なぜ地方では「名刺より玉ねぎ」が仕事を生むのか。福島発、地域で信頼を築く"お隣さん"の実践知

フリーランスのWebディレクター・星かおり氏が、Uターン後に独学でつかんだ「効率より体温」の地方ビジネス実践知を語る

株式会社あるやうむ

NFTによる地方創生を推進する株式会社あるやうむ(本社:札幌市、代表取締役:畠中博晶)の地域おこし協力隊DAOソリューションを活用し、移住された地域おこし協力隊の皆さんにDAOマネ勉強会を実施。

今回の勉強会では、福島県西郷村出身で、Webディレクション・SNS運用・AI活用支援などを手がけるフリーランスの星かおりさんを講師に迎えました。

作業療法士から持病をきっかけにUターンし、独学でデザインを学んで地域と仕事を広げてきた星さんが、「わたしが"お隣さん"として選ばれ、事業を軌道に載せるまでのリアルな軌跡」をテーマに、地方で信頼関係を築きながら仕事を得ていくための実践知を共有していただきました。

DAOマネ勉強会とは

地域おこし協力隊は、自治体ごとにミッションや環境が大きく異なり、「正解のない仕事」とも言われます。一方で、全国各地の現場には、数字では測れない実践知・失敗知・人との関わり方といった、再現性のある学びが数多く存在しています。

株式会社あるやうむでは、「協力隊員一人ひとりの経験を、個人の中だけで終わらせず、横断的な学びに変えること」を目的に、勉強会を実施しています。

現場で成果を出している協力隊員や、地域で長く事業を続けている実践者自身が語ることで、これから着任する協力隊員や現在活動中で壁に直面している協力隊員にとって、より実践的で現実に即した学びの場をつくっています。

DAOマネ勉強会でのテーマとは

本勉強会は、単なるノウハウ共有ではなく、

  • 自治体から求められているミッションの整理

  • 日々の地道な活動の裏側

  • 地域住民、役場との信頼関係の築き方

  • SNS発信や関係人口創出の実践例

  • うまくいかなかったことや現在の課題

などの「成果が出るまでのプロセス」に焦点を当てた内容が特徴です。

協力隊員同士が「自分の地域ならどう応用できるか」を考えながら参加できる設計としています。

今回のテーマ

星さんによる「お隣さんになる──地方で信頼を築き、仕事を得るための実践知」

今回の勉強会では、福島県西郷村を拠点に活動する星さんが、

  • 言語的な説明よりも「場の共有」で信頼が生まれる、田舎独特のコミュニケーション

  • LINE一本で済む話を、わざわざ会いに行く「効率より体温」の現場主義

  • 商工会議所の「専門家登録」を活用して、地域で"先生"として頼られる立ち位置のつくり方

  • SNSを「デジタル回覧板」として使い、人となりを届ける発信のコツ

  • 弱みを見せ、頼り、物々交換する──応援される「お隣さん」になる関わり方

について、自身のUターンの経緯や、お米農家・ドッグサロン・移住促進などの地域案件の具体例を交えながら解説しました。

特に注目されたのは、「合理性や効率を前面に出すほど、田舎では距離ができてしまう」「都会で身につけた言語的・合理的なコミュニケーションを、地域では意識的に切り替える」という姿勢です。

星さん自身、ふだんは標準語・合理的な思考で動く一方、地域で信頼を得たい場面では方言に戻すなど、「ギアを変える」ように地域文化へ合わせていると語りました。

実践事例①:「言語より場の共有」── 田舎の信頼は"何時間隣にいたか"で生まれる

星さんがUターン直後の起業塾で驚いたのは、隣に座った女性が最初はそっけなかったのに、2〜3時間ともに過ごすうちに自然と話しかけてくれるようになったことでした。

「彼らは言語だけで生きているのではなく、場を共有することで信頼関係を生んでいる」。都会では「何ができる人か」を言語で説明することが評価につながりますが、田舎では「隣にいて何時間過ごしたか」が信頼の土台になる、と星さんは指摘します。

だからこそ、起業塾・勉強会・マルシェ・コワーキングスペースなど、人が集まる「場」に足を運ぶこと自体が重要になります。特に、その場のハブとなっているキーマン(コワーキングスペースの管理者など)の近くに身を置き、自分が「何者であるか」を知ってもらうことが、最初の一歩になると語りました。

星さんは、出会いを仕事につなげる流れを「準備 × 場 × 関心」という3つの掛け算で整理します。ポイントは、ガツガツした営業はかえって逆効果になること。自分を売り込むよりも「まず相手に興味を持ち、仲良くなること」が先決で、「この人はちゃんと話を聞いてくれる」という信頼こそが、最初の紹介や案件を生むといいます。

その入り口となる名刺も、単なる連絡先ではなく"自分の紹介状"。自分が何を解決できる人なのかを一目でわかるようにしておけば、会った後も思い出してもらいやすくなる。こうした地道な準備の積み重ねが、地域での仕事につながっていくと語りました。

