個人事業主479人に聞いた「青色申告/白色申告」実態調査

個人事業主の9割近くが青色申告。帳簿付けの煩雑さよりも特別控除を選択

弁護士ドットコム株式会社

個人事業主にとって、年に一度の大仕事である「確定申告」。これから開業する人はもちろん、すでに事業を開始している人の中にも、売上などによって青色申告・白色申告のどちらにすべきか悩む人は多いのではないでしょうか。そこで税理士ドットコムは、会員の個人事業主・フリーランスに対して、次回2023年度分は青色/白色どちらで申告予定か、日々の帳簿の付け方などについてアンケートを実施しました。

■ 調査概要

調査方法:税理士ドットコムに登録のある個人事業主に対してウェブアンケートを実施

調査対象:税理士ドットコムに登録のある個人事業主479人

調査期間:2023年5月12日〜5月22日



1. 個人事業主の88.6%が「青色申告」

「今年の確定申告を青色/白色のどちらで申告する予定か」については、実に88.6%が「青色申告」と回答し、「白色申告」と答えた人はわずか9.2%でした。回答者の「開業後の経過年数」については、大きな偏りはありませんでしたが、青色申告者は「1年以上3年未満」、白色申告者は「10年以上」が多くなっています。


「売上高」に関しては、いずれも「300万未満」が最も多く、その割合は青色申告者が34.1%、白色申告者は62.8%と開きがありました。また、「1,000万円以上」は青色申告者が15.6%なのに対し、白色申告者が2.3%であるなど、全体として青色申告者の方が売上が高い傾向が見られました。

「日々の帳簿付けをどのように行っているか」についても質問しました。その結果、青色・白色申告者ともに「市販の経理・会計ソフトで記入」が最も多く、青色申告者で73.1%、白色申告者においては41.8%でした。

また、青色申告者は「税理士など外部に依頼して記入」している人が6.3%でしたが、白色申告者ではゼロ。また青色申告者・白色申告者のいずれにおいても、約4%が「帳簿付けはしていない」という回答でした。


青色申告を選択する理由は「特別控除の適用」が全体の9割

さらに「青色申告を選択している・する予定である」と回答した人への次の質問を見ていきましょう。「青色申告を選択する理由」について伺ったところ、「特別控除を適用したい」との回答が全体の9割を占めました。青色申告を選択する個人事業主は、最大65万円の特別控除を魅力と感じていることがわかります。また、20.3%が「複式簿記での帳簿付けを問題なく行えるため」と回答しており、会計ソフトが一定普及している現状が伺えました。

「青色申告の特別控除額」を聞いたところ、「65万円」が75.8% と圧倒的に多い結果となりました。

「青色申告にしてよかったと思うこと」という問いには、「特別控除で節税になった」という意見が多く、家族への給与を経費にできる「青色事業専従者給与」や「少額減価償却資産の特例」など、青色申告だけの特別控除をメリットとして挙げる回答が多く見られました。具体的な回答は以下のとおりです(抜粋して紹介)。

このように、白色申告に比べてメリットに感じられる点が多い分、青色申告は作業が煩雑そうなイメージを持つ人も多いでしょう。そこで「青色申告で苦労していること」についても質問してみました。「領収書や明細書などの保管」「個人用と事業用のお金の区別」「売上・経費の集計作業」など、結果が分散しました。

「白色申告を選択している・する予定である」と回答した人へは以下についても質問しました。

・白色申告を選択する理由

・青色申告のメリットで知っていること

・今後青色申告にする予定はあるか

それぞれの回答は以下のとおりです。

「いいえ」や「決めていない」と回答した理由としては、上記のように青色申告の手間やかかる費用に関するコメントが中心となりました。なお、2014年からは白色申告も帳簿の作成が義務付けられていますが、それについて「知っているか」という問いに対して、「知っている」が58.1%、「知らない」が41.9%となりました。



特別控除が適用される青色申告が多数。税務のお悩みや煩雑な帳簿付けは専門家へ


今回、個人事業主に行ったアンケートでは、2023年度分の確定申告は約9割が青色申告でする予定だという結果になりました。さらに青色申告の特別控除は65万円を選択する人が7割を超えることがわかりました。

一方で、白色申告者は「売上が少ない」「青色申告よりも帳簿付けが簡単」などの理由で白色申告を選択していることが明らかになりました。なお、今年は白色申告を選択している人の中にも、2024年は青色申告にするか迷っている人が半数に上る結果となりました。


青色申告の承認申請書の提出期限は、原則「青色申告を始める年の3月15日まで」(1月16日以降に事業を開始した場合は開始日から2か月以内)となっています。そのため、今年事業を開始して、2024年以降青色申告にするか迷っている人は、次回の確定申告の際に一緒に申請手続きを行うと良いでしょう。


確定申告は、年に一度の重要な手続きである一方、専門的な知識が必要であったり、気軽に相談しにくかったりする内容がほとんどです。税理士ドットコムでは、税理士紹介のほかにも、気軽に税務相談ができるサービスをご提供しています。お悩みの内容に合わせて、ぜひお気軽にご利用ください。


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