総合刃物メーカーの貝印、カミソリ・ビューティーケア・調理・業務用分野の4商品において「2020年度グッドデザイン賞」を受賞
~社としてデザイン力強化に向けた取り組みも展開~
総合刃物メーカーの貝印株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:遠藤 宏治)は、VIO専用カミソリ「DANDYCARE」・「FEMINICARE」、「ズレずにつかむ毛抜き」、「鰹ぶし削り器(カバー付き)」、業務用ナイフ「異物混入対策スリットナイフ」の4商品において、公益財団法人日本デザイン振興会主催の「2020年度グッドデザイン賞」を受賞いたしました。
貝印は、1973年よりグッドデザイン賞へ応募し、昨年2019年までにカミソリ、ビューティケア、調理、医療など幅広い分野において92商品がグッドデザイン賞を受賞、今年で累計96商品が受賞いたしました。2020年度においても消費者に寄り添った機能性の高いデザインを評価いただきました。
貝印デザイン部では、プロダクトデザイナー、グラフィックデザイナーともにコンセプトを共有したデザイン開発を行い、グローバルな商品開発を通して、文化やニーズの多様性を把握し企画しています。今後も皆様の生活に寄り添った商品を展開し、より豊かな生活の実現に寄与してまいります。
紹介動画:https://youtu.be/Ipz1xk6Q1vU
受賞商品について
【商品概要】
税抜価格 :1,500円 各2本入り発売日 :2019年12月16日
【評価コメント】
表・裏・側面に指が置ける「自在ハンドル」(特許取得)、Wプロップ構造(特許取得)による視覚の確保、刃が直接肌に触れないクシ状ガードなど、小さなボディーの中にユーザーの使用シーンをサポートする多くの機能を内包しつつも、一貫性を持たせ、すっきりとしたデザインにまとめ上げている点を高く評価する。
【デザイナーによるコメント】
デザイン担当:大塚淳、加藤弥生、落合章吾
ヘッドとハンドルを繋ぐ支柱(プロップ)の間の窓から、視界を確保しやすい安心設計とした。また、ハンドルの表・裏・側面に指が置ける構造とすることにより、VIOゾーンの凹凸やカーブに合わせて、窓から刃の動きを見つつ握り方を変えることで、多様な剃り方に対応できるため、アンダーヘアを狙い通りに処理することができる。 さらに、刃よりわずかに前に出ている細かいクシ状ガードを採用し、肌を守りつつ、VIOゾーン特有の縮れ毛や絡まりを整えながら処理することが可能となる。パッケージは、アルファベットの「VIO」をモチーフとしたグラフィックパターンをベースとしている。店頭で手に取っても気恥ずかしさを感じないよう、カラーリングやメタリックな紙質でファッション性を持たせたほか、紙とブリスターの圧着仕様により樹脂量の削減を行い、人と環境へのやさしさに配慮した。
●ズレずにつかむ毛抜き
【商品概要】
税抜価格 :1,000円発売日 :2020年3月3日
【評価コメント】
道具のあり方の1つに、トラブルなしに誰もがその道具を使いこなせるようにすることがあるだろう。ズレずにつかむ毛抜きは、その点で非常に優れている。その工夫は指で持つ部分に集約されている。指で持つ部分に幅をつくり、持つ際の剛性とフィット感を上げながら、その幅のある部分に穴を設け、横ズレ防止の凸パーツを嵌め込む構造にしている。
毛抜きが開いている時も閉じている時も、常にこの凸部と穴とが嵌合して横ズレを防止する構造になっており、それが毛抜き本体の内側に全て収まるように設計されているため、指に当たることもない。
一般的に毛抜きは、強く指で握り過ぎると、強度不足からたわみが生じ、毛抜きの先端が開いてしまうが、内側に設けられた凸部の斜め形状の土台が、指の過度な握力を緩衝する役割を果たすため、強く握ってもしっかりと先端に力を伝えることができる。誰もが使いやすい道具につくり込まれており、審査員の間で評価が高かった。
【デザイナーによるコメント】デザイン担当:門倉麻以
従来品では金属板の表面に出ていた横ズレ防止機構のパーツを内部に収め、ストッパーの凸部と凹部が嵌まる設計にすることで、従来品と比較し約40%スリムに。さらに先端が開いた状態でもストッパーの凸部と凹部が嵌まり、常に横ズレ防止が機能している。 指の腹が食い込むフィンガーレストの凹面形状により、親指と人差し指の距離が近くなり、微細な指の感覚まで毛抜き先端にしっかり伝わる「指と一体化構造」を実現した。 金属板外形は先端と後端を細くすることで、細やかな作業性の向上と開閉の軽さへ寄与すると同時に必要最低限の本体サイズおよびシンプルな外形とした。
●鰹ぶし削り器(カバー付き)
税抜価格 :3,800円
発売日 :2020年3月10日
【評価コメント】
