中古マンション市場において「方位と階数」が資産価値に与える影響とは
不動産ビッグデータとAI等のテクノロジーを活用し、不動産マーケティングプラットフォームを提供する株式会社マーキュリー(本社:東京都新宿区 代表取締役CEO:陣 隆浩、証券コード5025、以下「当社」)は、独自視点で業界の動向を発信しております。
全方位の中でも特に優位性が高いとされる南向き住戸ですが、中古マンションとして市場に出た際の売却価格と新築分譲時の価格とを比較した際、どのような価格値上がり率の傾向が見られるのでしょうか。今回は、方位に加えて階数の要素も加味して詳しく調査しました。
■真南向きが最も低い結果に

上の表は19階建て以下の物件(タワーマンション以外)の所在階と方位別の値上がり率を示した表です。同一の階で最も高い値上がり率だった方位がオレンジ色の網掛け、逆に最も低かった値上がり率の方位に青色の網掛けをしています。これを見ると、各階で最も値上がり率が高い方位は北向き、北東向き、北西向きが大多数を占め、最も値上がり率が低い方位はほぼ真南向きという結果になりました。
■タワーマンションの低層階も同様

上の表は20階建て以上の物件(タワーマンション)に限定して19階以下の住戸の所在階と方位別の平均値上がり率を示した表です。一般物件(タワーマンション以外)と比べると全体的に値上がり率は高い(高騰している)ものの、各階ごとの値上がり率を方位別で比べると、南向きよりも北向きのほうが値上がり率は高い傾向にあります。
■タワーマンションでも北向き優位は変わらず

上記の表は住戸の20階から39階までの所在階と方位別の値上がり率を示した表です。所在階が20階以上になるため、すべてがタワーマンションの住戸ということになります。1階から19階ほどではないものの、北、北西、北東向きの優位は変わらず、真南をメインに南西、南東向きの部屋で青の網掛け(各所在階で最も値上がり率が低い)が目立ちます。
■上層階は向きとの相関は低い

上記の表は住戸の40階以上の所在階と方位別の値上がり率を示した表です。所在階が40階以上になると、タワーマンションの上層階や最上階住戸が多く供給戸数自体も限られることから個別物件の影響をより多く受けるため、方位と値上がり率の関連性は薄まる傾向にあるようです。
■北向きの部屋の値上がり率が高い理由

先の表を階数帯別にまとめると、まず一般物件とタワーマンション(19階以下)を比べると、どの方位でも30ポイント近く値上がり率の差があり、タワーマンションの値上がり率が総じて高いことが分かります。一方、一般物件とタワーマンション(19階以下)をそれぞれ単体で見てみると、南向きよりも北向きの方が15ポイント以上高くなっています。また、タワーマンションに限られる20~39階も、19階以下と同様、南向きよりも北向きの方が15ポイント近く高い値上がり率となっています。40~60階は南向きと北向きの差が約7ポイントと他の階数帯と比べて小さくなりますが、値上がり率自体はほかの階数帯と比べて最も高くなっています。
今回の調査で、一般物件よりタワーマンション、低層階より高層階、南向きより北向きの部屋の値上がり率が高い傾向にあることが分かりました。北向きの部屋の値上がり率が高くなる理由としては、新築分譲時の価格が抑えられていることが大きいと考えられます。新築マンションのデベロッパーは新築分譲の際に条件が良く人気が高い南向きの部屋の価格を高く、人気が低くなる北向きの部屋を安く値付けする傾向にあります。しかし、昨今のマンションは換気性や気密性が高く、実際に住んでみると北向きのネガが殆どないことなどもあって、中古流通すると新築時ほど方位による価格差が生じないため、結果として南向きよりも北向きの部屋の方が中古流通した際の値上がり率が高くなると考えられます。
また、新築で供給される分譲マンションは殆どの物件が基本的に南向きに建てようと計画されるため、物件の優劣という意味で南向きは玉石混交になりますが、北向きを作る場合、ないし作らざるを得ない場合、この物件で北向きは売れるか、どうしたら売れるかという検討は南向きの住戸以上になされるため、北向きの住戸の方がある意味熟慮された厳選プランとも言えます。
加えてタワーマンション、特に都心部の物件の眺望が望める上層階では、良い眺望が必ずしも南向きに限らないことなどもあり、北向きの住戸が優位になる理由の一つと考えられます。
新築マンション購入検討の際に、売却時のリセールバリューを考慮する人はタワーマンション、北向き、上層階の部屋を候補に入れてみるのも、選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
・Realnetマンションサマリの中古マンションデータを基に算出
・首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県)、関西(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県)、東海(愛知県、三重県、岐阜県)で2016年から2024年に流通した中古マンションが対象
・投資用物件は除く
【マーキュリーについて】
当社は、1991年の創業以来「不動産ビッグデータ」を武器に、事業を展開してきました。
「Big Data × Technology で不動産の未来は私たちが動かす。」をビジョンとして掲げ、近年は従来のビッグデータに、AI等のテクノロジーを用いて不動産マーケティングプラットフォームを提供しております。
これからも高品質なサービスを提供し続けることで、更なる顧客満足と事業の拡大を目指します。そして不動産ビジネスに関わるあらゆるステークホルダーの最良の選択の為に「確信」を届けてまいります。
【会社概要】
会社名:株式会社マーキュリー
所在地:東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル42階
代表取締役:陣 隆浩
設立年月:1991年5月
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