「ジャスト・トランジション(公正な移行)」の概念を地域・産業の持続可能性向上にどう生かせるか。「ジャストラ!プログラム成果報告書」を公開
中小事業者支援から模索したプロジェクトの軌跡
NPO 法人ETIC.(エティック、東京都渋谷区)は、2023年4月~2024年9月に、地方において事業を行いながら、地域社会・地域産業の持続可能性を高めるためにも活動する中小事業者を対象に、「ジャストラ!プログラム」と題した支援事業を実施しました。これはJPモルガン・チェースの支援により実現したプログラムで、日本全国から14事業者が参加。国内外の視察や多数のワークショップなどを通じて、それぞれの活動内容の改善・向上に取り組んだものです。このたび、1年半にわたる同事業の成果をまとめた報告書をオンラインで公開しましたのでお知らせします。

ジャストラ!プログラム成果報告書
https://justra.etic.or.jp/asset/themes/justra/pdf/Transitionreport_JPN_finalize_1.pdf
本プログラムおよび報告書の概要
「ジャストラ!」というプログラム名称は「ジャスト・トランジション(公正な移行)」という概念に由来します。気候変動対策・脱炭素化を進める際、「それによって不利益を被る人にも配慮する」という考え方を指し、本プログラムでは、これを参加事業者それぞれの地域における望ましい構造転換の指針のひとつとするために様々な模索を行いました。
参加事業者(下記参照)の活動テーマは、生物多様性、森林経営、水産業における新しい雇用の在り方、耕作放棄地活用、多世代の居場所づくり、環境再生型農業など多岐にわたりましたが、本事業は、それら取り組みの効果を最大化するための「共通軸」を「公正な移行」の概念から見出す試みであったものと言えます。
報告書では、以下の形でその成果をまとめました。
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「公正な移行」概念から3つのエッセンスを抽出し、指標化
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参加事業者の活動が生み出している社会・経済的インパクトを、その指標によって数値化
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参加事業者の活動をロジックモデルの形で整理・可視化
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「公正な移行」概念に触れたことにより参加事業者が得た、非数値的価値の言語化

気候変動への対応、脱炭素社会への移行、持続可能な産業構造への転換、地域社会のレジリエンス向上など、つながりあった様々な課題に多くの関係者が取り組む際、大切となる共通の視点とは何か。私たちは、本報告書がそれを考える際の一助となることを期待するものです。
なお、プログラム期間中の活動詳細は、「ジャストラ!プログラム」WEBサイト(https://justra.etic.or.jp/)もご参照ください。
「ジャストラ!プログラム」参加事業者
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北海道下川町 下川町ジャストラ研究会
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青森県八戸市 株式会社バリューシフト
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岩手県洋野町 株式会社北三陸ファクトリー
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岩手県洋野町 一般社団法人Moova
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宮城県石巻市 一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン
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宮城県東松島市 ひがまつ空シェア倶楽部
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三重県尾鷲市 一般社団法人つちからみのれ
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兵庫県神戸市・芦屋市 株式会社アルタレーナ
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島根県隠岐郡海士町 交交株式会社
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島根県雲南市 雲南市役所
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島根県雲南市 NPO法人おっちラボ
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徳島県上勝町 合同会社RDND
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熊本県阿蘇地域 NPO法人阿蘇あか牛研究会
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大分県臼杵市 うすきエネルギー株式会社
ジャスト・トランジション(公正な移行)について
様々な気候変動政策が推進される一方、石炭火力発電所の撤退や既存産業の縮小などにより、地域の中小企業の倒産や雇用喪失が起こるなど地域経済へのネガティブな影響も顕在化し始めています。ジャスト・トランジション(公正な移行)は、こうした国や民間企業による気候変動政策により引き起こされる雇用喪失などの負の影響やジレンマにも目を向け、環境負荷の低い形で新しい産業をつくりながら、包括的に働き甲斐のある雇用を生み出していくことを強調する概念として、2009年のCOP15の際に国際労働組合総連合(ITUC)から提唱され、2016年には国際労働機関(ILO)が指針を発表しています。
「ジャストラ!プログラム」運営者
特定非営利活動法人エティックについて
Move Forward. ETIC.
行動を起こす人に伴走し、つなぎ、ともに「新しい社会」をつくる。
1993年創業、2000年にNPO法人化、2017年に認定NPO法人取得。起業家育成、企業や自治体などの異なるセクター間の共創コーディネート、コーディネーター育成に取り組んでいます。手がけてきた実践型インターンシップや起業⽀援プログラムへの参加を通して、約14,000名がプログラムに参加し、約2000名が起業しました。
2021年には「一人ひとりの起業家精神が発揮され、共創が生まれる組織」を目指し、ピラミッド型から自律分散型の組織体制(ティール組織)へと転換。そのため、一般的な組織のような代表者は置いていません。 https://etic.or.jp
JP モルガン・チェースについて
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー (NY証取: JPM) は総資産4兆ドルを有する世界有数のグローバル総合金融サービス会社です。投資銀行業務、個人・中小企業向け金融サービス業務、コマーシャル・バンキング業務、金融取引資金管理業務、資産運用業務において業界をリードしています。世界で展開する法人向け事業は「J.P.モルガン」、米国における個人向け事業は「チェース」ブランドを用いて、世界有数の事業法人、機関投資家、政府系機関および米国の個人のお客様に金融サービスを提供しています。詳細はウェブサイト http://www.jpmorganchase.com/ をご覧下さい
J.P. モルガンの社会貢献活動について
J.P.モルガンは、グローバルに広がるネットワーク、人材、リソースを活用して地域および世界でインクルーシブな経済成長を実現することをミッションとしています。また、世界各国が直面している社会の課題には、政府、企業や非営利団体が共に取り組むことが効果的という考え方をベースに企業責任(CR)活動を展開しています。同時に、社員もそうした社会課題を理解し、専門力を活かしたプロボノやボランティア活動に積極的に参加しています。日本では、若年無業者や女性に対する就労支援と、起業家やスモールビジネスへの支援の2つの分野に注力しています。
日本におけるJ.P.モルガンについてはウェブサイト www.jpmorgan.co.jp をご覧下さい。
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