【カスハラ実態調査】宿泊施設の54.7%が被害経験、対策完了はわずか19.3%壁は人手不足とノウハウ不足

株式会社ダイブグループ

株式会社ダイブグループ(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:庄子潔)は、全国の取引先宿泊施設を対象に「カスタマーハラスメントの実態と対策準備状況」に関する調査を実施しました。2026年10月1日には、カスハラ対策が義務化されます。調査の結果、過去1〜3年でカスハラに該当する言動を受けた施設は54.7%にのぼる一方、厚生労働省指針の6項目すべてに対応が完了している施設はわずか19.3%にとどまることが明らかになりました。

■調査背景

2025年6月、改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)が成立し、2026年2月には具体的な措置内容を定める厚生労働省告示(令和8年厚生労働省告示第51号)が公表されました。そして2026年10月1日、企業規模を問わずすべての事業主に、顧客等からの著しい迷惑行為から労働者を守るための雇用管理上の措置が義務付けられます。

宿泊業は、お客様と従業員が長時間・至近距離で接する機会が多い業態です。実際に、宿泊業・飲食サービス業でカスハラの相談があった企業の割合は46.4%と、全業種平均(27.9%)を大きく上回っており、以前から現場で課題として捉えられてきました。(*1)義務化を目前に控えるいま、現場では実際にどの程度カスハラが発生し、どこまで準備が進んでいるのでしょうか。ダイブグループは、宿泊業界を支援する立場から、この実態を明らかにすべく本調査を実施いたしました。

(*1)出典:令和6年5月17日厚生労働省雇用環境・均等局雇用機会均等課|職場のハラスメントに関する実態調査 調査概要(令和5年度厚生労働省委託事業)

【調査サマリー】
⚫︎過去1〜3年でカスハラに該当する言動を受けた施設は54.7%。うち約7割が「半年に1回程度」以上の頻度で発生していると回答
⚫︎カスハラの内容は「暴言・怒鳴る等の威嚇的言動」(66.7%)、「過度なクレームの繰り返し」(63.8%)が上位。金銭・過剰なサービスの要求も約半数(48.6%)にのぼる
⚫︎厚労省指針が求める6項目の対策のうち、6つすべてが完了している施設は19.3%にとどまり、「一部対応・一部未着手」が58.3%を占める
⚫︎準備を阻む最大の壁は「人手不足」(43.2%)と「何をすればよいかノウハウがない」(34.8%)。業界団体・支援サービスへの期待は「他施設の対策事例・成功事例の共有」(62.5%)が最多

■回答者の属性

■カスハラ対策の義務化を「内容まで知っていた」のは約6割

義務化の認知度を尋ねたところ、「内容まで詳しく知っている」が59.9%、「言葉は知っているが内容は詳しくは知らない」が39.6%となりました。

■過去1〜3年でカスハラを受けた施設は54.7%

過去1〜3年の間に、従業員がカスハラに該当すると思われる言動を受けたことが「ある」と回答した施設は54.7%と、半数を超えました。宿泊業において、カスハラがすでに珍しい出来事ではなく、日常的なリスクとして定着している実態が浮かび上がります。

■経験施設の4割超が「半年に1回程度」以上の頻度で発生

カスハラを経験した施設に発生頻度を尋ねたところ、「半年に1回程度ある」が41.9%と最多。「月に1回程度ある」も27.6%にのぼり、両者を合わせると約7割の施設が半年に1回以上のペースでカスハラに直面していることがわかりました。

■最多は「暴言・怒鳴る等の威嚇的言動」、金銭要求も半数近くに

カスハラの内容は「暴言・怒鳴る等の威嚇的言動」が66.7%で最多、「過度なクレームの繰り返し」が63.8%で続きました。「長時間の拘束」「金銭・過剰なサービス・返金の要求」もそれぞれ48.6%と、従業員の時間的・精神的負担に直結する行為が上位を占めています。

■「変わらない」が最多も、「増えている」は14.6%

ここ数年の発生頻度の変化については「変わらない」が38.5%、「減っている」が30.2%と、合わせて約7割の施設が横ばいまたは減少傾向にあると回答しました。一方で「増えている」も14.6%あり、施設によって状況にばらつきがあることもうかがえます。

■最大の影響は「従業員の士気・モチベーションの低下」が63.5%

カスハラが従業員や施設運営に与えた影響は、「従業員の士気・モチベーションの低下」が63.5%で最も多くなりました。「シフト調整や人員配置に支障が出た」(21.9%)、「休職・メンタル不調者が出た」(18.2%)、「従業員の離職につながった」(14.1%)と、人材確保が課題となる宿泊業にとって看過できない実務的損失が生じている実態がうかがえます。

■「何とか対応できている」が過半数も、2割強が苦戦

カスハラ発生時の対応状況は、「何とか対応できている」が53.6%で最多となりました。一方で「対応に苦労している」(20.3%)、「対応に非常に苦労している」(4.2%)、「対応できなかった」(2.6%)を合わせると27.1%の施設が対応に困難を感じており、現場対応力には施設間で差があることがうかがえます。

