「NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発」の受賞者を発表しました
量子コンピュータの活用で、画期的な創薬も期待
NEDOと経済産業省は10月15日、「NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発」表彰式を開催し、Society 5.0、QoL、Cool Japanの3領域で量子コンピュータを活用した優れた成果を創出した受賞者を発表しました。
本事業には企業、大学・研究機関、学生などの多様な主体が参加し、量子技術を活用した社会課題解決に向けた提案が多数寄せられました。今回選出された受賞成果は、技術的な新規性に加えて、社会実装・事業化への展開可能性が高く評価されました。


1.本事業の概要
量子コンピュータは、従来のコンピュータでは対応が難しい複雑な計算を高速に処理できる可能性を持ち、創薬、材料開発、金融、物流、製造など幅広い分野で、これまでにない解決策を生み出す技術として期待されています。一方、その可能性を現実の価値へ転換するには、技術開発だけでなく、社会や産業が抱える具体的な課題を起点に、量子コンピュータが有効に機能するユースケースを見いだし、実用化につなげることが重要です。
本事業※1は、こうした社会実装上の課題に対し、懸賞金型研究開発プログラム※2の仕組みを活用して、多様な知見とアイデアを呼び込み、社会課題・産業課題の解決につながるユースケースの創出を加速する取り組みです。企業、大学・研究機関、スタートアップ、学生など幅広い主体の参画を促し、優れた技術シーズや解決策を共同研究、実証、事業化へとつなげる契機を創出します。
【領域一覧】
Society 5.0:エネルギー、製造・ロボット、防災、交通・物流、情報通信、金融、材料開発など、
サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合した人間中心の社会の実現に資する課題
QoL:Quality of Lifeの略称。創薬、医療・ヘルスケア、訪問看護、教育、栄養、生活の利便性な
ど、個人の生活の質と社会全体の幸福度の向上に資する課題
Cool Japan:日本文化、和食、アニメ、ゲーム、観光、先端製造技術など、日本の特徴や強みを生
かし、ブランド力およびソフトパワーの強化に資する課題
2.受賞結果および表彰式について
(1)受賞結果
今回、Society 5.0領域46件、QoL領域25件、Cool Japan領域16件の87件の応募から計9件の懸賞金受賞者を決定しました。なお、Society 5.0領域、およびCool Japan領域は、本事業が定める受賞基準により、1位の受賞者は該当なしとなりました。
審査結果について、各領域の1位から3位までの受賞者は下記の表をご覧ください。
【Society 5.0領域】
表1 Society 5.0領域上位入賞者
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順位と懸賞金 |
受賞者名 |
内容 |
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2位 2000万円 |
NV学習センター |
量子センサーと量子機械学習による災害の事前検知・予測シミュレーション |
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3位 1000万円 |
せとうちから量子の世界へ |
量子最適化技術による大規模車体設計最適化への挑戦 |
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3位 1000万円 |
Q-Chainners |
ゲート型量子コンピューティング技術を活用したハッシュ生成とブロックチェーンへの応用 |

【QoL領域】
表2 QoL領域上位入賞者
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順位と懸賞金 |
受賞者名 |
内容 |
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1位 4000万円 |
塩野義製薬株式会社 |
量子コンピュータを用いた候補化合物の構造生成と分子間相互作用エネルギー評価の両輪による創薬課題解決 |
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2位 2000万円 |
森さんだいすきクラブ |
力学系ダイナミクスに基づく腸内細菌叢設計のための量子探索アルゴリズムの提案および実機実証 |
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3位 1000万円 |
Q4Health |
次世代抗菌治療薬のための量子コンピューティングによる微生物叢設計 |

【Cool Japan領域】
表3 Cool Japan領域上位入賞者
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順位と懸賞金 |
受賞者名 |
内容 |
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2位 2000万円 |
EntangleTune |
量子干渉・もつれ構造を活用した音色・音楽生成と共創的パフォーマンスの次世代基盤構築 |
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3位 1000万円 |
三菱ケミカル_慶應_ASU_IBM |
量子コンピュータを用いた化学・素材産業における低炭素を実現するための多目的最適化 |
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3位 1000万円 |
Qrazy Qreators |
量子フローマッチングによる漫画・アニメーション制作支援AIの研究開発 |

