AI普及後のビジネススキル「創造的思考」「自ら考え抜く力・やり抜く力」「文章作成力」の3つを経営者は危惧・重視企業のAI活用状況で、能力課題に違いが見られる

『日本企業の経営課題2025』調査報告 第1弾

日本能率協会

 一般社団法人日本能率協会(会長:中村正己、JMA)は、このたび「2025年度(第46回)当面する企業経営課題に関する調査」の結果をまとめました。本調査は、企業が直面する経営課題を明らかにし、今後の経営指針を探ることを目的として1979年から実施しており、今回は530社の経営者(経営管理部門含む)から回答をいただきました。本リリースでは、調査報告第1弾として「AI普及と人材育成」に焦点を当て、調査結果を報告します。

【調査結果サマリー】

 AIの普及が進むことで、社員の能力にどのような影響があると経営者は考えているのか。一般社団法人日本能率協会が実施した『日本企業の経営課題2025』で530社の経営者は、AI普及後の人材能力の課題として、AIに依存することによる「自ら解決する力」「自ら学ぶ力」の低下を懸念する一方で、AIの回答を超える「未来を拓く思考力」、AIを有効活用するための「問いを立てる力」をより求めていることが明らかになりました。

 また、7割超が生成AIを導入し、約5割の企業がAI活用の成果を実感するとともに、AI普及を事業機会として捉える企業の7割にのぼります。

AI普及と人材育成の課題

・ AI普及で、低下が懸念される能力の第1位は、「自ら考え抜く力・やり抜く力」(57.2%)

・AI普及で、今後重要性が高まる能力は、1位「創造的思考(新たなものを生みだす)」(46.2%)

・AI普及で、低下が懸念かつ重要性が高まる能力として、「創造的思考」「自ら考え抜く力・やり抜
 力」「文章作成力」の3スキルが突出

・AI活用が期待を上回る企業群では、「センス・直観力」、「」新たなことを学ぶ姿勢」が危惧・重視

・AI活用が期待に及ばない企業群では、AIを有効活用するための「問いを立てる力」、解釈・調整する
 ための「批判的思考」に加え、各種の思考力を危惧・重視

 

AI導入と活用状況     

・7割超の企業が生成AIを導入・活用
 大企業では9割超、中小企業では5割超と従業員規模で明確な差

・約5割の企業が「期待を上回る」「期待通り」とAI活用の成果を実感
 一方で、約4割の企業では成果を判断できる状況に至っていない

・7割近い企業がAIの普及を事業機会と認識
 一方で、2割強は影響を判断できていない

1.AI普及後に「低下が懸念される能力」、「重要性が高まる能力」は何か

 AI普及で低下が懸念される能力は、1位「自ら考え抜く力・やり抜く力」(57.2%)、2位「文章作成力」(46.0%)、3位「創造的思考」(37.7%)、4位「即時に思考して対応する力/アドリブ対応力」(27.9%)と続きます。AI任せ、AIを過信し、自ら解決する思考やアクションが不足すること、AIに訊かないと対応できない等への危惧がうかがえます。また、AIに文書作成を任せることで、適切な語彙を活用する力などのビジネススキルの基礎が失われる懸念も示されています。

 一方、AI普及で今後重要性が高まる能力は、1位「創造的思考(新たなものを生みだす)」(46.2%)、2位「戦略思考」(39.6%)、3位「判断力」(33.4%)、4位「企画提案・問題解決力」(32.1%)、5位「仮説思考」(31.1%)が上位を占める。AIの回答を鵜呑みにせず、それを疑い、新たな視点を付加するような「未来を拓く思考」や「問いを立てる力」、そのための知識の重要性が増していくと経営者は考えています。

 特に、「創造的思考」は、重要性が高まる能力の1位、低下が懸念する能力の3位と双方の上位を占めており、AI普及により、価値が高まっている能力となっています。

【図1】  AI普及で「低下が懸念される能力」 及び「重要性が高まる能力」(上位項目を抜粋)

2.AI普及時代に「低下懸念」✕「重要」となる能力は、
「創造的思考」「自ら考え抜く力・やり抜く力」「文章作成力」の3スキルが突出

 21のビジネススキルについて、縦軸に低下が懸念される能力、横軸に重要性がたかまる能力として、マトリクスで明示すると、「創造的思考」は、重要性の1位、低下懸念の3位、「自ら考え抜く力・やり抜く力」は低下懸念2位、「文章作成力」は低下懸念2位と、この3つが突出していることが明確になりました。

