【独自調査】現場監督・所長、「施工業者、職人の確保が難しくなった」との回答が35.6%

~施工業者を確保しにくい中、「工期の適正化が進んでいる」との回答は47.4%にとどまる~

野原グループ株式会社

BuildApp(ビルドアップ)で建設DXに取り組む野原グループのBuildApp総合研究所(所在:東京都新宿区、代表:山梶真司)は、2024年11月に実施した「建設産業従事者1,000人への独自調査」から、建設現場の「施工管理(工程、安全、品質、原価などの工事に関わる様々な業務の管理)」に従事する現場監督・所長289名に対象者を絞った、「働き方改革と工期の適正化 、フロントローディング に関する実態調査」の結果を発表します。

調査結果の主なトピックス

1.働き方

2024年4月以降に「施工業者、職人の確保が難しくなった」との回答は35.6%に上り、業界全体の結果(23.3%)に比べ、12.3ポイントも高い結果となりました。一方で、「残業上限が設定され、残業が減り休暇が取りやすくなった(働き方の改善)」との回答が39.1%(業界全体では32.5%)となり、時間外労働時間の上限規制は現場監督・所長の「働き方の改善」を後押ししている結果となりました。

時間外労働時間の上限規制の今後について、「規制が浸透し働き方改革が加速する」と考える現場監督・所長は55.4%で、業界全体の結果(51.2%)よりも若干高い数値となりました。

●現場監督・所長289名が残業抑制に有効と期待している事項は、1位「非効率な慣習や作法等の改廃(42.2%)」、2位「工期の適正化(41.9%)」、3位「新技術やデジタルツール導入による省人化(37.7%)」でした。

2.工期の適正化

●現場監督・所長289名のうち、時間外労働時間の上限規制遵守のための「工期の適正化が進んでいる」との回答は47.4%(業界全体では47.5%)でした。

●今後、時間外労働時間の上限規制が浸透すれば、「工期の適正化も進む」との回答は32.2%(業界全体では33.7%)にとどまり、「工期の適正化が進んでも、内装仕上げ工事などの工期終盤の専門工事に工事全体の遅れがしわ寄せされるだけ」が63.8%(業界全体では63.4%)にも上りました。

「工期が遅れる最大の要因」は、1位「施工に必要な職人数の不足(31.5%)」、2位「元請けと現場(施工会社・職人など)での情報連携不足(課題認識のばらつきを含む)(27.3%)」、3位「発注者による設計変更(24.2%)」でした。

3.省人化

現場監督・所長289名のうち、働き方改革を進めるための省力化意欲がある方は67.8%(業界全体では62.1%)で、省人化に最も有効と期待する取組みの1位は「業務のあり方の見直し(51.0%)」でした。

4.フロントローディング

●現場監督・所長289名のうち、フロントローディングの意義・内容を知っている方は49.8%(144名)で、業界全体の結果(48.8%)とほぼ同じでした。

●フロントローディングの意義・内容を知っている現場監督・所長144名のうち、フロントローディングを実施したことがあるとの回答は33.3%(48名)で、業界全体の結果(29.9%)よりも3.4ポイント多い結果となりました。

●フロントローディングを実施したことがある48名の現場監督・所長が感じた「フロントローディングの実施のメリットや効果」(最大3つまで選択可)は、で、いずれの項目も業界全体の結果よりも高く、特に3位「BIM活用による円滑な情報マネジメント(47.9%)」は業界全体(24.0%)よりも23.9ポイントも高い数値でした。

●フロントローディングを実施しメリットや効果を感じた47名の現場監督・所長が「フロントローディングの取組みで、最もその効果を感じた取組み」は、1位「設計段階からの発注者・設計者・施工者による合意形成(55.3%)」、2位「BIM活用(29.8%)」、3位「設計者と施工者の連携(14.9%)」でした。

●現場監督・所長289名が思う「フロントローディングの実現に必要なもの」の1位は、「設計者と施工者の連携(42.6%)」で、業界全体の結果(36.7%)よりも5.9ポイント高い結果でした。

BuildApp総合研究所 総評

国土交通省は、2024年4月、新たな建設現場の生産性向上(省人化)の取組として「i-Construction 2.0)」 を発表し、2040年度までに3割省人化、生産性1.5倍を目指すとしています。一方で、建設産業を巡っては、過去10年で「建設業」の倒産件数が最多ペースで推移しており深刻な「職人不足」で苦境に立つ企業が増えている状況であり、建設プロジェクトの進行にも影響が心配されています。

