日本CTX研究会、ドラッグ・ロス等の解消を目指し第3期提言を公開

「治験実務の効率化」と「治験に関する国民・医療従事者への啓発/情報提供」に注目

株式会社三菱総合研究所

  

株式会社三菱総合研究所(代表取締役  社長執行役員:籔田健二、以下 MRI)は9月10日、主催する日本CTX研究会の第3期活動の一環として、以下2つの提言書を公開しました。

  •   治験現場の効率化加速に向けた提言:治験実務の効率化に向けた3つの提言をとりまとめ

  • 治験に関する国民・医療従事者への啓発/情報提供に向けた提言:治験理解の促進と継続的な啓発に向けた3つの提言をとりまとめ

 1. 背景

近年、国内におけるドラッグ・ロス※1が問題となっており、「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」等、国の会議体においても危機感が示されています。要因の一つとして、国際共同治験への日本の参加率の低さが挙げられます(未承認薬において、日本はピボタル試験※2への組み入れが少ない※3)。ドラッグ・ロスを解消し新薬へのアクセスを確保するには、日本が国際共同治験に参加できる、すなわち「治験に選ばれる」ために国内の治験環境を整える必要があります。その実現には、治験形態の転換(Clinical Trial Transformation:CTX)が不可欠です。

 CTXとは、治験をより効率的・効果的に実施するために、治験の組み立て方や、運用、通例等の形態を転換することです。国、業界、アカデミアにおいて、分散化臨床試験(Decentralized Clinical Trial:DCT※4)を用いた治験事例の増加や、治験の効率化・迅速化に向けた議論と改善が継続的に進められています。一方で、仕組みの整備だけでは解決できない「慣習」や、治験情報が届いていない層の存在が、依然として課題として残っています。

 

「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2026※5」では、「国際水準の治験・臨床試験体制を整備し、国際共同治験の倍増を目指す」という国の方針が示されました。産官学の連携による治験の効率化・迅速化に向けた国内の動きをさらに加速し、国際共同治験への参加率を向上させることが求められています。

 2. 研究会の概要

MRIは、ドラッグ・ロスへの危機感や、国際的な潮流への対応を含む国内の社会課題解決の必要性を背景に、マルチステークホルダーが参画し、国内の患者にグローバルレベルで早期に新薬を届けるための検討を行うことを目的として、2023年10月に日本CTX研究会を立ち上げました。2024年9月に第1期提言書、2025年9月に第2期提言書(「国内治験環境の効率化・迅速化に向けた提言」「DCT導入推進のための治験環境整備に向けた提言」)を公開しています。

日本CTX研究会 https://j-ctx.mri.co.jp/ 

 

 2025年10月に開始した第3期では、第2期の議論で浮き彫りになった2つの課題認識、「仕組みだけでは解決できない慣習が治験の効率化を妨げている」「症例集積性向上には治験情報に触れる人を増やす必要がある」を起点に、『治験実務の効率化』と『治験に関する国民・医療従事者への啓発/情報提供』の2テーマで分科会を設置しました。企業18社、医療機関(大学を含む)5機関、アカデミア研究者14名が参加し、会員間での議論や会員外の医療機関等と意見交換を重ね、成果として提言書をとりまとめました。

 3. 第3期提言の概要

治験現場の効率化加速に向けた提言

DX(デジタルトランスフォーメーション)やDCTに関連した新たな技術の導入等により業務が増え、医療機関の業務負荷が高まっていること、また慣習に基づく過度な品質管理が新たな取り組みへの参加のハードルとなっていることを背景に、業界全体で今後のあるべき姿を描き、治験現場に「これから」を考える余力をつくることを目指して、3つの提言をとりまとめました。

 

①業界横断的な議論の場の形成
医療機関と依頼者(製薬企業)・CRO※6の対話、業界横断で新たな取り組みを議論する場、実務への落とし込みの場という3つの「場」を形成し、最終的に医療機関横断的な「ハブ」と業界横断的な連携基盤の構築を目指す

 

②プロフェッショナルとしてのキャリア形成
治験関連職種に求められる専門性を評価と処遇・待遇に連動させ、フェア・マーケット・バリュー(Fair Market Value:FMV)等の考え方も踏まえた費用算定により専門人材の育成とキャリア形成を促す

