建設用3Dプリンタを活用した柱・梁・スラブ一体型大型PCa部材の製作・施工技術を実証

土木学会技術指針に基づく初の事例として、従来と同等以上の品質を確保

日揮HD

日揮ホールディングス株式会社(代表取締役会長兼社長CEO:佐藤雅之)の海外EPC事業会社である日揮グローバル株式会社(社長:山田昇司)は、大成建設株式会社(社長:相川善郎)と「生産プロセスのDX」の一環として、建設用3Dプリンタを活用し、柱・梁・スラブの型枠を一体で造形した大型プレキャスト(PCa)部材の製作・施工技術を実証しました。本実証では、福島県浪江町において、建設用3Dプリンタで埋設型枠を造形し、内部に鉄筋等を配置した上でコンクリートを流し込むことで、柱・梁・スラブを一体化した大型PCa部材を製作・施工しました。本取り組みは、土木学会「建設用3Dプリント埋設型枠を用いたコンクリート構造物の技術指針(案)」※1(2025年7月発刊)に基づき製作・施工を行った初の事例となります。

写真1 PCa部材の製造手順と製作状況

建設業界では、技能者・従事者不足の深刻化を背景に、生産性向上が大きな課題となっています。PCa工法は、省人化や工期短縮に有効な手法として普及していますが、近年のプラントやインフラ分野における構造物の大型化・複雑化により、部材数増加に伴う施工手間や精度管理の煩雑化が課題となっていました。

こうした課題に対し、本技術では、従来は個別に製作し接合していた柱・梁・スラブPCa部材を、建設用3Dプリンタで造形した型枠を用いて一体製作することで、部材点数および接合作業を大幅に削減できます。これにより、省人化や工期短縮が可能となり、将来的には人工50%削減、コスト15%削減を目標としています。さらに、工程の簡素化により高所作業や人力作業の低減が図られ、施工性及び安全性の向上にも寄与します。

これまで日揮グローバルは、デンマークCOBOD International A/S(COBOD社)製の建設用大型ガントリー型セメント系3Dプリンタを導入し、国内外で実証を重ねてきました。※2~※4 一方、大成建設は、建設用3Dプリンティング技術「T-3DP®(Taisei-3D Printing)」の開発を通じて、自立安定性・耐久性に優れた専用材料および施工技術に関するノウハウを蓄積してきました。※5~※8 本実証では、両社が培ってきた「大型プリント設備」と「高性能プリント材料・施工技術」を融合し、実大スケールでの大型PCa部材の一体製作・施工を実現しました。

また、異なる企業が開発した装置と専用材料を組み合わせた場合においても、従来工法と同等以上の品質が確保できることを確認しました。この結果は、建設用3Dプリンタを活用した大型PCa部材の実用化に向けた大きな一歩となります。

本技術の特長

  1. 柱・梁・スラブ型枠の一体造形により施工性・安全性を向上(写真1参照)

    柱・梁・スラブ型枠を一体造形し、大型PCa部材として製作することで、部材の分割数と接合作業を削減できます。これにより、人力作業や高所作業が減少し、施工性と安全性が向上します。

  2. ニアサイトプリントにより生産性を向上(図1参照)

    建設地近傍で部材を製作する「ニアサイトプリント」により、輸送制約を受けずに大型部材の製作が可能となります。調達期間の短縮や施工リスク低減に加え、現地調達材料の活用によるコスト低減にも寄与します。

  3. 大型・複雑構造物への高い適用性

     建設用3Dプリンタによる形状自由度の高い型枠造形により、配管や周辺設備との干渉が多いプラント支持架構など、複雑な条件を有する構造物にも柔軟に対応できます。

本実証では、実大規模の柱・梁・スラブ一体型PCa部材について、施工性・品質・耐久性を総合的に検証しました。その結果、設計どおりの形状・強度を確保できることを確認するとともに、工程短縮や作業負荷軽減の効果を実証しました。本技術はプラント分野にとどまらず、基礎構造物やインフラ構造物への展開可能性も確認しており、建築・土木分野への幅広い応用が期待されます。

今後両社は、本技術の更なる高度化と標準化を進め、国内外の建設プロジェクトへの普及展開を図るとともに、建設工事の生産性向上と安全確保、さらには深刻化する技能者・従事者不足という社会課題の解決に向けて、構造物の設計段階から施工方法までの建設生産プロセスそのものの変革を目指してまいります。

図1 ニアサイトプリントによる施工イメージ

※1 土木学会「建設用3Dプリント埋設型枠を用いたコンクリート構造物の技術指針(案)」:コンクリートライブラリーNo.168, 2025.7.

※2 2022年12月14日公表 建設工事における3Dプリンタの本格的な導入に向けて加速

https://www.jgc.com/jp/news/2022/20221214.html

※3 2024年6月6日公表 海外プラント建設プロジェクトにおける3Dプリンタ技術の導入

https://www.jgc.com/jp/news/2024/20240606.html

※4 2025年7月31日公表 国内プラント建設プロジェクトにおいて複雑曲面を持つ3Dプリント製防音壁を設置

https://www.jgc.com/jp/news/2025/20250731_11j.html

※5 2023年6月7日公表 業界初 斜面や曲面に施工可能な3Dプリンティング技術を開発

https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2023/230607_9561.html

※6 2023年9月25日公表 移動式3Dプリンティング技術を開発

https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2023/230925_9656.html

※7 2024年8月22日公表 世界初 環境配慮コンクリートと3Dプリンティング技術を融合し高機能な柱部材を開発

https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/240822_10051.html

※8 2026年1月16日公表 オンサイト・オフサイトプリントによりRC構造の曲線壁を施工

https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260116_10883.html

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会社概要

URL
https://www.jgc.com/
業種
建設業
本社所在地
神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-1 クイーンズタワーA
電話番号
045-682-1111
代表者名
佐藤 雅之
上場
東証1部
資本金
236億1173万円
設立
1928年10月