『WIRED』日本版編集長の松島倫明さんが予見する「オーバーツーリズムの脱未来」
オーバーツーリズムの今とこれから
5月10日(金)、ZiNEZ-ジンジ-がDJを務めるラジオ番組「Brand New! Friday」(FMヨコハマ・毎週金曜6時~9時)が放送。
今回の放送では、番組内コーナー「Life Style Labo」に『WIRED』日本版編集長の松島倫明さんが登場。近年、世界的に問題視されている「オーバーツーリズム」のトピックを取り上げ、日本の観光地を例に挙げて解説しました。
松島: ちょうどゴールデンウィークで各地を旅行された方も多いと思うんですけど、観光地が観光客でいっぱいになってしまう、オーバーツーリズムの問題って世界中で問題になっていますよね。
ジンジ: うんうん。
松島: 円安の影響もあって特に多いと思うんですけど、その分、観光地の街の機能がほぼ麻痺してしまうんですよね。鎌倉だと、買い物も難しいし、車も動けなくなっちゃうんですよ。例えば、イタリアのヴェネツィアって観光地で有名だと思うんですけど、先月の25日に「これからは、観光客には入場料として5ユーロ頂きます」っていう、世界初の制度が始まっているんですよ。これからは観光客と、観光地で暮らしている人の生活のバランスっていうのが課題になっているんです。
ジンジ: はいはい。
松島: 鎌倉市だと、パーク&ライドっていう、鎌倉市に入る手前で皆に車を降りてもらって、そこからは公共交通機関を使うみたいな、市内に車を入れない施策が検討されているんです。京都市では実際に実施されているんですけど、オーバーツーリズムとしてはとても悪名高い地域になってしまっているので、どこまで効果があるのかわからないんですよ。
ジンジ: そうだね。
松島: 鎌倉市って山と海に囲まれているので、多分鎌倉に入るための道って7本くらいしかないんですよ。そこでパーク&ライド実施すればコントロールできるかもしれないんですけど、どうやら全部は塞がないらしいですし、強制ではないみたいなので、実効性がどこまであるのかなって思いますよね。
ジンジ: オーバーツーリズムって、なるべく車だったり、地元の人の生活をタイトにしないように保つっていうことは、治安維持にも凄くつながる気がしますね。観光客が増えすぎることで、僕が日本人として感じることは、「観光客が増えると治安が悪くなるんじゃないかな」みたいな勘違いによってすれ違っちゃうことが増えてくることが難しいというか。どうやって地元の人と観光客が共存するかの解決策を出している所は、中々少ないんじゃないかなって思うんです。
松島: 有名な例として、オランダのアムステルダムも世界的な観光地なんですけど、「観光地としてのアムステルダムをやめます! 皆さん観光に来ないでください」っていうキャンペーンをやったりしてるんです。というのは、もっと日常のアムステルダムを見に来て欲しいって言ってるんですね。
ジンジ: そうなんだ。
松島: なので、日本の文化の肌感覚に馴染んで体験したいっていう観光客に対して、僕らがどうやって提供できるのかを考えていかなきゃいけないですし、単に観光地を消費するだけじゃなくて、地元の人達と交流できる体験をしたいっていうニーズが高まっていると思うんですよ。そこに観光地側が対応できてないので、リアルな日常生活としての場所を体験して触れ合う機会が増えれば、外国人への不信感が改善されたりとか、観光客が街を汚さなくなったりとかすると思うんです。ツーリズムをどうやって変えていくかというのは、こういう部分がポイントかなって思いますね。
各観光地の例を交えながら、観光客の受け入れ方について持論を語った松島さん。これを受けてジンジさんから、自身が感銘を受けた観光にまつわるエピソードを明かされ、「日本はまだまだ頑張れると思うから、これからも考えていきたいですね」と話しました。
このエピソードはradikoでもお聴きいただけます。
https://radiko.jp/share/?sid=YFM&t=20240510074228
さらに、未公開部分を含めたインタビュー完全版はPodcast「Brand New! Friday EX」から聴くことができます。
https://megaphone.link/YOKOHAMAFMBROADCASTINGCOLTD9820622436
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