実践事例②:「効率より体温」── LINE一本で済む話を、わざわざ会いに行く現場主義

星さんが地域の人と関わるうえで最も意識しているのが、「効率より体温」という考え方です。

オンラインショップの注文連絡などはLINEで済むはずなのに、地域の事業者からは「ちょっと話したいんだよね」と声がかかる。電話一本で終わる用件でも、田んぼまで出向いて顔を見て話す。一見すると非効率ですが、「接触頻度が高いほど、"この人は自分に興味を持ってくれている"と感じてもらえ、少しずつ心を開いてもらえる」と言います。

その象徴が、田舎の「お茶飲み文化」です。たわいもない世間話をしながら、お茶とお菓子で一時間を過ごす。合理的には何も解決していなくても、その時間の共有こそが信頼を育てる。「非効率を重視することが、結果として体温のあるコミュニケーションになる」という価値観の転換を、星さんは強調しました。

実践事例③:商工会議所の「専門家登録」── 資格がなくても"先生"として頼られる立ち位置

地域で頼られる立ち位置をつくる具体的な方法として、星さんが紹介したのが商工会議所の「専門家登録」です。

中小企業診断士などが多い登録制度の中で、SNSマーケティングやAI活用に詳しい人材は地方ではまだ少なく、「インスタの使い方がわからない」「AIをどう使えばいいかわからない」といった声に応えるだけでも、地域の事業者からとても喜ばれると言います。

ポイントは、田舎では「先生」という肩書きそのものが大きな信頼につながること。資格がなくても登録でき、2時間3万円ほどで専門家として派遣される仕組みもあり、「肩書きをきっかけに、地域で頼られるハブになれる」と星さんは語りました。

実際にCanva講座(初級・中級)を地域で開催した経験からも、「地域の事業者が学びの機会を強く求めている」ことを実感したといいます。

実践事例④:SNSは「デジタル回覧板」── お気持ち投稿はNG、人となりを届ける発信

星さんは、SNSを田舎特有の「回覧板」になぞらえます。地域の人は、隣人のSNSを思いのほかよく見ており、「インスタで見たけど、最近頑張ってるね」といった声がリアルな会話につながっていく、というのです。

その一方で注意点として挙げたのが、地域への不満や愚痴を投稿する「お気持ち投稿」です。地域の人はよく見ているからこそ、地域を少し悪く言っただけでも信頼関係が一気に下がってしまう。ネガティブな感情はSNSではなく、運営サポートなど安心して吐き出せる相手に向けるべきだと、リスク管理の重要性を語りました。

発信のコツとして星さんが挙げたのが、「2つの魅せ方」を掛け合わせることです。

ひとつは、日常の様子や活動への思い・こだわりといった「人となり」が見える、身近な安心感のある発信。

もうひとつは、デザイン性のある写真やストーリー性のある投稿で地域の魅力を再編集する、都会と田舎を融合させた発信です。

デザイナーである星さんは、「親しみやすさ」と「洗練された見せ方」のバランスをとることで、地域の人にも外の人にも届く発信になると語りました。

そうして高頻度にコツコツ発信していると、インスタグラムのストーリーズなどにコメントやいいねが届くようになり、それに返すことでリアルな会話や仕事のチャンスにつながっていきます。「飛び道具としてSNSを使い、軸足はオフライン(足を運んで取る仕事)に置く」のが、星さんのスタイルです。

実践事例⑤:「弱みを見せる・頼る・物々交換」── 応援される"お隣さん"になる世間話の技術

星さんが「応援される存在になる」ために挙げたのが、自己開示と「頼ること」です。協力隊員はリテラシーも情熱も地域の人より高いことが多いからこそ、あえて「ここで困っているんです」「◯◯さんがいると心強い」と弱みを見せることで、相手が「助けてあげなきゃ」と懐に入れてくれる。これは田舎特有のコミュニケーションだと言います。

もう一つが「物々交換」です。野菜をもらったらお菓子を返す。美味しいものを見つけたらキーパーソンに持っていく。返礼そのものが「いい関係だ」という信頼の証になり、「最近どうだい?」という会話のきっかけにもなります。

そして「世間話の技術」。都会的な結論ファースト(プレップ法)の話し方は田舎では敬遠されやすく、むしろ共通の知り合いの話や、新米・季節の話題といった世間話こそが「信頼の入り口」になる。星さんは、地域の重鎮は自分を採点する「評価者」ではなく、応援してくれる「応援者」になり得る存在だと語ります。等身大の悩みを話し、相手にも頼りながら、「いなくてはならないお隣さん」になっていく。それが本勉強会で星さんが最も伝えたかったメッセージでした。

