものケースが報告されているので、こうした関心の高まりも当然と言えます。
アジアの DNB は、クラウドの導入過程においてこのような複雑化とセキュリティの課題に対処しているため、その知見は、様々な背景やクラウドの成熟度を持った企業の行く末を見通すうえで参考になります。現代のデジタルビジネスでは導入と実装をスムーズに成功させるために新しいツール、スキル、パートナーが必要であり、クラウドテクノロジーと API 対応サービスは、目的の実現のために欠かせない要素になっています。
※1:https://www.akamai.com/resources/research-paper/asia-digital-native-businesses-report
調査レポートについて:
『持続可能な成長に向けてセキュリティを優先するアジアのデジタルネイティブ企業』は、Akamai の委託を受け、Technology Advice が調査を実施しました。オーストラリア、ニュージーランド、東南アジア、インド、および中国のテクノロジーリーダー 200 人以上を対象とした今回の調査によって、アジアの DNB のビジネス上の優先事項と技術的な懸念が明らかになりました。
Akamai について:
Akamai はオンラインライフの力となり、守っています。世界中の先進企業が Akamai を選び、安全なデジタル体験を構築して提供することで、毎日、世界中の人々の生活、仕事、娯楽をサポートしています。超分散型のエッジおよびクラウドプラットフォームである Akamai Connected Cloud は、アプリと体験をユーザーに近づけ、脅威を遠ざけます。Akamai のクラウドコンピューティング、セキュリティ、コンテンツデリバリーの各ソリューションの詳細については、akamai.com および akamai.com/blog をご覧いただくか、X(旧 Twitter)と LinkedIn で Akamai Technologies をフォローしてください。
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