【安心感を求める人は成長できない】人材育成のプロが語った不安感マネジメントの本質
株式会社ティーブレーン代表・東矢昌夫さんが、協力隊が地域で自他ともに能力を発揮するためのコミュニケーション術を語る

NFTによる地方創生を推進する株式会社あるやうむ(本社:札幌市、代表取締役:畠中博晶)の地域おこし協力隊DAOソリューションを活用し、移住された地域おこし協力隊の皆さんにDAOマネ勉強会を実施しました。
今回の勉強会では、組織アセスメント分析や人材育成コンサルティングを手がける株式会社ティーブレーン代表取締役の「東矢昌夫(とうや まさお)さん」を講師に迎えました。テーマは、約7万人・700社の分析データに基づく「存在感」と「不安感」の2軸フレームワーク。相手と自分の状態を読み取り、関わり方を意図的にコントロールするコミュニケーション術を共有していただきました。異なる組織や文化の人々と手を取り合いながらプロジェクトを進める協力隊にとって、日々の現場で活きる実践知が詰まった回となりました。
DAOマネ勉強会とは
地域おこし協力隊は、自治体ごとにミッションや環境が大きく異なり、「正解のない仕事」とも言われます。一方で全国各地の現場には、数字では測れない実践知・失敗知・人との関わり方など、再現性のある学びが数多く眠っています。
株式会社あるやうむでは、こうした協力隊員一人ひとりの経験を個人の中だけで終わらせず、横断的な学びに変えることを目的に勉強会を実施。現場で成果を出している実践者自身が語ることで、これから着任する人にも、いま壁に直面している人にも、現実に即した学びの場をつくっています。
今回のテーマ
東矢さんによる今回のテーマは、「周囲をマネジメントする──存在感×不安感の2軸で相手の状態を知る」。
協力隊の活動は、役場の職員、地域の事業者、他の協力隊員など、立場も価値観も異なる人々との協働で成り立っています。だからこそ、円滑なコミュニケーションは地域活性化に欠かせない技術だと言えるでしょう。
前回の「自分をマネジメントする」を踏まえ、今回は一歩進んで「周囲=相手をマネジメントする」が主題です。相手の心の状態を2軸で読み取り、それに応じて関わり方を変える──その考え方と具体策が、実例とディスカッションを交えて語られました。
前提:コミュニケーションは「ドッジボール」か「キャッチボール」か
東矢さんはまず、前回のおさらいとしてコミュニケーションの2つの型を紹介しました。
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ドッジボール型…自分の視点が強く、相手の視点に立てていない状態。相手にボールをぶつけてしまう。
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キャッチボール型…自分の視点を持ちながら、同時に相手がどう考えているかを意識できている状態。
価値観の近い相手ほど油断してドッジボールになりやすく、初対面の人と関わる場面では特に「相手はどう感じるか」を意識することが大切になります。東矢さん自身も「自分の視点が強いタイプ」だと専門家から指摘されており、週1回、心理カウンセリングの有資格者と対話する時間を設けているそうです。「自分の癖は自力では抜け出しにくいので、人の力を借りることも有効」というメッセージが印象的でした。
本編①:なぜ「相手の状態を知る」ことが重要なのか
自己マネジメント(毎日の振り返りでコンディションを整えること)には限界があり、どんなに優れた人でも一人の力だけで成果を出し続けることはできません。1万人の社員を抱える経営者が社員の視点を取り入れる環境づくりに注力するように、「相手の視点をいかに取り入れるか」がマネジメントの核心だと東矢さんは語ります。
相手の状態を把握できれば、自分の振る舞いも変えやすくなります。逆に、状態を知らないまま関わると、次のようなすれ違いが生まれがちです。
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状態が低いときに高い負荷をかける → 不安感が高まり、他責(周囲への矢印)が生じる
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状態が高いのに負荷が少ない → 物足りなさやふてくされにつながる
だからこそ、「状態が低いときは負荷を軽く、高いときは負荷を上げる」のがキャッチボール型コミュニケーションの基本になります。
本編②:日常で使える「存在感×不安感」の2軸フレームワーク
相手の状態を見立てる物差しとして東矢さんが提唱するのが、「存在感」と「不安感」の2軸です。
MBTIやモチベーションクラウドといった既存のアセスメントは、内容こそ精緻なものの、パターンが多く「日常で使うには複雑すぎる」という難点があります。そこで縦軸に存在感、横軸に不安感をとり、相手をざっくり4タイプに見立てます。
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満足群(タイプA):存在感が高く不安感が低い。元気でパフォーマンスが高く、対人関係も良好
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承認群(タイプB):存在感が低く不安感も低い。認められたい欲求がある
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配慮群(タイプC):存在感が高く不安感も高い。周囲への矢印(他責)が向きやすい
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成長群(タイプT):存在感が低く不安感が高い。停滞感があり、言葉も失いがち
このフレームワークは、学校の先生から行政、一般企業、IT、製造業まで業態を問わず約7万人・700社を対象に、23項目の質問で定点測定した分析から導かれました。見えてきたのは、存在感が高く不安感が低い人ほど、ご機嫌に高いパフォーマンスを発揮できているという傾向です。
ただし東矢さんは「これが全てではなく、あくまで日常のコミュニケーションのガイドライン」と位置づけています。
本編③:存在感を上げる「4つのアプローチ」
「褒めて伸ばす」は存在感へのアプローチのひとつ。ただ、褒めるだけでは根拠のない自信を生むだけで不十分だと東矢さんは指摘します。存在感を高める入り口は、次の4つです。
