ハイパースペクトル衛星コンステレーションの構築でフィンランドのKuva Spaceと協力
~衛星データとAI技術を活用した解析・分析サービスを提供する企業との連携により日本の安全保障に貢献~
IHIは、小型ハイパースペクトル衛星(※1)を開発、運用し、AI技術を活用した衛星画像の解析、分析サービスを提供するフィンランドのKuva Space Oy(以下、「Kuva Space」)と、日本の国家安全保障および経済安全保障市場に向けたハイパースペクトル衛星のコンステレーションの構築や衛星データのデュアルユースの活用方法の探求を目的とした覚書(MoU)を締結しました。


Kuva Spaceは2016年に設立されたスタートアップ企業で、従来の光学衛星画像よりもより広範囲かつ詳細な波長帯域で情報を取得できるハイパースペクトル・カメラおよび関連ソフトウェアに関する技術を保有しており、ハイパースペクトル画像とAI技術を組み合わせることで意思決定に活用可能なインテリジェンス情報を提供しています。Kuva Spaceは2024年に初めてハイパースペクトル衛星を打ち上げ、現在2基を運用しています。より精細な画像取得が可能となる次世代衛星の打ち上げを2027年に予定しており、衛星コンステレーションの拡張を目指しています。Kuva Spaceのハイパースペクトル画像技術とAI技術を活用した解析・分析手法は、国家安全保障および経済安全保障分野での活用に加えて、農作物の病害の検知や収穫量予測等の農業・食料安全保障分野、水質汚染等の海洋モニタリング分野、森林管理・カーボン・クレジット分野等での活用が想定されています。
IHIは昨年度からKuva Spaceのハイパースペクトル画像技術とAI技術を活用した解析・分析手法について、試用、検証を進めてきました。今回の合意に基づき、IHIとKuva Spaceは、Kuva Spaceのハイパースペクトル衛星データのデュアルユースの活用方法を検討し、ハイパースペクトル衛星コンステレーションの要件を定義するとともに、日本でのハイパースペクトル衛星コンステレーションの整備や国内での衛星製造を見据えた最適な事業スキームを検討します。
2025年6月に日本とフィンランドの両首脳が発表した「将来における協力強化に関する共同声明」では、日本とフィンランドは厳しい国際政治・安全保障環境そして欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であるとの認識を共有するとともに、防衛・経済安保分野での協力の強化に取り組むことが示されています。また、2026年2月には「日本・フィンランド間のデュアルユース・先端技術分野の協力強化に関する共同声明」が署名され、宇宙・衛星データ分野を含むデュアルユース・先端技術分野での協力を強化していくことで合意しています。
今回のKuva Spaceとの協力は、日本の国家安全保障とインテリジェンス能力の強化にとどまらず、日本の宇宙産業の発展を促進するとともに、地球観測分野における日本とフィンランドの連携を深化することを目的としています。
IHIでは2025年11月、小型ハイパースペクトル衛星「IHI-SAT2」を打上げ、ハイパースペクトル衛星画像の解析技術の向上と衛星の運用技術の獲得を進めています。今回のKuva Spaceとの協力により、ハイパースペクトル衛星に関する取り組みを更に加速させていきます。将来的にはハイパースペクトル衛星、SAR衛星に加えて、光学衛星、VDES(次世代自動船舶識別システム)衛星、電波収集(RF)衛星、および赤外線(IR)衛星などの複数の衛星を追加した衛星コンステレーションを構築する構想です。これらの多様な衛星を活用することで、陸上や海上における目標の検出および追跡が可能となり、日本の国家安全保障および経済安全保障に貢献します。さらに、衛星データや撮像キャパシティの相互共有を通じて、同盟国や同志国との協力と連携を深化する上でも重要な役割を果たすことを目指しています。
IHIは、「技術をもって社会の発展に貢献する」という経営理念のもと、ものづくり技術を中核とするエンジニアリング力をもって、衛星コンステレーションの整備を主導します。さらに、IHIグループが一体となり陸・海・空・宇宙の多領域においてあらゆる情報を収集し、ニーズに合わせ分析したデータを提供することで、安全・安心な社会の実現に貢献していきます。
【覚書(MoU)締結に関する両社コメント】
IHI 代表取締役 副社長執行役員 航空・宇宙・防衛事業領域長 佐藤 篤
日本の国家安全保障にとって、宇宙からの情報収集能力の獲得は、ますます重要性を増しています。ハイパースペクトル衛星データは、従来の光学画像では得られない、より詳細な分析結果を提供し、安全保障のみならず、より広範なデュアルユース分野の活動にも大きく貢献すると考えています。今回のKuva SpaceとのMoUは、信頼できるパートナーとの協力を通じて、日本のハイパースペクトル衛星データによるインテリジェンス能力を強化する重要な一歩です。
Kuva Space CEO Jarkko Antila氏
日本はこれまでの地球観測衛星コンステレーションとは異なり、主権能力のある新しい衛星コンステレーションの構築に取り組んでいます。今回の協力を通して、複数種類の衛星から構成される衛星コンステレーションを構築するというIHIの戦略とKuva Spaceが目指すハイパースペクトル衛星のコンステレーション構想を一体化することにより、ハイパースペクトル衛星データを活用したインテリジェンスを実現していきます。
【Kuva Spaceについて】
2016年にフィンランドのエスポーで設立されたKuva Space(CEO:Jarkko Antila)は、ハイパースペクトル・カメラを搭載した世界初の広範囲な小型衛星コンステレーションの構築を進め、気候変動、食料安全保障、レジリエンスといった世界が直面する喫緊の課題解決に向け、絶え間のないデータ収集を目指しています。Kuva Spaceは、AIを活用した分析プラットフォームと組み合わせることで、信頼性の高いタイムリーなグローバルな洞察と将来予測を提供し、豊富な宇宙データを、効率的な資源管理、業務の最適化、そして持続的な収益性向上に活用できる実用的な情報へと変換します。詳細な情報はWebサイトを参照ください。www.kuvaspace.com
※1 ハイパースペクトル衛星
ハイパースペクトル衛星は、従来の光学衛星画像よりも幅広く、より詳細な波長帯域で情報を取得できるハイパースペクトル・センサーを搭載した衛星です。ハイパースペクトル・センサーで撮影された画像データでの反射スペクトルの差異を分析することにより、対象物の材質、状態、異常等を推定することが可能となります。


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