シリア危機9年―国連WFPとユニセフの事務局長がシリアを訪問
ダマスカス/カイロ/アンマン/ニューヨーク/ローマ –国連世界食糧計画(国連WFP)事務局長のデイビッド・ビーズリーとユニセフ(国連児童基金)事務局長のヘンリエッタ・フォアは2日間のシリア訪問を終え、シリアにおける暴力を終わらせ、国内各地域への人道支援のアクセスを改善することがかつてないほど求められていると訴えました。さらに、人々に基本的なサービスを提供し、経済状況を改善する必要性を強調しました。
今回の訪問は、シリア北西部における情勢不安の高まりの中で行われました。紛争が10年目に入る今、シリアの人々の3分の1が食料不安に陥り、3人に1人の子どもが学校に通えず、医療施設の半分以上が機能していません。
「シリア全土の子どもたちは無慈悲な戦争に耐えています。暴力が終わった後も、おそらく長い間苦しみを抱え続けることになるでしょう」とユニセフのフォア事務局長は述べました。「過去9年間、学校や病院が爆撃され、家族が離ればなれになり、幼い命が失われました。前線から遠く離れた地域でも、家族は子どもたちを養い、生活を立て直すのに苦労しています。このシリアにおける失敗の責任を負っている人々に歴史は厳しい審判を下すでしょう」
9年間の戦争により、シリアの経済はほぼ崩壊し、何百万人もの人々が飢えと食料不安に追い込まれています。2018年から2019年の間に、食料不安に陥っている人々は650万人から790万人に増え、食料の価格は60%も上昇しました。
「戦争により生活が壊滅的な状況にあるシリアの何百人もの人々は、食卓に並べる食品を買うことすらもうできません。シリア経済がこの数カ月で急激に悪化しているためです」と国連WFPのビーズリー事務局長は述べました。「国連WFPはシリア国内と隣接する国々の750万人以上の人々に食料支援を届けています。戦争はシリアを崩壊させたままにし、人々は何よりも平和を求めています」
ビーズリー国連WFP事務局長とユニセフのフォア事務局長は、紛争の前線から30 kmほどに位置する、イドリブ県南部のシンジャールにある学校や、食料配給所、診療所を訪問。戦争が始まった年に生まれた9歳の小学生たちに会いました。生徒たちは、何年も学校に通えませんでしたが、今は学校に通い勉強に追いつこうと励んでいます。また、戦争により家を離れることを余儀なくされ、営んでいた仕事を失った女性にも会いました。彼女は今、障がいのある3人の兄弟を養うために国連WFPの支援を受けています。
イドリブ県のさらに北部では、子どもと家族の置かれている状態はより深刻です。この3カ月の間に、50万人以上の子どもが避難を余儀なくされています。1日平均して6000人にのぼります。約180校の学校が、破壊されたり損傷したり、または国内避難民の避難所として使用されているために、休校しています。食品の価格は、昨年に比べ120%上昇しました。
一方北東部では、人道支援の協力団体の多大な努力にも関わらず数万人の子どもたちが避難民キャンプで最も基本的なサービスを受けられない状況で苦しみ続けています。イラクからの2万人を含む60カ国以上からの約2万8000人の子ども達がアルホル避難民キャンプで立ち往生し、母国の政府から拒絶され、コミュニティーからも遠ざけられています。
ビーズリー国連WFP事務局長とユニセフのフォア事務局長は、政府関係者との会議で、シリアの最も厳しい状況にある子どもと家族を支援し、教育、栄養、保健、保護、および食料を提供するというそれぞれの機関のコミットメントについて改めて確認しました。
特に、最も支援を必要としているシリア国内の1100万人(うち、500万人が子ども)に人道支援を届けるには、紛争の前線と国境を越えて職員や物資を移動できるようにすることが重要であると強調しました。
また、子どもと公共インフラの保護、北西部での暴力の停止を求めました。
ユニセフのフォア事務局長はさらに、子どもの権利条約と子どもの最善の利益に沿って、北東部に留め置かれている外国籍の子どもたちの問題にも取り組む必要性について述べました。
ユニセフと国連WFPは共同で、シリアにおける栄養不良の予防と治療、データ収集の強化、そして学校給食の提供を通じて子どもたちを学校に留まらせるための支援を行っています。
国連WFPビデオのダウンロード:https://spaces.hightail.com/receive/7UKVMbUysa
国連WFP写真とキャプションのダウンロード:https://spaces.hightail.com/receive/SlzxypxAWm
※使用の際には要クレジット「提供:国連WFP」
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