「経営改善」「販路拡大」2つのコースで地域を支える農業者を育成 奈良市で「なら農業マネジメントアカデミー」9月始動!

奈良市役所

奈良市では、農業者数や経営耕地面積が年々減少し、農村地域の衰退が危惧されています。地域の食生活を支える産地を次代に守り継いでいくためには、担い手の確保とともに、所得向上や営農環境の改善による地域農業の振興が必要です。

そこで、農業者向けセミナー「なら農業マネジメントアカデミー」を開講、2つのコース(経営改善・販路拡大)を設け、実践を重視した少人数制講座を実施します。

経営理論や具体的な知識、ノウハウ習得により、生産、販売、労働時間等、さまざまな側面で課題を抱えながらも独力では打開策を見いだせず、改善が困難となっている農業者個々の経営力の底上げを図り、売上を確保しながら地域農業の中核を担ってもらうことで、本市農業の活性化に繋げます。

トピックス

  • 実践重視の少人数制講座「なら農業マネジメントアカデミー」を9月に開講し、市内農業者の経営力向上を支援。

  • 経営を2つのコースに分けて、農業経営者支援に実績ある講師群がサポート。
    経営改善コース…農業経営効率化に必要な知識と手法を学ぶ
    販路拡大コース…販路拡大へのノウハウを学び売上アップを目指す

  • プログラム監修とメイン講師は、農業経営改善に実績のある佐川友彦氏(ファームサイド株式会社 代表取締役)

1.事業実施の背景

奈良市農業の全体像

農業経営体数の推移

【出典】農林水産省「農林業センサス」2020

農業経営体数の推移

【出典】農林水産省「農林業センサス」2020

経営耕地面積の推移

奈良市では農業経営体※1数が年々減少しており、2020年は、2005年に比べて約1,000経営体減の1,461経営体となりました。これに伴い経営耕地面積も、2020年は2005年から42,911a減の168,937aとなっています。

【出典】農林水産省「農林業センサス」2020

農業経営者の年齢構成

奈良市の農業経営者は年々高齢化しています。中でも65歳以上の比率を見ると、2005年は43.9%だったのに対し、2020年では66.2%まで上昇しています。

【出典】農林水産省「農林業センサス」2020

農業経営体の法人化率

奈良市の農業経営体の法人化率は年々上昇しているものの、全国と比べても低水準で推移しており、2020年は1.6%に止まっています。本市の農業は、ほぼ個人経営により支えられていることが分かります。

​​【出典】農林水産省「農林業センサス」2020

農産物販売金額帯別の農家数の割合(2020年)

販売金額で見ると、販売農家※2における販売金額は、奈良市は50万円未満が32.3%と最多である一方、全国では100万~1,000万円が最多であることから、本市の農業が小規模経営であることが伺えます。なお、奈良市の自給的農家※3の割合は46.1%であり、農家のうち約半数は積極的な販売活動を行っていません。

※1 農業経営体
農産物の生産を行うか又は委託を受けて農作業を行い、生産又は作業に係る面積・頭羽数等が、次の規定のいずれかに該当する事業を行う者
(1) 経営耕地面積が30a以上の規模の農業 (2) 農作物の作付面積又は栽培面積等の事業の規模が一定の基準以上の農業(露地野菜作付面積 15a、施設野菜栽培面積 350平方メートル等) (3) 農作業の受託の事業

※2 販売農家 経営耕地面積が30a以上又は1年間における農産物販売金額が50万円以上の農家

※3 自給的農家 経営耕地面積が30a未満かつ1年間における農産物販売金額が50万円未満の農家

認定農業者の年間労働時間

奈良市の認定農業者への聞き取りによると、年間労働時間が2,000時間を超える者が9割を超えています。2,000時間は他産業の一般的な労働時間の基準ですが、中にはその3倍となる6,000時間を超える農業者も1割程度存在し、農業がいかに重労働であるかが伺えます。

〈ポイント〉

  • 農業者の66%を65歳以上が占め高齢化が進む一方、新たに参入する者が少なく、農業は衰退の一途

  • 法人による農業経営はほとんど見られず、積極的に販売活動をしていない、または販売金額が50万円に満たない小規模経営の農業者が8割を占める

  • 農業者の年間労働時間は、他産業の一般的な労働時間である2,000時間を大幅に超えている者が大半

活躍する奈良市の若手農業者

高齢かつ小規模経営の農業者が大多数を占める奈良市においても、一定の売り上げを確保し、次世代の地域農業の担い手として期待される方がいます。

彼らは、従来型の家族経営による「経験や勘に頼る生産中心の農業」とは一線を画し、独自販路の確保、法人化、近隣住民の雇用、生産拡大など、+αの活動に取り組むことで、自らの農業経営の向上を通じ地域活性化にも貢献しています。

