富士通とMoBagel、AIによる予測を高速化するソリューションを提供し、ビジネスプロセス変革を加速

先進AIソリューションを迅速に提供するMoBagelのプラットフォームに富士通の先端AI技術を搭載

富士通株式会社

2024年9月5日 11時00分

富士通株式会社（以下富士通注1）と、米国を拠点とするAIスタートアップMoBagel Inc.（以下 MoBagel 注2）（読みモベーゲル）は、2023年12月に締結した、AIにより企業のビジネスプロセスを変革するための戦略的パートナーシップに基づき、このほど、MoBagelのAutoMLプラットフォーム「Decanter AI（デキャンターエーアイ）」に、富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」からも提供されている技術の一部を搭載し、AIによる予測を高速化するソリューションとして2024年9月5日よりグローバルに提供を開始します。

具体的には、機械学習モデルの構築を自動化する技術である「Fujitsu Kozuchi AutoML（オートエムエル）」と、説明可能なAI技術「Fujitsu Kozuchi XAI」の一部である「Wide Learning™」のライセンスを富士通がMoBagelに提供し、MoBagelは同社の「Decanter AI」に新規のソリューションとして実装することで、データ分析とモデリングを合理化しながら、正確かつコスト効率よくAIモデルを構築するための高度なAIソリューションを実現します。両社は、本ソリューションにより、AIによるイノベーションを促進し、より多くの企業や団体がAIを活用した業務変革を迅速に実行できるよう支援していきます。

【AIによる予測を高速化するソリューションの概要】

「Decanter AI」に実装されたAIによる予測を高速化するソリューションは、以下の３つの機能からなります。

① データ検証と異常スコアリング：

入力されたデータは、モデリングの際の精度の確保と処理の高速化のために、DecanterAIのデータ処理技術によって検証されます。このスコアリングでは、情報の整合性と有用性の観点から、データが3段階でランク付けされます。このシステムは、分析とモデリングのためにデータセットを正確に評価し、より良いデータ管理のためにデータを調整する方法を提案します。

② アルゴリズム推奨システム：

「Fujitsu Kozuchi AutoML」の技術をベースとしたアルゴリズム推奨システムが、最適な機械学習モデルを提案します。これにより、モデリングの効率と精度の向上が可能になりました。

③ 説明可能なAIのための特徴分析：

機械学習モデルによって分析された結果には、「Wide Learning™」の技術をベースとした特徴分析技術が、実践的な洞察を提供します。特徴分析により、重要な特徴を重み付けとともに提示し、それらの重要性と関連性を示します。さらに、特定された特徴は大規模言語モデル（以下 LLM）により自然言語で要約されます。

図「Decanter AI」を使用したデモンストレーションの様子

例えば、過去の加入履歴データを使用して、自動車保険に加入する可能性が高い人を予測することを目的としたデモンストレーションでは、データ検証と異常スコアリングを行うことにより異常値が検出され、例外的なデータを排除します。続いてアルゴリズム推奨システムでは、予測に最適なモデルとして、ランダムフォレストモデルが提案されました。さらに、特徴分析では、自動車保険に加入する可能性が高い人を見分ける上で最も重要な特徴を、重み付けとともに特定することができます。自動車保険の例では、車の所有歴や居住地域などに紐づけて、特定の特徴を持つ顧客が自動車保険に加入する可能性が高いことを見出しました。この分析は、LLMを用いて理解しやすい自然言語の形に変換されます。このように企業はマーケティングおよび販売戦略を洗練し、ターゲットを絞り、企業の収益を最大化することができます。

「Decanter AI」に「Fujitsu Kozuchi AutoML」と「Wide Learning™」を搭載した結果、最適化された機械学習モデルがシステムから推奨されることで、AIによる市場予測において、従来の「Decanter AI」と比べて精度を維持したまま処理速度を4倍に高速化しました。また、「Wide Learning™」によって強化された特徴分析技術によって関係性を最適化して複雑なデータを考察し、自然言語の形で表示されることで、実行に移せるレベルの提言を導き出すことが可能となりました。

近年は専門性の高いAI技術者が不足しており、企業がAIを導入する際にはコストや期間の長期化などの課題がありました。今回開発したAIソリューションは適応性やコスト効率に優れており、迅速な導入が可能です。

【富士通株式会社技術戦略本部長岡田英人のコメント】

当社はAIサービス「Fujitsu Kozuchi」の提供を通じて、エンタープライズ向けのAI市場をリードしています。このたび、MoBagelのような革新的なスタートアップ企業に「Fujitsu Kozuchi」にも搭載されている「AutoML」や「Wide Learning™」を提供することで、お客様の迅速なAI導入と新しいAIオファリングの開発を支援していきます。

【MoBagel Inc. CEO Adms Chungのコメント】

富士通とのパートナーシップを嬉しく思います。両社は革新的なAI技術を導入し、AIトランスフォーメーションにおける精度、スピード、コスト効率という業界の最も重要な課題に対応しています。「Fujitsu Kozuchi AutoML」と「Wide Learning™」をMoBagelのAIプラットフォームに搭載することで、AIモデルの開発と統合が改善され、より説明しやすくなり、ビジネスへの影響との整合性が向上します。このコラボレーションにより、企業はAIアプリケーションやAIエージェントをより速く、より信頼性が高く、費用対効果の高い方法で作成できるようになり、AIを一緒に構築するという私たちのビジョンに近づきます。

【今後の予定】

MoBagelはDeloitte Touche Tohmatsu Limitedのチームと共同で、今回開発したソリューションを用いて金融犯罪を防止する実証実験を実施します。この実証実験は、「Decanter AI」に実装されたソリューションを用いたハンズオンワークショップの形をとり、実際に膨大な取引データを分析し、異常な行動や疑わしい取引パターンを迅速に特定する過程について検証することを目的としています。

富士通とMoBagelは今後も、AIソリューションを様々な業界のお客様に提供していくことで、お客様のビジネスプロセスの変革と効率化に貢献していきます。

【商標について】

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

【注釈】

注1

富士通株式会社：
本店神奈川県川崎市中原区、代表取締役社長時田隆仁

（補足：掲載先メディアや閲覧環境の仕様によっては、「隆」の文字が正しく表示されない場合があります。正しくは、「隆」の「生」の上に「一」が入ります。）

注2

MoBagel Inc.：
本社所在地米国カリフォルニア州サンタクララ、COO & Co-founder Iru Wang

【関連リンク】

・先端AI技術と「Fujitsu Uvance」のオファリングを融合させる、新たな全社AI戦略について（2024年2月14日プレスリリース）

（https://pr.fujitsu.com/jp/news/2024/02/14.html）