【審査委員長特別賞】
厳正な審査の結果、本事業が設定した受賞基準を踏まえ、審査委員長特別賞の受賞者は該当なしとなりました。審査委員長コメントなどの詳細は後日、本事業専用サイト(https://qc-challenge.nedo.go.jp/)にて公表予定です。
(2)表彰式の概要
開催日:2026年10月15日(木)
会 場:丸ビルホール(東京都千代田区丸の内)
内 容:Society 5.0、QoL、Cool Japanの3領域ごとの表彰、受賞者によるピッチプレゼンテーション
と総評、WIRED Quantumパートナーシップ※3のスポンサー賞の受賞者発表や国立研究開発
法人理化学研究所の五神真理事長、およびシンクタンクCdots合同会社共同創業者、量子イノ
ベーションイニシアチブ(QII)協議会の小柴満信会長による特別講演を実施しました。
なお、表彰式のアーカイブ動画は後日、専用サイト(https://qc-challenge.nedo.go.jp/)にて公開します。
3.今後の予定
本事業は、受賞を成果の終点とせず、本事業から生まれた技術やユースケースを共同研究、実証、事業化へとつなげるため、参加者と企業・研究機関・支援団体などとの連携を今後も支援します。
今後は、スタートアップの創業や事業企画作成、企業との共同開発・技術移転などを支援するとともに、参加者と企業・研究機関・支援団体間でのネットワーキングイベントを通じて、マッチングの機会を提供します。これにより、優れた成果を共同研究、実証、事業連携をはじめとする次の段階へつなげます。
また、本事業で創出された成果を広く発信し、新たな連携につなげるため、「量子技術を知る・つながる事例集」を2026年12月頃に専用サイト(https://qc-challenge.nedo.go.jp/)で公開する予定です。同事例集では、表彰対象となったユースケースについて、解決を目指す社会・産業課題、量子コンピュータを活用する意義、技術的な特徴、実用化・事業化に向けた計画、求めるパートナー像などを紹介します。
さらに、2025年度から2026年度を事業期間とするSeason 1の参加者へのアンケートを通じて得られた開発現場の知見を基に、量子技術の研究開発における共通の障壁や成果創出につながる要因を整理した「量子R&D これからのコモンセンス ~研究開発における共通障壁・成功要因の分析レポート~」を、2027年3月頃に一般公開する予定です。
加えて、2026年度から2027年度を事業期間とするSeason 2も既に始動しており、新たな研究開発に取り組んでいます。Season 1で得られた知見を支援内容の充実に生かしながら、新たなユースケースの創出と社会実装を一層加速します。
Season 1の成果公開、社会実装支援およびSeason 2の研究開発・支援内容の詳細を随時アップデートします。詳細は専用サイト(https://qc-challenge.nedo.go.jp/)をご覧ください。
【注釈】
※1 本事業
事業名:NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発
事業期間:Season 1は2025年度~2026年度、Season 2は2026年度~2027年度
事業概要:NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発(専用サイト)
https://qc-challenge.nedo.go.jp/
※2 懸賞金型研究開発プログラム
事業名:NEDO懸賞金活用型プログラム
事業期間:2023年度~
事業概要:NEDO懸賞金活用型プログラム https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100268.html
※3 WIRED Quantumパートナーシップ
民間企業からの協賛を通じて量子懸賞金事業の活性化および成果の社会実装を支援する民間主導のパートナーシッププログラムです。詳細はWIRED Quantumパートナーシッププログラム(https://qc-challenge.nedo.go.jp/docs/Partnership_Flyer_v1.pdf)をご参照ください。なお、本パートナーシッププログラムのスポンサー企業は「NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発」のスポンサーではありません。
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