【イベントレポート】AI時代のプロジェクトマネジメントの未来を語る 日本プロジェクトマネジメント協会×AKKODiS共催イベント

世界30ヵ国でデジタルエンジニアリングを核としてスマートインダストリー領域をリードするAKKODiSの日本法人で、現場変革の力とデジタル技術により企業の生産性向上とAIトランスフォーメーションの実現を支援するAKKODiSコンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:川崎 健一郎、「以下、AKKODiS」)は、2月19日、日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)理事長 加藤亨氏をお招きした「プロジェクトマネジメントによる価値創造とは?」をテーマとしたイベントを開催しました。加藤氏のご講演の後には、AKKODiSの代表取締役社長の川崎健一郎から「AI時代における価値創出を目指すプロジェクトマネジメントの在り方」について講演を行いました。
参加者は現在プロジェクトマネジャーとして働いている方や同職に興味があるビジネスパーソンが中心となり、会場参加は40名、オンライン参加は約120名と、PMに対する興味関心の高さがうかがえました。

イベントの冒頭では、AKKODiS執行役員 兼 Cloud AI Solution本部 本部長の田中健司より、当社でのプロジェクトマネジャーの働き方やキャリアマップを説明した後、PMAJ理事長の加藤氏によりご講演いただきました。

「企業の価値創造を持続的に支えるプロジェクト(プログラム)マネジメントとは」
日本プロジェクトマネジメント協会 理事長 加藤 亨氏
加藤氏は、日本プロジェクトマネジメント協会の立場から、企業の価値創造を持続的に支えるためのプロジェクト(プログラム)マネジメントの重要性について講演しました。特に、日本のDXの遅れと国際競争力の低下について問題提起し、その解決策としてPMの導入について提言しました。
「日本の国際競争力は1990年代初頭には世界1位でしたが、現在では38位まで低下しています。」と加藤氏は指摘。その要因の一つとして、「特にIT開発の外注依存が強く、企業内にIT人財が不足していることが競争力低下を招いています。また、インターネットの普及により産業構造が変化し、『ものづくり』から『仕組みづくり(サービス提供)』へのシフトが求められて久しいなか、日本企業は適応が遅れています」と国内のビジネスモデルの変遷と課題について解説しました。
日本のIT活用の課題として、「ITプロジェクトの進め方において『目的達成』ではなく『how to』に焦点が当たりやすく、その要因としていまだに従来型のウォーターフォール方式が主流で、柔軟な対応が難しく、DX推進が遅れています」と指摘しました。
さらに「日本では予算制度の硬直化もDX推進を妨げる一要因です。欧米ではプロジェクト型予算を採用し、必要に応じて予算を調整しますが、日本では部門ごとに固定的な予算が割り当てられるため、柔軟な運用が難しく、アジャイル開発の導入も進まないことが、企業DXの推進を阻んでいます」と課題を提示しました。
こうした状況を打開するために、「ITプロジェクトにおいてはビジョンを明確にし、課題を洗い出し、複数のプロジェクトを統合的に管理するPMが必要であり、このアプローチにより、企業の戦略とIT投資を整合させ、持続的な価値創造を実現できます」と述べました。
その具体的な実践方法として、日本プロジェクトマネジメント協会が提供する「P2M(プログラム&プロジェクトマネジメント)」が紹介されました。
最後に加藤氏は、日本企業が変革し、持続的な価値を創造するためには、「ものづくり」から「仕組みづくり」へ、そして「価値共創型のマネジメント」へとシフトしていくことが不可欠であると強調しました。

