三菱電機とソラコム・松尾研究所「IoT × GenAI Lab」が、IoTと生成AIを応用した空調機器制御の実証実験を実施
汎用的な生成AIで学習コストを抑え快適な空調設定を判別、期間平均48%の電気使用量の削減も
株式会社ソラコム(本社:東京都港区、代表取締役社長 玉川憲)は、株式会社松尾研究所(本社:東京都文京区、代表取締役 川上登福)と研究・推進するプロジェクト「IoT x GenAI Lab」が、三菱電機株式会社と共同で実証実験を実施したことを発表します。
昨今、ChatGPTに代表される生成AI(Generative AI、略称GenAI)を活用したサービスは、ビジネスでも活用が広まっています。IoT分野では、インターネットを通じて収集・蓄積された大規模なデータの分析、さらには数値、テキスト、画像などの複数のソースを基にした洞察も可能になることから、新しい用途での活用が期待されています。
「IoT x GenAI Lab」は、2023年7月にソラコムが松尾研究所とともに設立したプロジェクトで、IoT分野における生成AI、LLM(大規模言語モデル)の活用について、顧客ニーズに基づくユースケースの調査や活用に向けた概念実証(PoC)、IoTサービスへの反映を推進しています。
「IoTと生成AIを応用した空調機器制御の実証実験」詳細
「部屋を最適な温度に保ちつつ、可能な限り電力消費量を削減する」ことを目的に、以下を実施しました。
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センサーから取得したオフィス内外の環境データ、とオフィス勤務者から得られた快適性に関するフィードバックをパラメーターとして収集
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追加学習の必要がない事前学習済みの汎用的な生成AIにデータを入力
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オフィス内に設置された空調機器の最適な温度を生成AIで2時間に一度予測
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室内にある空調機器の設定温度を生成AIの予測した最適温度へ変更し、快適性と電力使用量をモニタリング
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オフィス環境が空調機器の設定温度を変えたことで動的に変化。結果をまた生成AIに入力
実施場所/期間
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三菱電機株式会社 DXイノベーションセンター 横浜ダイヤビルディング8F
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2024年1月15日~3月8日
実証実験の構成
取得したデータ
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センサーから得られた環境データ(1分毎/室内温度・湿度)
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外部の天気情報から得られた環境データ(室外温度・湿度、日照度)
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空調機器の設定温度
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空調利用位置検知システムの情報(画像/ 室内の温度のヒートマップ、オフィス勤務者数、オフィス勤務者の位置・分布情報)
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感性情報(オフィス勤務者からの快適性についての定期的なフィードバック
利用した生成AIエンジンとデータ可視化ツール
Open AI - GPT-4/4V (gpt-4-1106-preview/gpt-4-1106-vision-preview)
Dataiku(ver.12.1)
Dataikuとは生成AIのエキスパートと議論を重ね、取得したビルの情報の効率的な可視化・解析や、過去のデータに対する検証を行いました。
結果
技術的には、従来型のAI活用で必要だった強化学習や機械学習、またはファインチューニングやRAG(Retrieval Augmented Generation)により、独自の知識を学ばせるプロセスに時間やコストをかけることなく、消費電力の削減や快適性の向上といった効果が確認できました。
「可能な限り電力消費量を削減する」と言う目的に対しては、事前に測定したベースラインとなる数値と比較して、期間平均47.92%の電力使用量の削減を実現しています。
また、オフィス勤務者から収集した快適性フィードバックと生成AIが設定した空調機器の温度をペア情報として生成AIに入力したところ、ベースラインと比較して平均26.36%の快適性改善効果を実現しています。
今後について
実際にオフィスを利用するユーザーにとって、働く勤務先の快適性を向上できるため大きなメリットとなります。今後は、好みの温度の場所をお知らせしてユーザーの好みに合った空間へ誘導していくような、人に寄り添ったシステムの構築を目指します。
今回の実験では、電力使用量を大幅に削減することができたため、今後はさらに電力使用量の大きなデータセンターや工場で生成AIを活用することで、大幅な電気使用量の削減に貢献できるか検証を進めます。
なお、2024年7月17日に開催するSORACOM Discovery2024の基調講演、およびセッションにて、三菱電機株式会社に登壇いただき、本件の取り組みと今後の展望についてお話いただきます。
https://discovery.soracom.jp/2024/
ソラコムについて
IoTプラットフォームSORACOMは、世界180以上の国と地域でつながるIoT通信を軸に、IoTを活用するために必要となるアプリケーションやデバイスなどをワンストップで提供しています。製造、エネルギー、決済などの産業DXから、イノベーティブなスタートアップ、農業や防災など持続可能な地域社会を支える取り組みに至るまで、さまざまな業界・規模のお客様にご活用いただいています。
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