 また、21のビジネススキルを、<思考力(シンキング>、<実行力(アクション>、<対人・マネジメント力>、<ビジネススキルを支える基盤>の4分野で見ると、<思考力(シンキング>、<実行力(アクション>の項目が、重要かつ不足能力として位置付けられています。

【図2】AI普及で低下が懸念される能力と重要性が高まる能力のマトリクス

※21能力に対し、低下が懸念及び今後重要となるものについて、1位から5位まで回答いただき、 1位を5点、2位を4点、3位を                   3点、4位を2点、5位を1点、未選択を0点として、調査回答総数を分母にスコア化(その他は非表示のため、20項目表示)

3.AI活用の成果状況により人材能力課題が異なる

 AIを導入して「期待を上回る成果」を出している企業と、「期待に及ばない」企業とでは、人材育成に対する課題感に違いがみられます。

 AIの成果を享受している企業では、低下が懸念される能力として「センス・直感力」、重要性が高まる能力として「新たなことを学ぶ姿勢」や「戦略思考」が全体平均より約10ポイント高く、AI任せをより危惧し、未来を拓くための知識及び能力拡充に目を向けている様子が推察されます。

 AIを活用したものの成果を感じていない企業では、低下を懸念・重要性が高まる能力ともに「仮説思考」や「批判的思考」などの『思考(シンキング)』関連の項目が多く挙げられています。これは、AIの回答をそのまま利用、うまく活用しきれず、AIを使いこなすための「問う力」「解釈」「調整」する力の不足を課題視していると推察されます。

 また、「文書作成力」は、AI活用頻度に関わらず、低下を懸念されており、全社共通の課題といえます。

【図3】  AI活用の成果状況別・全体と差異が大きい能力課題

4.AIの導入、活用、機会と脅威

 AIの導入・活用状況では、「全社的に導入・活用中」が29.2%、「一部の部門での導入・活用中」が42.8%で、7割超の企業が導入済で、従業員規模と導入率は比例傾向がみられます。AI活用の成果については、「期待を上回る」11.8%、「期待どおり」38.7%、で5割の企業が成果を実感しています。AIは事業機会となるか、脅威となるかの認識では、67.2%が事業機会とし手捉えており、脅威は7.7%となっています。

5.AI普及後の人づくりに向けて

 本調査の結果、AIの恩恵を最大限に享受し、その先にある革新を牽引するためには、AI時代をリードするための「新たな人材育成」を加速させる必要があります。

 調査で重要性が浮き彫りとなった「創造的思考」や「センス・直感力」「自ら考え抜く力・やり抜く力」を磨く鍵は、知の融合にあります。従来のビジネススキルに、哲学・アート・リベラルアーツといった多様な視点を掛け合わせることで、既存の枠組みを超えた本質的な「問い」を立てる力が養われます。この知の化学反応こそが、企業の未来を切り拓く強力な武器となるはずです。

 一般社団法人 日本能率協会では、企業の変革推進の一助として、『経営✕アート』という視点での人づくりを順次展開しております。取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。

 https://www.jma.or.jp/website/art/index.html

「2025年度(第46回)当面する企業経営課題に関する調査」概要

調査時期

2025年8月19日~9月25日

調査対象

JMAの法人会員ならびにサンプル抽出した全国主要企業の経営者

(計5,704社)

調査方法

郵送調査法

(質問票を郵送配布し、郵送およびインターネットにより回答)

回答数・回収率

回答数530社・回答率10.4%

調査項目

1.当面する企業経営課題

2.経営機能別課題

3.AIの活用・今後求められる人材要件※本リリース

4.人材育成の課題

報告書

5月中旬以降に、以下のURLに公開予定

https://www.jma.or.jp/website/report.html

【本件に関するお問合せ先】

一般社団法人日本能率協会  人材戦略研究所 (担当:牧野・當間)

〒105-8522 東京都港区芝公園3-1-22

TEL:03-3434-1601 E-mail:jmapr@jma.or.jp

※取材のお問合せも、上記宛てへお願いいたします。

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会社概要

一般社団法人日本能率協会

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URL
https://www.jma.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都港区芝公園3-1-22
電話番号
03-3434-8620
代表者名
中村正己
上場
未上場
資本金
-
設立
1942年03月