育成する農業者像

上記の現状を踏まえ、なら農業マネジメントアカデミーでは、次のような農業者の育成を目指します。

  • 経営の効率化による労働環境の改善、経営課題の解決を図る農業者

  • 販路拡大をはじめとする生産+αの活動により、「稼ぐ農業」への転換を図る農業者

  • 次世代の担い手として地域をけん引する農業者

2.事業全体イメージ

3.プログラム監修・メイン講師

なら農業マネジメントアカデミーのプログラム監修及びメイン講師には、令和5年度「なら農業応援塾」(奈良市産農産物販路拡大事業)において講師を務めた、ファームサイド株式会社代表取締役の佐川友彦氏を起用します。​

■ファームサイド株式会社 代表取締役 佐川友彦 氏
東京大学農学部、同修士卒。外資系企業を経て2014年より阿部梨園(栃木県宇都宮市)に参画。阿部代表の右腕業を務め、大小500件の業務改善を実施し、小規模ながらスマート経営を実現。現在はファームサイド株式会社を起業し、講演活動や経営支援で各地を回り、農業者の経営改善運動を全国へ展開中。著書『東大卒、農家の右腕になる。小さな経営改善ノウハウ100』(ダイヤモンド社)

4.経営改善コースコース

概要

経営改善コースでは、まず視察を通じ、受講者の目標とすべき農業者像の設定を行った上で、農業経営を見直すための人的・時間的余地を捻出するための具体的な課題解決の手法について、座学、ワーク等により農業者に伝授するほか、受講生とメイン講師によるSNSグループを設け、伴走支援も行います。

各回の受講後に、受講者が学んだ手法を自農園において反映させる実践型の講座を展開。最終回では実践した経営改善の取り組みを受講者ごとに発表します。受講中の段階から実践に取り掛かり、改善習慣を身に付けていくことで、講座終了後においても独力で経営改善に取り組める能力を養います。

内容

日程、テーマ等

場所 奈良市役所 ほか

対象 市内に農場があり、農業で生計を立てている65歳未満の農林畜産業者(家族・従業員の参加も可)

定員 10人程度 ※受講者は委託事業者との協議により決定します。

参加費 無料

申し込み 奈良市ホームページから申し込み

※詳細はしみんだより10月号、奈良市ホームページに掲載します。

5.販路拡大コース​コース

概要

令和4、5年度に実施した、市内農業者の販路拡大を支援する「なら農業応援塾」をリニューアル。今年度は、農業界に関わる各種販路の知識を深め、販路拡大計画・戦略を立案し、BtoB(事業者向け取引)とBtoC(消費者向け取引)に分けて経営のスキルアップを図ります。農業者が自ら「こんな農業をしていきたい」というイメージを再確認しながら講師とともにアクションプランを作成し、分野に分けて実践方法を知ることで、講座で得た学びを着実に行動へ繋げられる内容としています。

少人数制で実施するため、講師から専門的な視点によるフィードバックを得られるほか、メイン講師も参加するSNSグループでの伴走支援により、講座中のみならず講座終了後においても、販路拡大への実践を後押しします。

内容

日程、テーマ等

場所 奈良市役所

対象 市内に農場がある農林畜産業者(家族・従業員の参加も可)

定員 各回10人(初回のみ20人) ※受講者は委託事業者との協議により決定します。

参加費 無料

申し込み 奈良市ホームページで申し込み(現在募集中。9月16日締切)

令和5年度「なら農業応援塾」受講者の声、実施の様子

  • 講師の方々のお話がとても分かりやすく具体的で興味をひかれた。近い将来自分自身が行動しているであろう様々なシーンが想像できた。

  • 販路拡大に取り組むにあたって気になっていたポイントを各回テーマの中で解説してもらえた。

  • グループワークの中で共有できた情報が有益だった。新しいことを始める動機付けにもなった。

関連リンク

▼「なら農業マネジメントアカデミー」9月始動!【市長会見】(令和6年8月29日発表)

https://www.city.nara.lg.jp/site/press-release/214980.html

本件に関するお問い合わせ先 

奈良市 観光経済部 農政課
TEL:0742-34-5142

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URL
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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
奈良県奈良市二条大路南一丁目1番1号
電話番号
0742-34-1111
代表者名
仲川げん
上場
未上場
資本金
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設立
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