補聴器など、小型機器向けパワーマネジメントIC『S1A00210B』を開発、2025年4月からサンプル予約受付開始
ワイヤレス充電機能搭載、充電所要時間の短縮、バッテリーの長寿命化に貢献
セイコーエプソン株式会社(以下 エプソン)は、補聴器などの小型機器向けパワーマネジメントIC『S1A00210B』を開発しました。サンプル予約受付を2025年4月下旬から開始し、サンプル出荷は8月に予定しています。
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パワーマネジメントIC(以下 PMIC)は、主に電子機器の電源供給を管理するICで、近年では2次電池への充電制御も行われるようになってきています。
エプソンでは、2016年から補聴器向けPMICを展開しています。当時の補聴器は1次電池が主流で、使用経過に伴う電池電圧の低下や電池交換の手間、電池交換口への防水対策が必要といった課題がありました。そこでエプソンが保有していたワイヤレス充電技術*1を補聴器向けに開発し、複数の補聴器メーカーに採用いただき、充電式補聴器の実用化とともに補聴器の利便性向上に貢献してきました。
現在エプソンのPMICは、充電式補聴器用としてワイヤレス充電機能搭載1機種と、接点充電式2機種の計3機種をラインアップしています。
開発品『S1A00210B』の特長は、従来品のワイヤレス充電機能搭載PMIC「S1A00112B」に対し、転送周波数を向上*2させることで小型コイルの使用が可能になり、本体の小型化に貢献します。また、バッテリーの充電プロファイルの2種類記憶と、充放電回数(サイクル回数)管理もできるため、特性の異なるバッテリーや充電を繰り返したバッテリーにも最適な充電方法を適用できます。これにより充電の所要時間の短縮やバッテリー寿命を延ばすことに貢献します。これらのことから、多くの点で補聴器使用者の利便性向上につなげることが期待できます。
さらに、新たに汎用の供給電源LDO(Low Dropout)*3も搭載し、補聴器に搭載の進んでいるBluetooth® Low Energyチップ*4やセンサーチップなどへの電源供給に専用の電源ICが不要となり、部品点数が削減できます。それらを含め、小型機器の電源管理(受電、充電、電源供給、バッテリー保護、Flash ROM)を1チップにまとめたことで、回路設計の簡易化にも貢献します。
エプソンは、省エネルギー、小型化、高精度を実現する「省・小・精の技術」により、お客様製品のさらなる性能向上と豊かで健康な社会の実現に貢献してまいります。
■ターゲット用途
補聴器、集音器、スマートリングなどの小型機器
■本開発品の特長
・ワイヤレス充電、接点充電どちらにも対応可能
・バッテリーの充電プロファイルをPMIC内に2種類記憶と、充放電回数(サイクル回数)の管理が可能なため、高速充電・バッテリー寿命向上に貢献
・PMICに必要な機能(受電、充電、電源供給、バッテリー保護、Flash ROM)を1チップ化し、小型化、製品設計が容易
■本開発品の概仕様
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項目 |
開発品『S1A00210B』 |
従来品「S1A00112B」 |
ワイヤレス充電機能 |
内蔵 |
内蔵 |
充電電源範囲 |
2.3~5.25V |
4.75~5.25V |
充電方式 |
CC-CV充電、充電プロファイルを設定可能 |
CC-CV充電 |
システムへの電源供給 |
チャージポンプ:負荷に応じて降圧比自動切換、1.2V定電圧出力 LDO:出力電圧1.8~3.0Vの範囲で設定可能 |
x1/3V 降圧チャージポンプ |
I2Cインターフェイス |
1チャネル 充電/放電プロファイル設定 充電/放電ステータス・リード 制御コマンドの送信 |
2チャネル 充電/放電プロファイル設定 充電/放電ステータス・リード 制御コマンドの送信 |
フラッシュメモリ |
本ICの機能設定および充放電プロファイル設定用 |
本ICの機能設定用 |
出荷形態 |
WCSP-48ボール 2.5×3.4×0.5mm |
WCSP-42ボール 2.6×3.4×0.7mm |
【関連リンク】
エプソンの半導体製品情報
https://www.epson.jp/prod/semicon/products/pmic/index.htm
【お客様のお問い合わせ窓口】
セイコーエプソン株式会社 MD営業部 MD営業グループ
ウェブサイト URL: https://www.epson.jp/prod/semicon/information/support.htm
※本リリース上の他者商標の帰属先は、商標について(corporate.epson/ja/trademark.html)をご確認ください。
*1: エプソンのワイヤレス充電技術は、令和6年度関東地方発明表彰において「長野県発明協会会長賞」を受賞しました。詳細はウェブページをご参照ください。(corporate.epson/ja/news/2024/241118.html)
*2: エプソンのワイヤレス充電は電磁誘導方式を用いており、周波数の向上により必要なインダクタンス値が小さくなるため、コイル面積は小さくて済みます。
*3: LDO(Low Dropout)は、入出力電圧差が小さくても動作できるリニアレギュレータ。リニアレギュレータはさまざまな電子機器に搭載されています。
*4: Bluetooth® Low Energyは、近距離の無線通信規格の一つであるBluetooth®の中でも、低電力で機器間の通信が可能な規格。
以上
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