■最も多い対応は「上司へ報告」、最も効果を実感されているのは「警察・弁護士への相談」

実際に取った対応(複数選択、n=187)は「すぐに上司・責任者に報告した」が79.7%で最多となり、「複数人で対応した(応援を呼んだ)」が59.4%で続きました。一方、「行った対応のうち特に効果があったと感じたもの」を見ると、その対応を取った施設数に対する効果実感の割合には、対応によって差があります。「警察・弁護士等の外部機関に相談した」という対応では、同対応を取った50施設のうち49施設(98.0%)が効果を実感しており、6つの対応の中で最も高い割合となりました。対して、最も多くの施設が行っている「すぐに上司・責任者に報告した」という対応では、同対応を取った149施設のうち効果を実感したのは85施設(57.0%)にとどまっています。「まず行う対応」と「効果を実感しやすい対応」には差があり、外部機関への相談が過小評価されている可能性がうかがえます。

■現場の声(「うまくいかなかった」対応の自由回答より抜粋)

⚫︎「一番最初に窓口になったスタッフの対応によって、尾を引くかが決まることが多いので、そこに苦慮している。」(リゾートホテル・管理職)

⚫︎「早い段階で専門家(弁護士等)に相談すればスムーズな対応ができたと思う。」(宿泊主体型ホテル〈チェーン系〉・経営者・役員)

⚫︎「SNSやクチコミへの書き込みは全てがこちらの思うように収まったとは言えない。むしろ言われ放題だと感じている。」(旅館〈21室以上〉・経営者・役員)

⚫︎「長時間拘束は予測がつかないが、初めから対応時間を明確に伝えて対応を打ち切る毅然とした対応が取れるとよかった。」(フルサービス型ホテル・管理職)

■厚労省指針6項目、「保険加入」は完了率高いが「録音・記録体制」は遅れ

厚労省指針が求める6項目それぞれの取り組み状況(n=192)を見ると、「相談窓口の設置・明確化」(対応済み41%)が最も進んでいる一方、「やり取りの録音・記録や、対応内容を残す体制整備」は対応済みが22%にとどまり、6項目のなかで最も遅れています。

■「今回の法改正を機に取り組み始めた」が最多(36.5%)

対策に取り組んだきっかけは「今回の法改正を機に取り組み始めた」が36.5%で最多となりました。「法改正前から自主的に取り組んでいた」(27.6%)という先行対応施設がある一方、「特にきっかけはなく、制度対応として実施している」(25.5%)と回答した施設もあり、法改正が対策を始める後押しになっている様子がうかがえます。

■6項目すべて対応完了はわずか19.3%

準備状況全体では、「一部の項目は対応済みだが、未着手の項目もある」が58.3%と過半数を占め、「ほとんど手をつけられていない」も22.4%にのぼりました。「厚労省指針6項目で対応が完了している」施設は19.3%にとどまり、調査を実施した9月3日時点(義務化まで1カ月を切った段階)では、多くの施設が対応を進めている途中だったことがわかりました。

■課題は「人手不足」(43.2%)と「ノウハウ不足」(34.8%)

準備を進める上での課題・障壁(複数選択、n=155)は「人手不足で手が回らない」が43.2%で最多、「何をすればよいかノウハウがない」が34.8%で続きました。「優先度が低い」(19.4%)という回答もあり、対応の必要性は認識しつつも、人的リソースや具体的な進め方の面で足踏みしている施設が多いことがうかがえます。

■業界団体への期待は「他施設の事例共有」が62.5%で最多

カスハラ対策にあたり業界団体や宿泊業界向けサービスに期待すること(複数選択、n=192)は、「他施設の対策事例・成功事例の共有」が62.5%で最多となりました。「研修プログラムやマニュアルの雛形提供」「業界横断でのガイドライン策定」もそれぞれ45.3%と高く、各施設が手探りで進めている対策を、業界全体の知見として共有・標準化してほしいというニーズの強さがうかがえます。


■調査概要

調査名称:カスタマーハラスメントの実態と対策準備状況に関するアンケート調査

調査期間:2026年9月1日〜2026年9月11日

調査方法:インターネット調査(Googleフォームによる回答収集)

調査対象:株式会社ダイブグループの2つのグループ会社を通じて調査を実施。グループ会社で観光施設に特化した人材サービス事業を展開する株式会社ダイブの全国の取引先施設、および同じくグループ会社で宿泊業界に特化した人材育成・ビジネススクール事業を展開する株式会社宿屋塾のメールマガジン登録施設のうち、宿泊施設(ホテル・旅館等)に勤務する経営者・管理職・従業員

有効回答数:192名

実施主体:株式会社ダイブグループ(グループ会社:株式会社ダイブ、株式会社宿屋塾)

【株式会社ダイブグループ・概要】

会社名     :株式会社ダイブグループ

設立      :2002年3月

代表取締役社長 :庄子 潔

本社所在地   :〒160-0022 東京都新宿区新宿2-1-12 PMO新宿御苑前 2F

サイト     :https://dive.design/


株式会社ダイブグループは「誰もがジブンの人生を愛せる世界へ。」というビジョンのもと、人材支援、地方創生、宿泊業の人材育成を担うグループ各社が、それぞれの専門性を活かした事業を展開しています。グループ一体となって観光業界が抱える人材課題や地域課題の解決に取り組み、持続可能な観光立国の実現と地域の未来づくりに貢献してまいります。

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会社概要

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業種
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本社所在地
東京都新宿区 新宿2-1-12 PMO新宿御苑前2F
電話番号
03-6311-9833
代表者名
庄子潔
上場
東証グロース
資本金
1000万円
設立
2002年03月