スペースデータ、雪崩の発生から流下・堆積までを一つのモデルで計算するシミュレーションを開発

実在の山岳地形の上で、雪の中の弱い層の破断から流下・堆積までを計算し、簡易な計算との違いを数値と3Dで比較

株式会社スペースデータ

株式会社スペースデータ(本社:東京都港区、代表取締役社長:佐藤航陽、以下「スペースデータ」)は、宇宙AIプラットフォーム「SpaceBrain(スペースブレイン)」で、雪崩の発生から流下、停止・堆積までを一つの物理モデルで計算する雪崩シミュレーションを開発しました。国土地理院の5m間隔の標高データで再現した実在の山岳地形の上で、架空の条件の表層雪崩をMPM(物質点法)で計算します。雪の中の弱い層が壊れて雪板が割れ、沢を流れ下って止まるまでを、到達距離や速さなどの数値と3Dの画面で示し、発生の過程を扱わない簡易な計算とも比べられます。

背景

冬の山では、登山やバックカントリースキーなどで人が雪崩の通り道に入ることがあります。雪崩がどこまで届き、どれくらいの速さで流れ、どこにどれだけ積もるかを見積もることは、通行の判断や警戒の検討の土台になります。一方で雪崩は、斜面に積もった雪の中の弱い層が壊れ、その上の雪板が割れて滑り出し、沢を流れ下って止まるという、途中で雪の性質が大きく変わる現象です。発生域に置いた雪を一斉に流す簡易な計算では、この発生の過程を扱えず、その違いを数値と3Dで比べて伝えることも容易ではありません。

こうした認識のもと、スペースデータは、雪崩の発生から堆積までを通して計算し、簡易な計算とも比べて示せる雪崩シミュレーションを開発しました。

雪崩シミュレーションの概要

計算の手法:積もった雪を多数の粒子で表し、粒子が雪の重さや変形を受け持ち、力のやり取りは格子の上で計算するMPM(物質点法)を用いています。地形も粒子で表す方式の粒子法と違い、雪だけを計算すればよいため計算量を抑えられ、固まった雪板が割れて崩れ、流れて止まるまでの性質の変化を一つのモデルで扱えます。計算はGPU1台でおよそ23分かかり、画面では計算した結果を時間の経過に沿って表示します。

計算の例:山頂近くの斜面(約4.2ヘクタール)に、厚さ1mの雪板とその下の弱い層があると仮定し、雪庇(せっぴ)の崩落の衝撃で弱い層が壊れるところから計算しました。雪庇の崩落から約20秒で、弱い層の破断は発生域のほぼ全体に広がり、雪板が割れて滑り出します。雪は沢筋に集まって流れ下り、約40秒後に、動いている雪のうち速いほうから1%の雪の速さが最大の秒速38mに達し、約78秒後、走路(雪崩が流れ下る道筋)に沿って1,439m先で止まります。積もった雪の厚さは最大9.7mで、夏の登山道のうち216mが厚さ0.3m以上の雪の下になります(積雪期の登山道とは異なります)。積雪や弱い層の状態、きっかけはいずれも仮定で、実際の雪崩の再現や危険度の評価を目的としたものではありません。

▲雪崩が沢を流れ下り始めた様子。雪の粒子を速さで色分けして表示(青から橙になるほど速い。出典:国土地理院の標高タイル・シームレス空中写真を加工して作成)

表示できる内容:雪の粒子の見え方(実写風・速さ・状態)を切り替えられるほか、発生域ときっかけ、弱い層の破断の広がり、流れの最大の厚さ、止まった後の堆積の厚さ、走路と距離を重ねて表示できます。経過時間ごとに、先端の位置や速さ、動いている雪の量、弱い層が壊れた面積を確かめられます。

簡易な計算との比較:実務の雪崩の流下計算と同じ系統の簡易な計算(深さ平均モデル)とも比べました。この計算は発生域に同じ厚さの雪を置いて一斉に流すもので、弱い層の破断が広がる過程は扱いません。MPMの地面の摩擦は、簡易な計算(摩擦係数0.25)の到達距離に合わせて選んでいます。そのうえで比べると、到達距離は簡易な計算の1,280mに対してMPMは1,439m、最大の速さは秒速14.2mに対して秒速38mでした。画面では、簡易な計算の到達範囲をMPMの結果に重ねて表示できます。

計算の検証:公開されている独立したMPMの計算コードで同じ条件(発生域の雪を一斉に流す条件)を計算し、到達距離の差は約6.5%、最大の速さと止まるまでの時間はほぼ一致しました。

SpaceBrainについて

SpaceBrainは、スペースデータが開発する宇宙AIプラットフォームです。人工衛星やスペースデブリ、小惑星、宇宙天気などに関する多様な観測データを一つに統合し、デジタルツインと物理シミュレーションによる分析を支えるシミュレーション基盤です。公式プロダクトサイトでは、宇宙、安全保障、レジリエンスの3領域のソリューションを、実際に動くプロトタイプとして紹介しています。雪氷災害の分野では、山間部の豪雪と雪崩の危険度・走路を3D空間で可視化する「豪雪・雪崩シミュレーション」も掲載しています。

URL:https://catalog.spacebrain.org

今後の展望

スペースデータは、雪崩をはじめ、地形によって広がり方が変わる自然災害を物理に基づいて計算し、その広がりを数値と3Dで比べて示せるシミュレーションをSpaceBrainで広げ、山岳地域の安全対策や防災の検討を支えていきます。

株式会社スペースデータについて

株式会社スペースデータは、宇宙を誰もが活用できるインフラへと変える「宇宙の民主化」を使命に、宇宙をはじめとするあらゆる空間の知能化(MAKE SPACE INTELLIGENT)に取り組むテクノロジースタートアップです。

空間を情報化し、AIに物理を学ばせ、機械が自律的に動けるようにする「空間知能」の技術を活用して、宇宙開発から都市開発、防災、安全保障まで、次の未来を支えるデジタルプラットフォームの構築を国内外で進めています。

スペースデータの公式サイトでは、「NEWS」にて最新の取り組みや発表をご紹介しています。詳細は https://spacedata.jp/news をご覧ください。

社名:株式会社スペースデータ

代表:佐藤航陽

所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階

資本金:15億1300万円

事業内容:宇宙開発に関わる投資と研究

HP:https://spacedata.jp

NEWS:https://spacedata.jp/news

X:https://x.com/spacedatainc

LinkedIn:https://www.linkedin.com/company/spacedatajp/

採用情報:https://www.wantedly.com/companies/spacedata/projects

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業種
情報通信
本社所在地
東京都港区虎ノ門 1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
電話番号
-
代表者名
佐藤 航陽
上場
未上場
資本金
15億1300万円
設立
2017年01月