AIで災害支援「部分的に役立つ」が半数以上、一方で半数以上が「誤情報」に不安 「災害支 援でのAI活用に関する実態・意識調査」を実施
災害支援10項目すべてで「人を中心に、AIが支援」が最多に
日本赤十字社(本社:東京都港区、社長:清家篤、以下「日赤」)は、地震や台風・大雨などによる自然災害が全国各地で発生する中、災害対応におけるAI活用への意識を把握するため、「災害支援でのAI活用に関する実態・意識調査」を実施しました。
近年、自然災害が全国各地で相次ぐ中、災害対応の現場では、限られた人員や時間の中で、膨大な情報の収集・整理や被災者への支援など、多岐にわたる対応が求められています。さらに、日本国内においては少子高齢化や人口減少が進む中、災害対応を担う人材の確保も課題となっており、より迅速かつ効率的に対応するための手段が求められています。
こうした中、災害対応を支える新たな手段の一つとして、AIの活用が注目されています。近年、生成AIをはじめとするAI技術が急速に進展し、さまざまな分野で人の業務を支援する手段として活用が広がり、「令和8年熊本地震」においてもデジタル庁によって提供されたAIが被災自治体などにおいて活用されたことが報道されました。
AIは、膨大な情報の収集・整理などを通じて災害対応を支えることが期待されますが、その一方で、人命や生活に関わる災害支援だからこそ、その活用には慎重な検討も求められます。
そこで日赤は、災害発生時の医療救護やこころのケア、救援物資の配布をはじめとした、様々な災害支援に携わる立場から、AI活用への期待や信頼度、不安、人とAIの望ましい役割分担などを把握し、今後の災害支援活動を考える一助とするため、本調査を実施しました。
なお、本調査は「令和8年熊本地震」の発生前に実施したものであり、今回の地震を受けた回答ではありません。
【主な調査結果】
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災害支援におけるAI活用について、87.1%が「役立つ」※と回答。
※「非常に役立つと思う」「役立つと思う」「部分的に役立つと思う」の合計
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災害発生時にAIが提供する情報について、「非常に信頼する」(5.3%)、「信頼する」(16.7%)に対し、「部分的に信頼する」が62.4%と最も多い結果に。
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災害時のAI活用への不安としては、「AIが誤った情報を提供する可能性がある」と回答した割合が半数以上で最も多く、次いで、「AIの回答をどこまで信頼してよいか分からない」が41.1%、「情報の出典や根拠が分かりにくい」が29.0%となった。
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災害支援における人とAIの望ましい役割分担については、情報収集・整理から避難支援、医療・健康相談、心理的ケアまで、調査した10項目すべてにおいて、「人を中心に、AIが支援」が最多に。
また、「AIのみで対応」と回答した割合は、すべての項目で5%未満となった。中でも、「心理的ケア・相談」については、「AIは活用すべきではない」と回答した割合が28.3%と、10項目の中でも最も高い割合を占めた。
調査結果
1. 災害支援におけるAI活用について、程度の差はあるものの、90%近くが有用性を認める結果に
災害支援においてAIが役立つと思うか尋ねたところ、「非常に役立つと思う」が7.8%、「役立つと思う」が26.7%、「部分的に役立つと思う」が52.6%となり、これらの回答を合わせると87.1%に上りました。程度の差はあるものの、90%近くがAIの有用性を認めており、AI活用への期待がうかがえます。
一方で、「部分的に役立つと思う」が半数を超えていることから、AIがあらゆる場面で一律に有効というより、その特性を踏まえた適切な活用が重要であることが示唆されます。

2. 災害時にAIが提供する情報、84.3%が一定程度「信頼」、一方でそのうち62.4%は「部分的に信頼」
災害発生時にAIが提供する情報をどの程度信頼するか尋ねたところ、「非常に信頼する」は5.3%、「信頼する」は16.7%、「部分的に信頼する」が62.4%となり、程度の差はあるものの合計84.3%が「信頼する」と回答しました。
一方、「部分的に信頼する」が62.4%と突出する結果となり、AIが提供する情報を一定程度受け入れながらも、その情報を全面的に信頼することには慎重な姿勢がうかがえます。
さらに年代別にみると、50代・60代では「まったく信頼しない」と回答した割合が他の年代と比べて低い一方、30代では「まったく信頼しない」と回答した割合が50代・60代のおよそ2倍となりました。
また、災害支援においてAIが役立つと思うか尋ねた質問では、「非常に役立つ」「役立つ」「部分的に役立つ」と回答した割合は、60代が92.9%と最も高く、50代も90.0%となった一方、30代では78.8%と最も低い結果となりました。
こうした結果から、AIへの受け止め方は、必ずしも年代が若いほど肯定的、高いほど慎重という単純な傾向ではないことがうかがえます。


3. AI活用への最大の不安は、「AIが誤った情報を提供する可能性」
災害時のAI活用について不安に思うことを尋ねたところ、「AIが誤った情報を提供する可能性がある」が50.9%と最も多く、半数以上にのぼりました。次いで、「AIの回答をどこまで信頼してよいか分からない」が41.1%、「情報の出典や根拠が分かりにくい」が29.0%となりました。
これらの結果から、災害時のAI活用には期待が寄せられる一方、AIが提供する情報の正確性や信頼性、出典・根拠の透明性などが大きな懸念となっていることが推測されます。

