DAC技術を開発する米国企業Heirloomへ出資
~ネガティブ・エミッションの普及・拡大に貢献~
商船三井グループの100%子会社で脱炭素技術への投資を目的とするMOL Switch LLC(代表:一田 朋聡、本社:米国カリフォルニア州、読み:エム・オー・エル・スウィッチ、註1)は、昨年7月に転換証券(註2)を通じ、三菱商事株式会社と共に日本企業として初めて、Direct Air Capture(以下DAC、註3)を開発するHeirloom Carbon Technologies, Inc.(読み:エアルーム・カーボン・テクノロジーズ、本社:米国カリフォルニア州、代表:Shashank Samala、以下「Heirloom」)へ参画しました。また今般、Heirloomが1.5億ドルの資金調達を完了するにあたり、三井物産株式会社、日本航空株式会社などの日本企業を含む複数社と共に出資を決定しました。
Heirloomは大気中から直接CO2を除去する技術DACを開発する世界有数の米国企業です。HeirloomのDAC技術は、従来のアミン法とは異なり、世界で2番目に豊富で安価な鉱物である石灰岩を原料として使用することで、DAC技術の低コスト化を可能にします。Heirloomの参画するプロジェクト“Cypress”(註4)は米国エネルギー省から最大6億米ドルの補助金を受け、年間約100万トンのCO2除去を目指します。
【 Heirloom社 DAC技術 】
STEP1 :
石灰岩を採掘・粉砕
STEP2 :
煆焼炉で石灰岩を高温焼成
酸化カルシウム(CaO)とCO2に分解
CO2は地中貯蔵や他の原料として活用
STEP3 :
CaOと水(H2O)を付加させ 水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成
STEP4 :
Ca(OH)2をトレーに敷き詰め
大気中のCO2を吸着させる
再び石灰石となり、再利用へ
商船三井は、今回の出資を通じて、ネガティブ・エミッションの一つであるDAC技術の向上に貢献し、社会全体のネガティブ・エミッションの普及・拡大に努めます。
商船三井グループは経営計画「BLUE ACTION 2035」において社会インフラ企業を目指し、非海運分野の強化および、積極的な投資を計画しています。さらに「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」において、2050年までにグループ全体でのネットゼロ・エミッション達成を目標に定めています。ネガティブ・エミッションの普及・拡大への貢献を通じて社会全体の脱炭素の実現を目指します。
【出資先概要】
企業名 |
Heirloom Carbon Technologies, Inc. |
所在地 |
米国カリフォルニア州 |
設立年 |
2020年 |
代表者 |
Shashank Samala (CEO) |
会社ホームページ |
(註1)「MOL Switch」については、2023年5月31日付プレスリリース脱炭素技術への投資を目的とした新会社「MOL Switch」を米国に設立 | 商船三井をご参照ください。
(註2)「転換証券」Simple Agreement for Future Equity (SAFE)とも呼ばれ、将来の株式転換の権利と引き換えに資金提供を行う。スタートアップへの資金提供において、多く活用される。
(註3)「DAC : Direct Air Capture」大気中の二酸化炭素を吸収材や化学反応等を用いて直接回収する技術。回収した二酸化炭素は地中に貯蔵したり、他の原料として活用される。
(註4)「Cypress」とは、米国に拠点を置く科学技術開発会社Battelle Memorial Instituteが主導するルイジアナ州初のDACプロジェクト。本プロジェクトは米国エネルギー省が提供する補助金プログラム“Regional Direct Air Capture Hubs”の一つに選定され、最大6億米ドルの資金提供を受ける。
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