ロングセラーの先代をうまく現代の生活に合うようにリニューアルしている。洗練されたデザインだがモダンすぎない。日本食のイメージを残しながらシンプルかつ丁寧に形づくり、一見して道具としての信頼性を感じるものに仕上げている。樹脂と天然木という特性の異なる素材の組み合わせは嵌合などの問題が出やすいが、ものづくり的にも細かな工夫が見られる。昨今自分で鰹ぶしを削るということが少なくなっていると思われる中、やってみようと思うハードルを下げるのではないだろうか。
【デザイナーによるコメント】デザイン担当:門倉麻以
2部品構成により洗いにくさのあった受け皿を、一体成型にするため構造の見直しを行った。カンナをセットする段差は受け皿の下部が一回り小さくなるため、安定性を損なう課題があったが、段差箇所を必要最小限にし、接地面を極力外側に配置することで、使用中の安定性を確保した。
カンナの前後には鰹ぶしを削る際に最も力が加わるため、ガードの樹脂に厚みをつけ強度を持たせた。 カバーは横に切り欠きを設けたことで、受け皿をしっかり保持しながら端からの安全な取り外しが可能となった。
受け皿とカバーの前後に傾斜を付けることで、隅の洗いやすさや削り節の取り出しやすさに寄与し、同時に削る行為を連想させるシャープな印象を造形的に表現した。また熟成した鰹ぶしの色合いを表現したカラーリングなど細部までこだわった。木製の鰹ぶし削り器が主流である中、樹脂製であっても無機質ではない、鰹ぶしの風味や味わいを印象付ける外観を目指した。
●異物混入対策スリットナイフ
税抜価格 :1本140円
発売日 :2020年10月
※当製品は業務用品となりますので、
一般のお客様への販売はしておりません
【評価コメント】
食品工場にとって、異物混入は死活問題である。包装材の開封における二度切りなどによる包装材の混入防止だけでなく、刃を挿入一体型にすることで混入を防止したり、セーフティ構造で怪我を防ぐなど、現場の要請をとてもシンプルな設計で解決している。まさに、デザインの勝利ともいうべき製品である。 また特許という点では、スーパー早期審査制度を活用して、出願から1ヶ月で権利化しており、デザインの価値を具現化することにおいても先進的な事例だ。
【デザイナーによるコメント】デザイン担当:落合章吾
包材に正しく刃を当てることができるグリップとガイドにより、刃先の深さと角度が維持されるので、刃を上下前後にギザギザと動かすことなく、一筆書きの要領で袋をカットすることができる。これにより、二度切りによる包材片の異物混入の発生防止に効果的である。同時に、作業者の技量や熟練度に依存することなく、フィルムの確実な切断開封が可能である。
また、刃を本体から離脱不可能なインサート一体成型とすることで、食品への刃(金属片)の混入防止、及びナイフ内への食品の侵入・残存を防止する。さらに、作業者の手や指が刃に当たらないセーフティー構造のハンドルは、作業中のケガから守り、食品及び工場の汚染を防ぐのに効果的である。本体色は3色とし、色分けによる識別管理を容易にし、ナイフを使い捨てで順次取り換える作業環境において、間違った色のナイフが一目でわかる仕組みを実現した。
貝印デザイン部・デザイナーについて
クリエイティブディレクターのもと、プロダクトデザイナー5名、グラフィックデザイナー6名が在籍。
全貝印商品に関与し、デザイン及びブランドクオリティの向上に向け活動しています。また、プロダクト、パッケージなどに留まらず、展示会などのクリエイティブにも関与し企画提案含め幅広く活動中。知的財産部とも連携し、新たなアイデアや造形による知的財産を生かした知財・デザイン経営を目指しています。
次長 大塚淳
●2020年度受賞商品
・DANDYCARE/ FEMINICARE●受賞歴
・SELECT100 ボウル(2018年度)
・理容カミソリ 火匠 Carbon-Folding/火匠 Carbon-Straight(2017年度)
・ピュアコマチグレーター(2016年度) など多数
落合章吾
●2020年度受賞商品
・DANDYCARE/ FEMINICARE
・異物混入対策スリットナイフ
●受賞歴
・プリティー 敏感肌用フェイスL(2018年度)
・KAI BTBグラフトナイフ(2017年度)
加藤弥生
●2020年度受賞商品
・DANDYCARE/ FEMINICARE
門倉麻以
●2020年度受賞商品
・ズレずにつかむ毛抜き
・鰹ぶし削り器(カバー付き)
【貝印株式会社】
1908年、刃物の町として有名な岐阜県関市に創業。現在、生活に密着した刃物を中心とするカミソリ、メンズグルーミング、ツメキリなどの身だしなみやビューティーケア、包丁をはじめとする調理・製菓、医療用など1万アイテムにもおよぶ商品を展開し、商品の企画開発から生産、販売、物流までの一連を行っている総合刃物メーカー。
本社:東京都千代田区岩本町3-9-5 代表取締役社長:遠藤宏治
https://www.kai-group.com/
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