「AI時代における価値創出を目指すプロジェクトマネジメントの在り方について、現状の課題とその解決策を考察する」
AKKODiSコンサルティング株式会社 代表取締役社長 川崎健一郎
川崎からは、AI時代の価値創出を目指したPMのあり方について、現状の課題とその解決策を考察。「私はプロジェクトマネジャーやエンジニアではなく経営者ですが、経営そのものがPMとの共通点が多い」として、これまでの経営者としての経験から、日本企業のITプロジェクトにおける課題として以下の4つを挙げました。
【日本企業のITプロジェクトにおける課題】
1. IT投資の目的は、短期的には業務効率化、中・長期的には次世代新規ビジネス創出とビジネスモデルの変革が挙げられており、複雑化している。
2. 品質・コスト・納期(QCD)は悪化傾向。ウォーターフォール型からの脱却ができず、課題がブラックボックス化。
3. 2により社内へのノウハウ蓄積が進まず、ICT人財が偏在配置されていることにより、推進速度が遅い。
4. 外部ベンダーへの依存が強いため、ユーザー企業内の人財育成が遅れ、内製化やアジャイル開発を通じたDX推進力を低下。(日本のIT人財は、72%がSierに所属し、ユーザー企業には28%しかいない)
「QCDは悪化傾向にあります。特に、日本のIT業界では多重下請け構造により、ユーザー企業と開発者の距離が遠く、ノウハウの蓄積が難しいという課題があります。しかし、AIの進化により、これまでの開発のあり方がひっくり返る可能性があると考えています。膨大な工数を要していた要件定義・設計の自動化、コード生成の効率化が進み、アジャイル開発の必要性が高まると予測しています」と説明しました。
今後のPMでは、「ウォーターフォール型の管理中心マネジメント」から「成果価値ベースのROIマネジメント」への転換が求められるとのこと。「このAI時代に求められるプロジェクトマネジャーは、単なる進捗管理をする担当者ではなく、AIを活用しながらクライアントと価値を共創する“戦略的パートナー”になるべきだと考えます」と強調しました。
さらに、従来の発注者と受注者の関係を超えた、AKKODiSが目指す<Fusion(融合)>の概念を解説。発注側と受注側が融合し、互いのリソースを最大限活用しながらプロジェクトを推進、新しい価値を生み出すことが、DX時代において不可欠だと説明しました。「従来の発注者・受注者の関係を脱却し、ユーザー企業自体が自立し、長期的な価値を生み出せるようにする新しいパートナーシップの形であり、AKKODiSではチームが取引先企業や組織の現場と<Fusion>することで、組織内部から変革を促進し、DXをお客様と共に進めていきたい」と力を込めました。
最後に、AI時代におけるプロジェクトマネジャーの役割について、「AIを活用した価値創出力の強化」、「クライアントとの共創」が重要だと強調しました。

トークセッション
「プロジェクトマネジメントによる価値創造とは?」
2名の講演の後、「PMによる価値創造とは?」をテーマに加藤氏と川崎によるトークセッションを展開しました。
1. 価値創造のためのプロジェクトマネジメント
加藤氏は、発注者と受注者が対立する構造を超え、「価値共創型」のプロジェクト運営が重要であると強調。その中で「プロジェクトエコノミー」の概念に触れ、プロジェクト自体が価値創出の中核を担う時代が到来していると指摘しました。これに対し川崎は、AKKODiSが提唱する<Fusion>の概念を導入し、発注側・受注側が融合して価値を創出するべきだと述べました。
2. AI時代のプロジェクトマネジメント
川崎は、AIがPMを変革しつつあると説明。例えば、AIが要件定義や設計を自動化し、開発作業の大部分を代替できる可能性があるため、プロジェクトマネジャーの役割も変わっていくことを示唆。この意見に加え、加藤氏は、「AIは過去データから学習するため、本質的な価値創造や新規性を生み出すのはPMやプロダクトオーナーなど人間の役割」と強調しました。
3. <Fusion>を実現するためのプロジェクトマネジャーの役割
セッション終盤では、「フュージョンを実現するためにプロジェクトマネジャーに求められる行動」について意見交換が行われました。
川崎は「顧客の持つ資産と自分たちが持つ資産を最大限に活用することが鍵。発注側と受注側のリソースを区別せず、共通のゴール達成に向けて積極的に資産を活用すべき」と述べました。
加藤氏は「発注者・受注者という立場を超えて、目的を見失わず価値を生み出すことが重要。プロジェクトマネジャーは契約の枠を超え、社会的に意義のある成果を生み出すことを重視すべきです」と提言しました。
会場やオンライン参加者からも多くの質問が寄せられ、活発な意見交換が行われました。アンケートの満足度も非常に高く、好評のうちにイベントは終了しました。

AKKODiSコンサルティング株式会社について
AKKODiSは、デジタルとエンジニアリングを融合させたソリューションを世界30ヵ国で提供するスマートインダストリー領域におけるグローバルリーダーです。日本法人のAKKODiSコンサルティング株式会社は、「日本企業を、世界企業へ、現場変革から。」をビジョンに掲げ、7,000名を超える現場を熟知したスペシャリストが、現場変革の力とデジタル技術を駆使し、企業の生産性向上とAIトランスフォーメーションの実現を支援しています。AKKODiSのチームが企業および組織の現場との融合<フュージョン>による独自のアプローチにより、組織内部から変革を促進し、世界スケールの事業をお客様と共に創出します。
【AKKODiSウェブサイト】 https://www.akkodis.co.jp/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像