 

③リソースの最適化・体制の効率化
医療機関に共通する事務局業務の統合、パートナー医療機関の医師の治験分担医師化、医師・CRC※7のタスク・シフト/シェアにより業務を軽減・効率化する

 
図表1:「治験現場の効率化加速に向けた提言」の概要

 

治験に関する国民・医療従事者への啓発/情報提供に向けた提言

一般市民・患者が治験に関する情報に「アクセス」でき、「理解」でき、「判断」できる状態を「あるべき姿」と位置づけ、無関心層を含む幅広い層への継続的な啓発の方策を3つの提言にまとめました。

 

①「あるべき姿」に必要な情報の整理
治験の目的・位置づけ・リスクとベネフィット、参加方法や治療選択肢、信頼できる相談先など、自律的な判断を支える情報を整理

 

②情報へのアクセスに必要な「チャネル」の整理
行政、自治体、民間企業、患者会等の役割を整理し、当事者性の変化に応じた連携型の情報提供体制を設計

 

③ 情報提供の動線・連携環境の整理
地域医療連携ネットワークやDCT関連基盤等の既存リソースを活用し、かかりつけ医を中心に治験を治療選択肢の一つとして案内できる体制と、実施医療機関へつながる動線を整備
 

              
図表2:「治験に関する国民・医療従事者への啓発/情報提供に向けた提言」の概要

 

 図表3:治験理解の形成プロセスと求められる情報提供

 

4. 今後の予定

第3期提言書を今後の議論と実装に向けた基盤として、関連学会での発表や、官公庁・業界団体・アカデミア等との意見交換を行い、提言の内容およびそれを実現するために必要な具体策について検討を深めます。

2026年10月からの第4期活動では、「国内のどこからでも治験に参加できる環境の整備」を目指し、以下2つの分科会を立ち上げます。

分科会1:症例集積に資する治験ネットワーク(NW)のあり方

DCTに対応し、少ない実施医療機関で全国から効率的に症例登録できる治験NWの再構築に向け、疾患特性やプロトコルによるニーズの違い、共通インフラの整備等を多面的に議論する

分科会2:治験に関する国民・医療従事者への啓発/情報提供

第3期で整理したチャネルを踏まえ、各チャネルに対する具体的な打ち手を深掘りする

 これに伴い、第4期会員を募集します。新規参加をご希望の方など、日本CTX研究会にご関心のある方は事務局(下記「内容に関するお問い合わせ先」)までご連絡ください。

 

※1:海外で承認・使用されている医薬品が国内では未承認で使用できないこと。 

※2:承認審査における評価の主要な根拠となる臨床試験。 

※3:医薬産業政策研究所 ポジションペーパー 2024年5月24日版 「ドラッグ・ラグ/ロスの実態把握と要因分析」 https://www.jpma.or.jp/opir/positionpaper/pp_001/es9fc60000000f8z-att/pp_001.pdf(閲覧日:2026年9月3日) 

※4:治験の中心となる医療機関に出向くことなく、デジタル技術を活用して治験参加者の自宅やかかりつけ医などの遠隔地で実施する治験。オンライン治験やリモート治験とも呼ばれる。 

※5:内閣府「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2026」(2026年7月21日閣議決定) https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2026/decision0721.html(閲覧日:2026年9月3日) 

※6:開発業務受託機関。製薬企業等から委託を受け、医薬品開発に関連する業務を支援する。 

※7:治験コーディネーター。医療機関において、治験の準備や調整、運営支援を行う。

本件に関するお問い合わせ先    

株式会社三菱総合研究所

〒100-8141 東京都千代田区永田町二丁目10番3号

【内容に関するお問い合わせ】 

  創薬・健康エコシステム本部 「日本CTX研究会」事務局 折居、江本

  メール:jctx@ml.mri.co.jp

【報道機関からのお問い合わせ】

  広報部 

  メール:media@mri.co.jp

  

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業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区永田町2-10-3
電話番号
03-5157-2111
代表者名
籔田 健二
上場
東証プライム
資本金
63億3624万円
設立
1970年05月