【ウクライナ危機から2年】「ただお父さんに帰って来てほしいだけなの」9歳の少女の願い。300万人以上の子どもたちが保護・教育の緊急ニーズに直面と、支援活動を続ける国際NGOが警鐘
「ただお父さんに帰ってきてほしいだけなの」最前線で戦っているお父さんのことを心配し、そう訴えるのはウクライナ西部リヴィウ州で暮らす9歳の女の子、エバちゃん。
ウクライナ危機が2年目を迎える中、「子どもの保護」や「教育」などの緊急支援を必要とするエバちゃんのような子どもたちが少なくとも330万人いると推計されています。
「オンライン授業が空襲警報で中断されない週はないのよ」と、エバちゃんは嘆きます。
エバちゃんの担任教師であるローマン先生は、子どもたちの学習や脳の発達に最も重要な時期が失われていることに強い懸念を示しています。心身の健やかな成長や教育が大切な年齢にある子どもたちの心を占めているのは、育つことや学ぶことではなく、爆撃、停電、不安定な生活への不安や恐れなのです。
ユニセフ(国連児童基金)は、「ウクライナ東部で暮らす保護者の56%が『子どもたちが不安や緊張を抱えている』と話す」と報告し、紛争が子どもたちのメンタルヘルスに与えている影響を示しています。
ワールド・ビジョンでウクライナ危機対応の責任者を務めるクリス・パルスキーは次のように述べます。「長引く紛争により、子どもたちの明るい未来が危ぶまれています。このように技術発展を遂げた今の世の中で、子どもたちを苦しみから守ることができないなど、全く理解できないことです」
12歳のビクトリアちゃんは、両親と一緒にウクライナ東部のドネツク州バフムートから逃れ、今は首都キーウで暮らしています。ビクトリアちゃんは喪失感と恐怖に苦しみ、友だちや家や持ち物など、全てから遠く離れた場所での新しい暮らしに馴染めず、何カ月もひどく落ち込んでいました。
しかし、WVとパートナー団体の「NGOガールズ」が共同運営する「チャイルド・フレンドリー・スペース」*に出会い、そこで時間を過ごすようになったビクトリアちゃんは、自分は決して1人ではないこと、そして、紛争に巻き込まれていても夢を持っていいことに気付いたのです。他の子どもたちのお手伝いをするボランティア活動の話をしながら彼女は誇らしそうに夢を語ってくれました。「私は外交官になる!」と。
WVはエバちゃんやビクトリアちゃんのような子どもたちの苦しみと願いを聴いてきました。リヴィウ州からバフムートまで、ウクライナの戦禍に見舞われているすべての村、町、都市で、子どもたちの希望や夢が輝くことができるか、それとも、絶望に沈んでしまうかは、子どもたちを支える私たちのような支援団体や関係者が、強靭にそして覚悟をもって支援活動を実施できるかにかかっています。
WVはウクライナの紛争の影響を受けている160万人以上に支援を届けてきました。その半数以上が、子ども、女性、そして最もぜい弱な人々です。
人道支援を必要としている推定1,700万人以上の人々に緊急かつ継続的に支援を届けるためには支援団体、寄付者、政府機関、地域のパートナー団体そしてコミュニティの総力をあげた息の長い連携と努力が必要不可欠です。
WVウクライナ危機対応責任者のクリス・パルスキーは最後に次のように述べます。「どんなに状況が複雑で困難でも、この挑戦は絶対に諦めてはなりません。ワールド・ビジョンが掲げる『すべての子どもに豊かないのちを』というビジョンは必ず果たさなければならない約束だからです。これからもウクライナの子どもたちのために祈り、願い、絶え間ない努力を続けます」
*「チャイルド・フレンドリー・スペース」とは:「子どもたちの心のケアを目的として、子どもが安心・安全に過ごせる場所」
以上
<ワールド・ビジョンのウクライナ危機対応実績(2023年12月末まで)>
ウクライナ国内、ならびに、隣国のモルドバ、ルーマニア、ジョージアにおいて、子ども77万478人を含む160万8,202人の人々に支援を届けました。
・約54万1,500人に食料支援を提供しました
・約37万人に現金やバウチャーを支援しました
・約10万8,000人にメンタルヘルスや心理的ケアを提供しました
・約25万3,500人の子どもたちに教育支援を届けました
<ワールド・ビジョンとは>
キリスト教精神に基づき、貧困、紛争、災害等により困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録され、約100カ国で活動しています。
日本事務所であるワールド・ビジョン・ジャパンは1987年に設立され、事務所は東京都中野区です。
詳しくはこちら: https://www.worldvision.jp
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