【報道参考資料】イラク北部・モスル 避難民危機 検問所で立ち往生する市民たち
イラク最大のダムが破壊される懸念も
※本信は ユニセフ本部の情報を日本ユニセフ協会 広報室が翻訳、独自に編集したものです
※原文をご入用の際は 広報室(後述)までお問い合わせください
【2014年6月11日 バグダッド発】
■概況
・イラク大統領は、連邦議会に非常事態宣言を要請、12日木曜日に協議
・反政府勢力はイラク第二の都市モスルを占拠、多くの市民が避難、政府や人道支援
関係者も退避
・クルド自治政府は、50万人が避難と推定
・ユニセフは、他の国連機関とともに北部のエルビル州、ドホーク州の検問所を訪問
・検問所は、多くの人と車であふれている
・避難している大部分は、子どもを含む家庭で、検問所で立ち往生状態
・妊婦や医療ケアが必要な人もいるが、保健サービスへのアクセスが限られている
・検問所には、トイレがない(大勢の人がおり、今後の衛生環境の悪化を懸念)
・検問所には、日よけがなく、直射日光が照りつけている、また食糧や水の配給も
ほぼない状況
・ユニセフは、最初に到着した避難者2万人の支援を準備中
・反政府勢力は「ISISはクルド自治区にその影響を及ぼす計画はなく、戦闘を起こさない」
との声明を発表
■懸念
・今後も避難する人は増加するとみられているが、アクセスとニーズの点で深刻な危機に
・非常事態宣言が発令されると、テロとの戦いとなり、より多くの市民が犠牲となる恐れ、
子どもの保護と子どもへの虐待が大きな懸念に
<モスルにあるイラク最大のダム>
・このダムが破壊されると、モスル、サラハディン(Salahadin)、バグダッドの給水に
大きな影響
・夏の到来を前に、貯水量が減るばかりでなく、イラク北西部における食糧生産にも
大きな影響
・今年5月に洪水が起きたバグダッド近郊のAbu Graibでは、すでに2万人が被災
・ダム崩壊となれば、甚大な被害が生じ、さらに避難する人が増え、家畜や収穫の
多くが失われることに
■市民への影響
・ニナワ州はイラクの国土の3分の1を占め、バグダットから北に415kmに位置、人口は
335万4,000人
・モスルの市民は約200万人で、チグリス川の両岸(西と東)を5つの橋がつなぐ
・東側が旧モスル市街で、多くの行政機関がある
・避難民は3つのグループに分かれる、現時点では2.3のニーズ調査実施が困難
1.すでにクルド自治区に入った市民で、その多くは家族の支援を受けている
(支援必要度:低)
2.モスルの戦闘地域に取り残され、立ち往生している市民(要ニーズ調査)
3.モスル郊外の市民(最も支援の必要度が高いとみられる)
・6月9日にユニセフとパートナー団体が行った初期調査にでは、東側から1万5,500人
以上が脱出
・また、2,000から3,500人がエルビルトドホークに到着
・3,000人以上が、クルド自治政府の検問所(Al Bardiyah)で足止め
・避難者が最も必要としているのは飲料水
・避難者の大部分は、親類宅や学校、モスク、病院に身を寄せている
・飲料水、衛生用品、テント、高カロリービスケット、医療ケア、子どもにやさしい
空間が不足
・モスルにある5つの病院はすべて機能停止
・支援団体などが運営する診療所もほぼ閉鎖
・妊産婦ケアまた分娩サービス、外科手術、緊急搬送などのサービスの運営は不明
・商店や市場も閉まっており、食糧が手に入らない状況
・市民の多くは、予防接種率が低い地域へ移動しており、今後、ポリオやはしかといった
感染症が発生する恐れ
・WHOなどとともに、検問所での予防接種の実施を検討
・ペットボトル入りの水や衛生用品を検問所で配布できるよう手配中
・クルド自治政府より、検問所にトイレを建設するよう要請あり
■ユニセフが検問所で予定している支援活動
・ボトル入り飲料水の提供
・仮設トイレを含め、衛生環境の改善、衛生用品の提供
・子どもの保護のモニタリング
・予防接種
■活動資金
・最大の懸案となっているのが活動資金
現時点で必要とされる資金は760万米ドル
・今回の危機が発生する前、5月末時点で、ユニセフは1,937万9,000米ドルの資金を要請
したが、現時点で寄せられたのは16%の319万6,452米ドルに留まる(84%の資金が不足)
■ 本件に関するお問い合わせ
日本ユニセフ協会 広報室
TEL:03-5789-2016 FAX : 03-5789-2036 Eメール:jcuinfo@unicef.or.jp
または
Jeffrey Bates, Chief of Communication, UNICEF Iraq, Mobile: 964 7801 964 524
jbates@unicef.org
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