4. 災害支援に関する10項目すべてにおいて、「人を中心に、AIが支援」がおおむね50%を占める
「AIは活用すべきではない」とする割合は、「心理的ケア・相談」で最多
災害支援における人とAIの望ましい役割分担について尋ねたところ、すべての項目で「人を中心に、AIが支援」の回答がおおむね50%を占め、最も多い結果となりました。一方、「AIのみで対応」はすべての項目で5%未満にとどまっています。
また、「AIは活用すべきではない」と回答した割合は、「心理的ケア・相談」で28.3%と、10項目の中でも最も高く、次いで「医療・健康相談」で27.6%、「要配慮者へのサポート」で26.7%となりました。
こうした結果から、災害支援におけるAIの活用については、支援内容を問わず、AIのみに支援を委ねることへの支持は限定的であることが分かりました。中でも、心理的ケアや医療、要配慮者へのサポートなど、人とのコミュニケーションや個々の状況に応じた判断が特に重要となる支援では、人による対応を重視する傾向がうかがえます。

<調査概要>
調査名 :災害支援でのAI活用に関する実態・意識調査
調査対象:全国に居住する男女1440人 ※10~60代の男女各720人
調査方法:ネットリサーチ
調査機関:株式会社ネオマーケティング(調査委託)
調査期間:2026年7月
※本調査は「令和8年熊本地震」の発生前に実施したものであり、今回の地震を受けた回答ではありません。
※その他詳細なデータについては、日本赤十字社広報室にお問い合わせください。
※本調査を引用する場合は、「2026年日本赤十字社調べ」もしくは「日本赤十字社『災害支援でのAI活用に関する実態・意識調査(2026年)』」とご記載ください。
調査結果まとめ
今回の調査から、災害支援におけるAI活用には一定の期待が寄せられている一方、その情報を全面的に信頼することには慎重な姿勢があり、AIにすべての対応を委ねるのではなく、人が中心となってAIを活用することが望まれている現状が明らかになりました。
特に、AIが提供する情報の正確性や信頼性、出典・根拠の分かりやすさに不安がみられたことから、人命や生活に関わる災害支援でAIを活用する際には、AIが提供する情報の信頼性をどのように担保し、最終的な確認や判断に人がどのように関わるかが重要になると考えられます。
また、心理的ケアや医療・健康相談などにおいては「AIは活用すべきではない」とする回答も比較的多くみられました。さらに、「AIが普及しても人による対応に期待すること」を尋ねる問いでは、「人だからこそおもいやりや温かさがあるので、できるだけ人と接したい」「人の顔の表情や声などによって安心を感じることがある」「寄り添う気持ちが何より大切」「人の温もりが必要」といった、人との関わりによる安心感や温かさ、心理的な寄り添いが求められていることもうかがえます。
こうした結果から、災害支援においては、AIを部分的に活用しながらも、被災者に寄り添い、安心感を与え、一人一人の状況に応じて対応する、「人」だからこそ担える役割が重要であることがうかがえます。AIに人の役割を置き換えるのではなく、人による支援を中心に据え、その活動を補完する手段としてAIを適切に活用していくことが求められます。
日赤の取り組み
日赤では、必要とされる救護を円滑に行うため、全国90の赤十字病院に訓練・研修を重ねた救護班を486班(6,283人)編成しています。災害時には被災地の医療ニーズに応じて救護所や避難所などで医療救護活動を展開します。
また、「こころのケア活動」として、研修を受けた要員が被災された方々の健康や身近な悩みなどに耳を傾けて心理的な支援を行い、必要に応じて専門的な支援へつなぐなど、被災地の状況に応じた活動を行っています。
その他、救援物資の備蓄及び配分、血液製剤の供給、義援金の受付(※【参考】参照)なども重要な活動です。
◆日赤Webサイト(救護活動について):https://www.jrc.or.jp/saigai/
■「令和8年熊本地震」の活動
日赤は、発災直後から熊本県支部と熊本赤十字病院を中心に全国の赤十字施設と連携し、医療救護活動を開始したほか、救援物資の配布、避難所の生活環境改善、こころのケアなど、被災地の状況やニーズの変化に応じて、被災された方々の「いのちと健康を守る」ための活動を続けてきました。
今後は、熊本県支部を中心とした地域に根ざした支援体制へと移行していきます。支援のかたちを変えながら、被災された方々の生活の復旧・復興に向け、地域のニーズに寄り添った中長期的な支援を続けてまいります。
◆日赤Webサイト(熊本地震の対応):
https://www.jrc.or.jp/domestic_rescue/2026kumamotoearthquake.html

【担当者のコメント】 日本赤十字社 救護・福祉部 救護課長 土居 正明

今回の調査結果から、AIの活用が広がる中でも、災害時の心理的な支援では、人による寄り添いや対話が求められていることがうかがえます。災害によるこころや身体の反応は人それぞれであり、置かれている状況や時間の経過によっても変化します。災害時の救護活動では、そうした変化を捉えながら、一人一人の気持ちやペースを尊重して関わることが特に大切であり、どんなにAIの活用が進んでも人対人の支援はなくならないと考えています。
日赤が行う支援においても、AIで補完できるところは積極的に活用しつつ、そこで生まれた時間を有効に活用して、被災された方一人一人に寄り添い、少しでも安心して過ごしていただけるような活動に取り組んでまいります。
※ 【参考】 活動資金と義援金の違い

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