調査結果から、時間外労働時間の上限規制が建設業に適用された2024年4月以降、現場監督・所長は他の職種よりも職務上、「施工業者、職人の確保」の難しさに直面していることが推測されます。同時に、働き方改革や人手不足を補うための生産性向上に、業務の在り方を見直すことで「省人化」を進めたいと思う現場監督・所長が多いこともわかりました。さらに、施工管理に従事する現場所長・監督は、「BIM活用による円滑な情報マネジメント」が品質向上や事業全体の効率化を目指すうえで効果を強く感じていると推測できます。

BuildApp総合研究所では、上記を踏まえ、まずはフロントローディングにより建設プロジェクトの早い段階で、工事発注者(建築主)・設計者・施工者の三位一体での合意形成を進め、後工程の手待ち・手戻りを削減していくことが急務であると考えます。そのうえで、建設産業全体で、これまで当たり前とされてきた慣習や業務フローを見直し、デジタル技術の活用を想定した新しい施工手順の標準化と明確化が必要ではないでしょうか。

調査実施概要 (調査元:BuildApp総合研究所)

調査期間:2024年11月13日~11月19日

回答数:289人

調査対象:全国の20代~70代の現場監督・所長289人

調査方法:インターネット調査(ゼネラルリサーチ株式会社)

結果詳細|現場監督・所長289名の「働き方改革やフロントローディングに関する実態調査」

1.働き方

2024年4月以降に「施工業者、職人の確保が難しくなった」との回答は35.6%に上り、業界全体の結果(23.3%)に比べ、12.3ポイントも高い結果となりました。

「残業上限が設定され、残業が減り休暇が取りやすくなった(働き方の改善)」との回答が39.1%(業界全体では32.5%)となり、時間外労働時間の上限規制は現場監督・所長の「働き方の改善」を後押ししている結果となりました。

●現場監督・所長289名の、時間外労働時間の上限規制後の残業状況は、「月45時間以内」が最多の51.2%でした。

●現場監督・所長289名のうち、「月45時間以内(51.2%)」と「分からない(9.0%)」を除く115名に「時間外労働時間の上限規制の原則である「月45時間」を超えた「特別な事情」を尋ねたところ(最大3つまでの複数回答)、1位「工事繁忙期(76.5%)」、2位「納期や工期のひっ迫(納期・工期遵守)(64.3%)」、3位「予算・決算業務(21.7%)」で、いずれの項目も業界全体の結果よりも高い数値となりました。

時間外労働時間の上限規制の今後について、「規制が浸透し働き方改革が加速する」と考える現場監督・所長は55.4%で、業界全体の結果(51.2%)よりも若干高い数値となりました。

●現場監督・所長289名が残業抑制に有効と期待している事項は、1位「非効率な慣習や作法等の改廃(42.2%)」、2位「工期の適正化(41.9%)」、3位「新技術やデジタルツール導入による省人化(37.7%)」でした。いずれの項目も業界全体の数値よりも高い結果となりました。

2.工期の適正化

●現場監督・所長289名のうち、時間外労働時間の上限規制遵守のための「工期の適正化が進んでいる」との回答は47.4%(業界全体では47.5%)でした。

●今後、時間外労働時間の上限規制が浸透すれば、「工期の適正化も進む」との回答は32.2%(業界全体では33.7%)にとどまり、「工期の適正化が進んでも、内装仕上げ工事などの工期終盤の専門工事に工事全体の遅れがしわ寄せされるだけ」が63.8%(業界全体では63.4%)にも上りました。

●現場監督・所長289名が思う「工期が遅れる最大の要因」は、1位「施工に必要な職人数の不足(31.5%)」、2位「元請けと現場(施工会社・職人など)での情報連携不足(課題認識のばらつきを含む)(27.3%)」、3位「発注者による設計変更(24.2%)」でした。

●現場監督・所長289名が思う「建設現場での優先事項」は、1位「品質(62.6%)」、2位「安全な労働環境(60.2%)」、3位「工期遵守(43.6%)」で、「時間外労働時間の上限規制の順守(働き方改革の推進)」は圏外の14.2%でした。

3.省人化

現場監督・所長289名のうち、働き方改革を進めるための省力化意欲がある方は67.8%で、業界全体(62.1%)の結果よりも高い数値でした。

現場監督・所長289名が省人化に最も有効と期待する取組みの1位は、「業務のあり方の見直し(51.0%)」でした。

4.フロントローディング

●現場監督・所長289名のうち、フロントローディングとは、「工程の初期(フロント)において負荷をかけて事前に集中的に検討することで、後工程で生じそうな仕様変更や手戻りを未然に防ぎ、後続フェーズにおいて品質向上や工期の短縮化など事業全体の効率化を目指すこと」だと知っている方は49.8%(144名)で、業界全体の結果(48.8%)とほぼ同じでした。

●フロントローディングの意義・内容を知っている現場監督・所長144名のうち、フロントローディングを実施したことがあるとの回答は33.3%(48名)で、業界全体の結果(29.9%)よりも3.4ポイント多い結果となりました。

