【世界陸上】男子4×400mリレー・アジア新記録&世界選手権最高成績で4位入賞!
7月24日の午後、10日間にわたるオレゴン世界選手権2022が、いよいよ最終日のセッションを迎えました。この日は、トラック&フィールドともに注目種目の決勝が目白押し。十種競技を含めると実に8種目の決勝が、3時間弱の間に実施される豪華なタイムテーブルが組まれました。
日本勢は、このセッションの最初の種目として行われた女子100mハードル準決勝と、男子トラック最終種目として行われた男子4×400mリレー決勝に出場しました。
女子100mハードル準決勝では、福部真子選手(日本建設工業)が入った1組(+0.9)で、1着となったTobi AMUSAN選手(ナイジェリア)が12秒12 の世界新記録を樹立。非常にハイレベルなレースとなったなか、福部選手も高い集中力でインターバルを刻み、7着と同タイム(着差あり)の8着ながら、12秒82の日本新記録をマークしました。2組目で出場した青木益未選手(七十七銀行)も、第1ハードルをトップでクリアする入りでレースを進め、向かい風0.1mのなか13秒04でフィニッシュ。こちらも6着の結果でした。
男子4×400mリレー決勝には、2003年パリ大会以来9大会ぶりに日本が進出しました。予選と同じく1走に佐藤風雅選手(那須環境)が入り、川端魁人選手(中京大クラブ)、ウォルシュジュリアン選手(富士通)とつないで、アンカーを中島佑気ジョセフ選手(東洋大学)が務めるオーダーで、3レーンからスタート。佐藤選手が45秒73のラップ(以下、各選手のラップタイムと通過順位は大会公式発表の情報に基づく)で回って5番手で川端選手にバトンをつなぐと、川端選手は45秒19のラップを刻み、6位で3走のウォルシュ選手に。実に43秒91で1周をまわったウォルシュ選手は、2チームをかわして4位に浮上し、アンカーの中島選手にバトンを託しました。中島選手は強豪の集うメンバーのなかでも全く引かず、果敢な走りを披露。上位3チームを逆転することは叶いませんでしたが、44秒68のラップで走りきり、世界大会では2004年アテネオリンピックの4位に並び、世界選手権では最高成績となる4位でフィニッシュ。この種目で初めて3分を切る2分59秒51の日本新記録とともにアジア新記録を樹立して、2000年以降、他国に奪われていたアジア記録を奪還しました。
◎男子4×400mリレー 決勝 4位 2分59秒51 =日本新記録
1走:佐藤風雅(那須環境)
1走で、いい順位で川端選手に(バトンを)回すということを目標にしていたが、今日はタイムを落としてしまって、川端選手が後ろから勝負するような展開にしてしまった。1走の流れをつくることができず、すごく悔しい。前半が昨日よりも風が強くて、冷静に走ってはいたが、それでも遠くに見えるアメリカと、ほかの海外選手を意識した瞬間に、少し力の入った前半になってしまった。後半は余力が残っていると思っていたのだが、自分の弱さのラスト10~20mの走りが出てしまって、自分が先行していたはずのチェコの選手に抜き返されるような展開になってしまった。1走としての務めは、来年こそ果たしたい。
初の決勝だったが、「決勝に行けたからいいや」ではなく、「絶対にメダルを取ろう」と始まる前からみんなで言っていた。それが本当に目の前にあっただけに、(4位という結果は)本当に悔しく思う。だからこそ、今回のレースで、それぞれの反省点が絶対に見えてくるはず。来年、すぐに世界陸上がやってくるということで、そこで絶対に、銅ではなく、それよりいい(色の)メダルを意識して、そのときにまた強い4人が集まって、マイルができればいいなと思っている。
2走:川端魁人(中京大クラブ)
自分が想定していた前半200mのスピードが、予選よりはるかに速かった。そこで最初から最後まで中途半端なレースになってしまった。もう少しメリハリのあるレースをして、いいポジションを取れていたら、また流れも変わってきたのかなと思う。レースのなかで、どのポジションに行くかというのが2走の一番大事なところ。次、もし世界陸上やオリンピックで2走を務める場面があったら、今回の経験を生かして、次はいい流れを2走の時点でつくって3走につなぐということをしたいなと思うし、そこが課題だと思う。
(45秒19というラップの感想を問われて)力を出しきれたら、44秒7とかを出せると思っていたので、終始いいポジションでレースできなかったということが、ラップを落としてしまったのかなと思う。最初の100mは、自分では行ったつもりなのだが、バックストレートに入ったときに選手がごった返ししていて、どこに入ろうかと悩んでしまったのがよくなかったと思う。
3走:ウォルシュジュリアン(富士通)
自分に委ねられた走りをしなければいけなかったので、本当に攻めたレースをして、順位を上げなければいけないという、本当にそこだけを意識して走った。あとは4走のジョセフくんに、いい順番で(バトンが)渡ればいいなという思いで走った。
自分の走り自体は、200mくらいからの切り替えの時点で、けっこううまく行ったかなと思う。1つか2つくらい順位を上げられたと思う(注:実際には2つ上げた)ので、そこでジョセフくんに(バトンを)渡して、もうあとは任せるという感じだった。
ファイナルということで気持ちが昂ぶって、今年1番の走りができたんじゃないかと思っている。それができたのは、前の2人がいい位置で(バトンを)持ってきてくれたから。だから僕がすごく走りやすい形になったのだと思う。
ただ、狙っていたのはメダルで、日本新記録は当たり前という考え方だったので、更新した喜びよりは悔しさのほうが大きい。(この結果で)4継(4×100mリレー)だけでなく、マイル(4×400mリレー)も昔みたいに「日本のお家芸」みたいな形で、また復活させたい。
4走:中島佑気ジョセフ(東洋大学)
悔しい。ただ全力で戦って、4人が出せる力を出しきって、こういう結果になったので、もちろんめちゃくちゃ悔しいし、特に僕も最後で(上位3選手に)離されてしまったというのは、ただただ実力不足ではあるのだが、「今できることはやったかな」というのはあるので、「ここから頑張ろう」というのと、まずは「楽しかった」という思いがある。
バトンを4番目でもらって、とにかくマイルは流れに乗るために、前を行く選手の後ろにしっかりつく必要があるので、最初はちょっと頑張って後ろについていった。バックストレートは向かい風だったので、そこでうまく後ろについて楽ができたのもあるが、でも、自分の得意とする後半で離されてしまったことが、相当悔しかった。僕があと1つ(順位を)上げればメダルだっただけに本当に悔しいし、目の前でその目標が絶たれてしまったことも本当に悔しい。
バックストレートで(前の選手に)つけたときは、「チャンスがある」と思い、落ち着いて行けたのだが、離されて始めてからは「もっと頑張らなきゃな」という気持ちになった。ただ、諦める思いは最後まで全くなくて、僕は後半強いタイプなので、(前の選手を)抜かせるかと、ひとすら捉え続けて、本当に最後の最後の1秒まで諦めずに戦った。メダルは本当に目指していたし、最後まで諦めずに「やれる」と信じて走りきった。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト
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