クラスター(cluster)が協力を行なった『Project Cybernetic Being(※)の実証実験』における研究論文がHCI分野のトップカンファレンスであるCHIに採択されました
~サイバネティック・アバター技術を活用した新たなカフェサービスを提供する「分身ロボットカフェ DAWN ver.β*」(※2)における5週間の実証実験に協力~
この度、clusterを用いたこの実証実験に関する研究論文が、HCI分野のトップカンファレンスであるCHI 2024に採択されたことをお知らせします。
※Project Cybernetic Being
内閣府/科学技術振興機構ムーンショット型研究開発事業・目標1「人が身体、脳、空間、時 間の制約から解放された社会を実現」における研究開発プロジェクト「身体的共創を生み出す サイバネティック・アバター技術と社会基盤の開発」(プロジェクトマネージャー:南澤孝太、 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科・教授)のこと。このプロジェクトでは、人々の身体的経験や技能をネット ワーク上で流通・共有し、障害当事者や高齢者を含む多様な人々が自在に行動し社会参加でき る未来社会を目指して、身体能力の限界を突破するサイバネティック・アバター技術の研究開発と社会実装に取り組んでいます。https://cybernetic-being.org/
※2「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」
株式会社オリィ研究所(本社:東京都中央区、代表取締役 吉藤 健太朗・笹山正浩)が運営する東京・日本橋にある常設実験店「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」(2021年6月オープン)では、ALS/SMAなどの難病や重度障害などの理由で外出困難な人々が分身ロボット(OriHime、OriHime-D)の遠隔操作者(パイロット)として接客サービスを提供しています。「OriHime」及び「分身ロボットカフェ」は、株式会社オリィ研究所の登録商標です。https://dawn2021.orylab.com/
実証実験内容
Project Cybernetic beingは2023年5月9日(火)から6月16日(金)の期間、「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」を舞台として、障害や介護等の事情で外出が困難なアバターロボットの操作者(以下、パイロット)がサイバネティック・アバター技術を活用して新たなカフェサービスを提供する「Cybernetic Avatar Experiment in 分身ロボットカフェ DAWN ver.β」を実施しました。この度clusterがアプリ利用の協力を行なったのは、自らの個性やお客さまとのコミュニケーションに合わせてバーチャルアバターを自在に変えていけるメタバースを活用した「拡張アバター接客」です。拡張アバター接客では、最初はロボットアバターで接客を行っていたパイロットが、途中からcluster上に構築されたメタバース空間にオリジナルのバーチャルアバターでログインし、メタバースの中でクッキーを焼くパフォーマンスが行われます。パイロットが再び実世界のロボットアバターに戻ってくると同時に、メタバースで焼かれたのと同じ見た目のクッキーがお客さまにも提供されました。接客を行ったパイロットが経験したアイデンティティの変化について、期間中に実施されたインタビュー調査の結果が報告されています。
実証実験結果
実証実験には、心臓の疾患や脳性まひ、身体表現性障害やSMAといったさまざまな身体特性をバックグラウンドに持つ7名のパイロットが参加しました。そこでは、ロボットの姿ではなく自分の実際の姿を見せたいとしてフォトリアルなアバターを使用したパイロットや、自由気ままな自分になれることを望んで好きな動物であるアルパカのアバターを使用したパイロット、肉体とは異なる本来のジェンダーに即した外見のアバターを自作したパイロットなど、個性豊かな自分らしさを持つアバターが使用されました。
「ロボットではなく、本当の自分が社会に出ている感じがして良かった」
「週に何度かアルパカになるのは、自分の心にゆとりを生み出すような豊かな時間だった」
「ずっとなりたかった性別にやっとなれた、と感動した」
という声があり、clusterを使うことでメタバース空間において期待する『なりたい自分になれる』を体感してもらえる瞬間がありました。
論文では、ロボットアバターとバーチャルアバターそれぞれの強みや、バーチャルアバターを用いた自己表現を取り入れることが働くことのモチベーションや新しい自己のアイデンティティの獲得に貢献するメカニズムなどについて論じられています。
メッセージ【メタバース研究所】
クラスタ―は、日本最大級のメタバースプラットフォームを運営する企業として、メタバースビジネスの発展の一端を担っているほか、クリエイターやユーザーがクリエイティビティを発揮できる場を目指してより良いプラットフォームを目指し、開発を継続しています。
また、創業当初から「バーチャル経済圏の確立」を目指し、メタバース内でのアイテム販売やアバター販売などの機能を実装したほか、著作権に関わる実証実験にも参加してきました。
さらに、メタバースはこの2年で新たに「社会課題解決」についても注目されています。
例えば今回の実証実験のような「誰もがなりたい自分になれる世界」としてのメタバース空間の在り方の検討など、新たな価値である社会課題を解決するメタバースの可能性も追求していきたいと考えています。
仮想空間においてあらゆる人々が自己実現が出来る世界に期待し、世界をよくするための研究利用に関する協力は今後も積極的におこなって参ります。
本研究の内容は、Human-Computer Interaction分野の国際会議であるCHI2024(2024年5月11日〜16日にハワイにて開催)において発表される予定です。
Yuji Hatada, Giulia Barbareschi, Kazuaki Takeuchi, Hiroaki Kato, Kentaro Yoshifuji, Kouta Minamizawa, Takuji Narumi (2024) “People with Disabilities Redefining Identity through Robotic and Virtual Avatars: A Case Study in Avatar Robot Cafe,” In Proceedings of the 2024 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI ’24). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, pp. 1–13. https://doi.org/10.1145/3613904.3642189
■クラスターメタバース研究所について
クラスターメタバース研究所は、「人類の創造力を加速する」というクラスター全体の目標を先導します。科学的な知見やプラットフォームに蓄積されるデータをもとに、CV/CG/HCI/VR/BMIおよび、全体をまたぐML領域の研究に取り組み、プラットフォームであるクラスターに短期的・長期的を問わず還元していく成果と、人類全体を前に進めるアカデミックな成果も生み出し、融合していくことを目指しています。
■クラスター株式会社について
誰もがバーチャル上で音楽ライブ、カンファレンスなどのイベントに参加したり、友達と常設ワールド(バーチャル空間)やゲームで遊ぶことのできるメタバースプラットフォームを展開しています。スマホやPC、VRといった好きなデバイスから数万人が同時に接続することができ、これにより大規模イベントの開催や人気IPコンテンツの常設化を可能にしています。「バーチャル大阪」のほか、渋谷区公認の「バーチャル渋谷」、ポケモンのバーチャル遊園地「ポケモンバーチャルフェスト」の制作運営など、メタバースを実現し、全く新しいエンタメと熱狂体験を提供し続けています。クラスター株式会社では多くのメタバースイベント事業を実施しています。
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(URL: https://corp.cluster.mu/)
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