信頼が積み重なると、地域と「一体」になる

星さんは、ここまでの実践知の先にある"到達点"として、信頼が積み重なったときに地域との関係がどう変わっていくかを、次の6つの段階で示しました。

  1. 小さな成功も一緒に喜び、「自分ごと」として分かち合ってもらえる

  2. 困ったときに、すぐ相談できる・一緒に考えてもらえる存在になる

  3. 人・モノ・情報をつなぐ「地域資源のハブ」になる

  4. 目の前のことだけでなく、「地域の未来」を一緒に描くようになる

  5. 自然と頼られ、必要とされる「いなくてはならない存在」になる

  6. 地域の成長と自分自身の成長が重なり、ともに歩むパートナーになる

信頼は一度の成果ではなく、日々の小さな積み重ねで育つもの。その積み重ねが「この人と一緒に未来をつくりたい」と思ってもらえる関係を生み、長く続く"応援されるお隣さん"への道になる、と星さんは締めくくりました。

講師紹介

【プロフィール】

星かおりさん

フリーランス(Webディレクター/SNSディレクター/AI活用・DX促進/広告運用) 福島県西郷村出身・福島/千葉市の二拠点

福島県西郷村出身。高校卒業後に上京し、東京の病院で作業療法士としてリハビリテーションの仕事に従事。持病をきっかけに地元・福島へUターンした。約2年間の療養期間を経て、パソコン一台でできる仕事を求めて独学でWebデザイン・グラフィックデザインを学び、地域の事業者とつながりながら活動の幅を広げてきた。現在は福島と千葉市の二拠点で生活しながら、Webディレクション、SNS運用、AI活用支援、広告運用などを手がける。地域案件では、米農家のオンラインショップ運営代行、ドッグサロン・整体院のWebサイト・ロゴ制作、地域おこし協力隊・移住者募集のチラシ制作などの実績を持つ。商工会議所の専門家登録(AI活用・DX促進)も行い、Canva講座なども実施している。

DAOマネ勉強会の参加者からのコメント

和歌山県橋本市DAOマネージャー:トシ タナカさん

「橋本市検定」として街の情報をクイズ形式で発信していて、「知らなかったことが知れた」という反応をもらえるのがありがたいです。今日は商工会議所の「専門家登録」の話がとても刺さりました。資格がなくても登録できて地域で頼られる立ち位置がつくれると知り、さっそくやっていこうと思います。朝散歩しながらのビデオポッドキャストなど、人となりが伝わる発信にも挑戦したいです。

橋本押忍!DAOはこちら!

https://discord.com/invite/3jdxqufqSS


熊本県あさぎり町DAOマネージャー:はるっくまさん

コワーキングスペースの利活用を担当していますが、SNS発信が少し苦手で、まだ街のことも知らないことが多い段階です。今日のお話で、「自分はこういうことができる人」というタグ付け・認知をしてもらうことの大切さを実感しました。まずは商工会議所に早めに足を運んで、自分を知ってもらうところから始めたいと思います。

HitoKumaDAOはこちら!

https://discord.gg/hquk5PtJSK

今後の展望

株式会社あるやうむでは、今後も派遣協力隊員同士の知見を共有する勉強会を継続し、各地域で生まれた実践を横断的に活かすことで、地域全体の価値向上につなげていく予定です。

各地域のDAOに参加しませんか?

お住まいの地域や興味のある地域のDAOにぜひご参加ください!

▼ DAOへの参加リンクはこちら|どなたでも気軽に参加できます。

https://lit.link/alywamu-dao

株式会社あるやうむについて

DAOやNFTによる地方創生を推進するため、全国の自治体向けにふるさと納税NFT/観光NFT/地域おこし協力隊DAOソリューションを提供する札幌発のスタートアップ。

地域の魅力をのせたNFTをふるさと納税の返礼品とすることや、地域でDAOを運営することを通じて、新たな財源を創出すると共に、シティプロモーションや関係人口の創出に繋げます。

社名「あるやうむ」はアラビア語で今日を意味する言葉。今日、いますぐチャレンジをしたい自治体・地域の皆様にNFTという先端技術を提供し、応援され続ける地域づくりを支援します。

株式会社あるやうむ 会社情報

会社名  :株式会社あるやうむ

代表者  :畠中 博晶

所在地  :札幌市北区北38条西6丁目2番23 カトラン麻生302号室

設立   :2020年11月18日

資本金  :1億6449万円(準備金含む)

事業内容 :NFTを活用した地方創生コンサルティング・開発

URL :https://alyawmu.com/

Twitter :https://twitter.com/alyawmu/

Voicy : https://voicy.jp/channel/3545

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ビジネスカテゴリ
政治・官公庁・地方自治体
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会社概要

株式会社あるやうむ

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URL
https://alyawmu.com/
業種
情報通信
本社所在地
北海道札幌市北区北38条西6丁目 2番23 カトラン麻生 302号室
電話番号
-
代表者名
畠中博晶
上場
未上場
資本金
1億6449万円
設立
2020年11月