上気道感染症の早期診断のための検査機器を開発
~口腔・咽頭映像による新型コロナ感染診断の可能性 ~
順天堂大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科学の池田勝久教授の研究グループは、スカラ株式会社(東京都新宿区、山本正男CEO)と共同で、風邪やインフルエンザなどの上気道感染症、特に新型コロナウイルス感染症において口腔・咽頭の映像による感染の早期診断を目的にした検査機器を開発しました。
特許技術を活用した本機器は、口腔・咽頭の粘膜を透過して血管像を撮影することが可能なため、ウイルス感染による血管変化を確認することで、PCR法や抗原検査よりも早く、初期段階で感染を検出できる可能性があります。口腔内の映像を撮影するだけなので検査時の身体への負担が少なく、また、秒単位の検査時間で、消耗品も無いため、何度でも測定することが可能です。今後、国内外の医療機関、自治体と協力して、症例データ(映像)を収集し、そのデータを解析していくことで、新型コロナウイルス感染症の鑑別を目的としたAI自動診断の確立を目指しています。
なお、本機器の開発は、本学の共同研究講座「高精細画像医療応用講座(研究代表者:佐藤信紘特任教授)」とスカラ社との話し合いからスタートしたものです。さらに、東京大学の松尾研究室(松尾 豊 教授)のアドバイスを受けつつ、AIによるオンライン自動チェックの仕組みの構築も検討を進めています。
<本研究のポイント>
背景
人体は皮膚や粘膜に異物が付着すると、免疫反応によって毛細血管が増殖し膨れ上がることによって発赤を起こします。アレルギーの有無を検査するパッチテストはこの現象を利用したものです。皮膚には角質細胞による皮膚バリアがありますが、パッチテストによりアレルギーが確認できる場合、2日以内に発赤が認められます。一方、粘液によるバリアで守られている口腔内も、ウイルス、細菌が侵入するとパッチテストと同様に短時間で発赤を起こします。新型コロナウイルス(COVID-19)に対する機能的受容体であるACE2 (*1)、NRP1 (*2) 、TMPRSS2(*3)は口腔、咽頭、鼻腔などの上気道の上皮細胞と血管内皮細胞に多く発現し、初期感染の侵入経路になっています。このことから、本研究グループは初期の侵入経路である上気道粘膜と血管を微細に観察することでウイルス感染を早期に検出することを目的にした検査機器を開発しました。さらに、AIによる画像処理に耐えられるように粘膜の反射を完全に消して、組織の完全な血管映像を取得できる技術を利用しました。
本機器の特徴
【1】粘膜透過映像技術
本研究の特許映像技術の原理は、照明光を直線偏光化し、受光をそれと直交する偏光のみ通過させるものです。口腔内は外光が無いため、この方法により血管の完全な映像を得ることができます。 これによってAIの画像処理に必要な映像を得ることができます。
【2】使用方法
小型で携帯可能な口腔内撮影機器(写真左)を用い、専用アプリケーション(※)を通して撮影された映像は、WiFiでスマホなどにライブ送信が可能です。また、撮影された映像はデータサーバーにも記録されます。
なお、本機器の開発は、本学の共同研究講座「高精細画像医療応用講座(研究代表者:佐藤信紘特任教授)」とスカラ社との話し合いからスタートしたものです。さらに、東京大学の松尾研究室(松尾 豊 教授)のアドバイスを受けつつ、AIによるオンライン自動チェックの仕組みの構築も検討を進めています。
<本研究のポイント>
- 本機器により上気道ウイルス感染症の感染/非感染の識別が可能。
- PCR法や抗原検査などに比べて感染初期の検出が可能。
- 上気道感染症の種類、特に新型コロナウイルス感染症を特異的に鑑別し、AI自動診断の確立を目指す。
背景
人体は皮膚や粘膜に異物が付着すると、免疫反応によって毛細血管が増殖し膨れ上がることによって発赤を起こします。アレルギーの有無を検査するパッチテストはこの現象を利用したものです。皮膚には角質細胞による皮膚バリアがありますが、パッチテストによりアレルギーが確認できる場合、2日以内に発赤が認められます。一方、粘液によるバリアで守られている口腔内も、ウイルス、細菌が侵入するとパッチテストと同様に短時間で発赤を起こします。新型コロナウイルス(COVID-19)に対する機能的受容体であるACE2 (*1)、NRP1 (*2) 、TMPRSS2(*3)は口腔、咽頭、鼻腔などの上気道の上皮細胞と血管内皮細胞に多く発現し、初期感染の侵入経路になっています。このことから、本研究グループは初期の侵入経路である上気道粘膜と血管を微細に観察することでウイルス感染を早期に検出することを目的にした検査機器を開発しました。さらに、AIによる画像処理に耐えられるように粘膜の反射を完全に消して、組織の完全な血管映像を取得できる技術を利用しました。
本機器の特徴
【1】粘膜透過映像技術
本研究の特許映像技術の原理は、照明光を直線偏光化し、受光をそれと直交する偏光のみ通過させるものです。口腔内は外光が無いため、この方法により血管の完全な映像を得ることができます。 これによってAIの画像処理に必要な映像を得ることができます。
【2】使用方法
小型で携帯可能な口腔内撮影機器(写真左)を用い、専用アプリケーション(※)を通して撮影された映像は、WiFiでスマホなどにライブ送信が可能です。また、撮影された映像はデータサーバーにも記録されます。
※アプリケーションは現在、「ScalarShot」を提供しています。iPhone専用アプリとなるため、AppStoreからのインストールが必要になります。
今後の展開
- 国内外の医療機関、自治体と協力し、本機器による「健常例」「新型コロナ感染例」「その他の上気道感染症例」の映像をそれぞれ1,000例を目標に収集します。
- 各症例について、時系列のデータを収集します。
- 協力を得られる医療研究者に映像を共有し、診断方法などを議論共有します。
- 得られたデータをもとにAI自動診断の確立を目指します。
- 本機器を必要とする国内外の現場への導入を進めます。
用語解説
*1)ACE2:Angiotensin converting enzyme-2は心血管系や肺機能を調整するレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系に属する分子で、コロナウイルス属の機能的受容体としても知られている。
*2)NRP1:Neurophilin-1はACE2との結合に引き続いて新型コロナウイルスと結合してウイルスの侵入と感染を促進させる。
*3)TMPRSS2:Transmembrane protease serine 2 は新型コロナウイルスがヒト細胞のACE2とNRP1受容体に結合した後にウイルスの蛋白質を切断し、ウイルスがヒト細胞に侵入する。
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