三菱総合研究所、住宅ローン不正検知の共同化を開始
不正動向の共有や不正可能性の高い案件の特定を通じ、対策を高度化
株式会社三菱総合研究所(代表取締役 社長執行役員:籔田健二、以下 MRI)は、MRIが運営する住宅ローン・データ・コンソーシアム(以下 コンソーシアム ※)において、住宅ローン領域における不正検知を金融機関と共同で高度化する取り組みを、7月1日に開始しました。コンソーシアム加盟金融機関が保有する不正案件データを持ち寄り、住宅ローン不正の抑止・早期発見に向けた施策を推進します。
1. 背景
近年、住宅ローン業務では不正利用を防止する重要性が高まっています。不正利用とは、本来は自己居住用住宅の取得を目的とする融資であるにもかかわらず投資用物件の購入に充てる行為や、物件価格の水増し・収入資料の改ざん等により審査を不正に通過しようとする行為を指します。
これらの不正は単一の金融機関だけでは発生件数が限られ、全体像の把握や兆候の検知が難しいという課題があります。こうした状況を踏まえ、複数の金融機関で知見やデータを持ち寄り、不正の特徴や傾向を明らかにする取り組みが求められています。
MRIは、これまでコンソーシアムの構築・運営で培った知見を生かし、加盟する地域銀行、ネット銀行、信用保証会社に呼び掛けて住宅ローン不正検知の共同化を開始しました。MRIが持つ、全国の金融機関を対象とした共同データベースの分析・運営ノウハウと、参加金融機関の実務知見を組み合わせることで、住宅ローン業務における不正対策の高度化を目指します。
2. 本取り組みの概要と特長
本取り組みは、個々の金融機関単独では取り扱いが限られる不正案件データを集約することで、不正との関連性が高い特徴を抽出し、各種法令・契約に基づき、適切な管理のもとで分析の高度化を図ります。
一部の金融機関と2025年7月から実施した試行では、不正との関連性が高い案件属性(年齢層、資金使途など)を特定するとともに、AIを活用した不正検知モデルを構築しました。モデルについては、スコア上位先に大半の不正実績が集中していることから高い精度を確認しており、不正確率が高い案件を事前に絞り込むなど、実務での活用に向けた有効性を確認しています。
上記成果を受け、不正データを提供したコンソーシアム加盟金融機関に対し、分析レポートやリスクスコアの提供を開始します。
具体的には、図に示すとおり、
① 不正動向の可視化と地域特性の分析結果の提供
② 案件ごとの不正リスクスコアの提示
③ 最新の不正手口・事例(対策ポイント)の共有
④ 不正利用に関する注意喚起情報(業者情報等)の共有
を行います。
これにより、自行だけでは捉えにくかった不正動向・手口等の把握に加え、案件ごとの不正リスクスコアを活用した事後点検や対策の見直しが可能となるほか、不正利用に関する注意喚起情報の共有を通じて他行の知見も補完でき、地域・業態を超えた不正防止につなげることが期待できます。
不正検知共同化での実施内容

三菱総合研究所作成
3. 今後の予定
MRIは本取り組みを通じ、参加金融機関が不正対策を高度化できる環境を整備し、住宅ローン業務のリスク管理の強化を支援します。
また上記取り組みの展開後は、案件を受け付けた時点でリアルタイムに不正確率を判定できる不正検知APIサービスや、不正リスクが相対的に高いと判定された案件の精査業務を効率化するサービスの提供を予定しています。
今後も参加金融機関の意見・要望を取り入れながら、実務に即した不正対策サービスの拡充を進めます。
※ 住宅ローン・データ・コンソーシアム <https://www.mri.co.jp/service/mortgage-data-consortium.html>
MRIが2010年から運営する共同データベースで、住宅ローン申込者の申込書情報、信用情報、デフォルト実績、プリペイメント実績、金利・保証料などの各種情報を蓄積。約40の金融機関が加盟し、500万件超のデータをもとに全国データに基づくベンチマーク分析などの高付加価値情報を提供しています。
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