約15,000句から大賞決定!“台所から平和を詠んだ一句”〈鹿尾菜(ひじき)コトコトまだ平和まだ平和〉が第8回「夏井いつきのおウチde俳句大賞」に
台所、リビング、寝室、トイレ——家の中の小さな発見が一句になる。贈呈式アーカイブも配信中

株式会社朝日出版社は2026年6月20日(土)、第8回「おウチde俳句大賞」の贈呈式を、東京・日比谷松本楼にて開催しました。バラエティ番組『プレバト!!』の俳句コーナーで大人気の俳人・夏井いつき氏が選者を務める、「おウチde俳句大賞」。今回は、2025年12月20日から2026年2月28日までの応募期間に、約15,000句のご応募をいただきました。
「おウチde俳句大賞」とは
「おウチde俳句大賞」は、
“家の中にも俳句のタネはたくさん転がっている”
という夏井いつき氏の思いから生まれた俳句賞です。
病気やケガ、介護などで外出がままならない方にも、おウチで俳句を楽しんでほしい。そんな願いのもと、「リビング」「台所」「寝室」「玄関」「風呂」「トイレ」という身近な場所をテーマに、日々の暮らしから生まれる俳句を募集してきました。
また、昨年に引き続き、シニア世代ならではの日々や、シニア世代に関わる方々の“凸凹(でこぼこ)”な毎日を詠む「毎日凸凹部門」(株式会社長谷工シニアウェルデザイン 協賛)を設け、計7部門で作品を募集しました。

夏井いつき氏が語った、本賞の原点
夏井氏は冒頭の挨拶で、「おウチde俳句くらぶ」「おウチde俳句大賞」が、自身の俳句の種まきの活動における大きな転機の一つであると紹介。「人間は誰でもいつか体が動かなくなる日がくる。おウチの中で、最後の最後まで自分の杖として、自分の一番近いところにいてくれるのは俳句」であると語り、病気や介護などで外出が難しい人にも、身近な暮らしの中で俳句を楽しんでほしいという本賞の原点を改めて伝えました。

そして、夏井氏によって選ばれた、「毎日凸凹部門」優秀賞10作品、「リビング」「台所」「寝室」「玄関」「風呂」「トイレ」優秀賞24作品、各部門別最優秀賞6作品が発表され、参加者と夏井氏で最優秀賞6作品を鑑賞した後、参加者全員の多数決により、今年の「大賞」が決定しました。

100歳の受賞者も。俳句が日々の張り合いに
「毎日凸凹部門」では、100歳の受賞者が会場で紹介されたほか、施設での暮らしの中から生まれた印象的なエピソードも披露されました。
〈晩年に句会立ち上ぐ小鳥来る〉の作者・只野文さんは、昨年の「毎日凸凹部門」への応募をきっかけに、施設内で句会を始めたといいます。「句会を始めてから前より元気が出てきたような気がする」と語る只野さんに、夏井氏は「句会を立ち上げる気力と意欲と実行力があるなら、絶対晩年じゃない。100歳の記念で、皆さんがここへ来てくださるような会にしたい」と、会場に語りかけました。年齢や環境にかかわらず、俳句が日々の張り合いとなり、人と人をつなぐ場にもなっていることを感じさせる時間となりました。
約15,000句の中から、今年の大賞が決定
そして、みごと大賞に選ばれたのは、台所部門・あなうさぎさんの作品〈鹿尾菜(ひじき)コトコトまだ平和まだ平和〉です。
会場ではこの一句をめぐって多くの意見が交わされました。
「平和という言葉の響きが、こんなにきれいなんだと思いました」
「5年後も10年後も、鹿尾菜を夕方にお母さんが炊けるような、そういう日本であればいいなと思います」
「煮物をするときに一日の反省や考え事をし、『まだ大丈夫』と自分に言い聞かせるようなことがよくあります」
「『コトコト』という音と『まだ平和まだ平和』という言葉のリズム、鹿尾菜の見た目までが響き合っているようです」
と、台所の小さな営みから、未来の平和を願う言葉や共感の声が多数寄せられました。

夏井いつき氏「日本中にこの句を叫びたい」
大賞発表後、夏井氏はこの句には「皆さんが語りたがるエネルギー」があるとし、今のこの世界のきな臭い状況の中で、「たった一人の私に何ができる」という思いと、それでも「何か言わないではいられない、動かないではいられない」思いが込められていると受け止めました。「まだ平和まだ平和」という言葉の奥には、平和でないものがすぐそこにあるという危機感が、黒く深くブラックホールのようにあり、その色が目の前の鹿尾菜の色なのだと読み解きました。最後には、「日本中にこの句を叫びたい」「私たちの国はこのままでいいんですか」と、その一句に込められた切実な問いを会場に投げかけました。


式の最後に夏井氏は、会場とYouTubeの視聴者がともに笑い、涙した時間を「一期一会、一生でたった一回のこの時間」と振り返りました。そして「おウチde俳句大賞は、終わった瞬間からよーいどん!が始まります。ぜひ一度、この松本楼の会場に来てください。来年に向かって頑張りましょう」と、来年へ向けた言葉で贈呈式を締めくくりました。
「おウチde俳句くらぶ」は、毎月の兼題に投句し、夏井いつき氏による5段階評価を受けながら、俳句を楽しく学べる月額770円(税込)のネット俳句教室です。会員は「おウチde俳句大賞」(応募期間は毎年12月下旬から2月末まで)の全部門に何句でも投句でき、日々の学びを年に一度の大賞への挑戦につなげることができます。
受賞作品
大賞(賞金20万円・記念盾)
◎台所部門
鹿尾菜コトコトまだ平和まだ平和
あなうさぎ
部門別最優秀賞(賞金5万円・記念盾)
◎リビング部門 最優秀賞
そこはもうヘルパーの席春炬燵
土取
◎寝室部門 最優秀賞
死も自由も程よく遠き風邪の昼
馬場めばる
◎玄関部門 最優秀賞
鍵がまた開いてる梅に呼ばれたか
伊都
◎風呂部門 最優秀賞
湯の中の柚子に遅れて柚子の影
藍創千悠子
◎トイレ部門 最優秀賞
えんそくのみっしょんあさのうんこくりあ
ぱぷりかまめ
毎日凸凹部門 特別賞(賞金1万円・記念盾)
みなこちら見つめて居りぬ雪達磨
池田啓三
春光やベッドの端という断崖
かずみ
ゆずられし席の狭さや着ぶくれて
シズエ
晩年に句会立ち上ぐ小鳥来る
只野文
春寒や終の棲家の鍵の束
美与
新月や大浴場で浮いてみる
砂利や
右左違ふサンダルにて家出
富野香衣
病む脚の痺れ荒星生まれたか
守田散歩
ヒヤシンス世話されたきは今の吾
陽光樹
啓蟄のばあちゃんまっすぐに生きる
深町宏
贈呈式アーカイブ・受賞作品を公開中
贈呈式の様子は、YouTubeにてアーカイブ配信中です。
また、大賞・部門別最優秀賞・毎日凸凹部門特別賞に加え、各部門の佳作も「おウチde俳句くらぶ」公式サイトにて発表しています。
▼全受賞作品一覧はこちら(各部門「佳作」はサイトにて初公開)
https://ouchidehaiku.com/pages/haikutaisho
▼贈呈式の様子はYouTubeにてアーカイブ配信中です。
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