●フロントローディングを実施したことがある48名の現場監督・所長が感じた「フロントローディングの実施のメリットや効果」(最大3つまで選択可)は、1位「設計変更に伴う手間やコストの減少(生産性向上)(77.1%)」、2位「工期短縮(52.1%)」、3位は同率で「品質向上(47.9%)」「BIM活用による円滑な情報マネジメント(47.9%)」で、いずれの項目も業界全体の結果よりも高い数値でした。

特に3位「BIM活用による円滑な情報マネジメント(47.9%)」は業界全体(24.0%)よりも23.9ポイントも数値が高いことから、施工管理に従事する現場所長・監督は、「BIM活用による円滑な情報マネジメント」が品質向上や事業全体の効率化を目指すうえで効果を強く感じていると推測できます。

●フロントローディングを実施しメリットや効果を感じた47名の現場監督・所長が「フロントローディングの取組みで、最もその効果を感じた取組み」は、1位「設計段階からの発注者・設計者・施工者による合意形成(50.0%)」、2位「BIM活用(36.1%)」、3位「設計者と施工者の連携(13.9%)」でした。

●現場監督・所長289名が思う「フロントローディングの実現に必要なもの」の1位は、「設計者と施工者の連携(42.6%)」で、業界全体の結果(36.7%)よりも5.9ポイント高い結果でした。2~3位には発注者に関する事項がランクインし、特に「発注者による設計変更リスクの負担(34.6%)」は業界全体の結果(28.2%)よりも6.4ポイント高いことは注目したいポイントです。

-2位「発注者の意識変容(設計変更には工期延長・費用増が必須であるとの正しい認識)(42.2%)」

-3位「発注者による設計変更リスクの負担(34.6%)」

-〃 「発注者による設計変更自由な慣習の廃止(34.6%)」

以上


BuildApp総合研究所とは

BuildApp総合研究所は、建設産業におけるデジタル技術の活用とサプライチェーンの変革を推進・啓蒙するため、2024年12月に設立された任意団体です(代表:山梶真司、野原グループ株式会社グループCSMO)。主な活動内容は、建設DXやデジタルツールの活用方法に関する情報発信です。

施工プロセスの情報革新と工業化に取り組み、社会と未来への貢献を目指して、総合建設会社(ゼネコン)、専門工事店、建材メーカー、学識有識者など、あらゆる建設プレイヤーと連携してまいります。

【本件に関する報道関係者からの問合せ先】

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マーケティング部 ブランドコミュニケーション課(担当:森田・齋藤・萩谷)

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「BuildApp(ビルドアップ)」は、設計事務所やゼネコンが作成したBIM設計データをより詳細なデータに置き換え、各建設工程で必要なデータとして利活用し建設工程全体の生産性向上を実現するクラウドサービスです。設計積算から製造・流通・施工管理・維持管理までをBIMでつなぐ複数のサービスにより、各プレイヤーに合わせたサービスを提供します。そして、設計・施工の手間・手戻りをなくし、製造・流通を最適化して、コスト削減と廃棄物・CO2削減に貢献します。

「BuildApp」は、建設サプライチェーンの抜本的な効率化と未来へ繋がる成長をサポートし、皆さまと一緒に建設業界をアップデートしていきます。

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参考

  1. 建設産業の「働き方改革」「工期の適正化」については、2024年6月公布の「第三次 担い手3法(品確法と建設業法・入契法の一体的改正)」に謳われています。詳細は、国土交通省WEBサイトをご覧ください。
    https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk1_000193.html

  2. フロントローディングとは、一般社団法人 日本建設業連合会によれば、「プロジェクトの早い段階で建築主(発注者)のニーズをとりこみ、設計段階から建築主・設計者・施工者が三位一体でモノ決め(合意形成)を進め、後工程の手待ち・手戻りを減らすことにより、全体の業務量を削減し、適正な品質・コスト・工期をつくり込むこと」を言います。

  3. 省人化とは、一般的に、単位経済活動あたりの労働時間や人手を減少させること。単位仕事あたりの人間の労力を減少させる省力化とは違う、と言われています。

  4. i-Construction 2.0)」の詳細については、国土交通省の発表資料をご覧ください。https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001085.html 

  5. DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、経済産業省の定義によれば「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」を指し、単なるデジタル活用とは区別されています。

  6. サプライチェーンとは、商品や製品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れのことをいいます。

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会社概要

野原グループ株式会社

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URL
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業種
建設業
本社所在地
東京都新宿区新宿一丁目1番11号
電話番号
03-3357-2231
代表者名
野原 弘輔
上場
未上場
資本金
1億円
設立
1947年09月