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認知…声かけ・挨拶・名前を呼ぶなど、相手の存在を認める
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反映…相手の行動や発言にリアクションする
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裁量…選択肢を与え、自分で決める機会をつくる
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承認…褒める、部分的に認める
【実践例:終わりの会】
小学校の「終わりの会」のように、1日の振り返りをLINEグループなどで共有する仕組みが効果的だといいます。「今日できたこと・できなかったこと」はどちらを書いてもよく、できなかった人には「そんな日もあるよ」とフォローする。責めずに認め合うことで心理的安全性が高まり、「このグループにいていい」という存在感と信頼関係が育っていきます。不具合や問題が早い段階で表に出やすくなるのも、大きな副次効果です。
会社は「朝礼(朝の会)」を取り入れても「終わりの会」がない組織がほとんど。リモート中心のいまこそ、こうした認め合いの場づくりが効いてきます。
本編④:不安感を下げる「4つのアプローチ」
不安感を下げる入り口も、同じく4つに整理されます。
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見通し…目的・目標を明確にする
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安全…失敗を責めない心理的安全性をつくる
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支援…できないことは人の協力を得る
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公平…役割・評価の透明性を保つ
そのうえで意識したいのが、次のポイントです。
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自分でコントロールできることと、できないことを分ける
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「なぜやるのか」という目的意識を持つと、使命感が生まれ、優先順位もつけやすくなる
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自分にできることを積み重ね、自己効力感を育てる。それが本物の自信の土台になる
ここで東矢さんが強調したのは、目指すべきは「安心感」ではなく「不安感を下げること」だという点。安心感を求めすぎると、かえってリスク管理能力が下がり、天狗になりやすいのだそうです。目的意識という「見通し」を持つことこそが、健全に不安感を下げる鍵になります。
本編⑤:状態に応じた関わり方と「間接マネジメント」
2軸で相手の状態を見立てられると、関わり方を変えられます。
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満足群(存在感が高く不安感が低い)…「その先の世界観はどうですか?」と視座を上げる会話で焚きつける。ビジョンや目的の話でスイッチが入り、期待や負荷を意識的に高めると想定以上の成果につながる
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存在感が低い人…とにかく多く声をかけ、認知してあげる
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不安感が高い・停滞している人…同じ視点に立って一緒に考える。急な変化を求めず、小さな一歩を重ねる
興味深いのが、「間接マネジメント」という視点です。やる気の高いリーダーほど、状態の低い人にも高い負荷をかけてしまい、知らぬ間にドッジボールになりがち。そんなときは協力隊がそのリーダーの「周りにいる人」に代わりに声をかけて認知してあげることで、チーム全体を間接的に整えられる──という実践的なヒントも共有されました。
ディスカッション:参加者の気づき
後半は、参加者が身近な人を2軸に当てはめながらのディスカッション。次のような声が挙がりました。
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にしけんさん:不安感はイメージしやすかったが、存在感の違いは最初わかりにくかった。コミュニティ運営でメンバーが途中で失速する現象と重なって腑に落ちた
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クラフトさん:周囲を巻き込める人ほど存在感が高い。ふるさと会で、一方的に説明する主催者と、積極的に人を巻き込む参加者との違いを実感した
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そうたさん:接している役場の方は満足群だが、地域への自信は低い印象。その部分に不安感が出ているのではと感じた。東矢さんからは「その先にいるメンバーに代わりに声をかけることが、間接的なマネジメントになる」と助言があった
「存在感・不安感の視点は、日常のニュースやドラマ、映画を見るときにも応用できます」と東矢さん。明日から接する人を2軸で観察し、関わり方をひとつ工夫してみる──それが参加者への宿題となりました。
講師紹介

東矢 昌夫(とうや まさお)さん
株式会社ティーブレーン 代表取締役・理想の職場作り勉強会 主催者
兵庫県西宮市出身。関西学院大学を中退し、1998年からニューヨークに移住、2001年に帰国。株式会社Plan Do Seeでゼネラルマネージャーや外部企業のコンサルタントを務めたのち独立し、株式会社ティーブレーンを設立しました。幼少期から学生時代はサッカーに没頭し、キャプテン・副キャプテンを歴任。Plan Do See在籍時に培った「社員のマネジメントで業績に貢献してきた感覚的な経験」を、心理学や教育学の学術的根拠に基づいてプログラム化してきました。人材育成や事業開発のコンサルティング、プロスポーツチームや大学の非常勤講師などを経て、現在は個人と組織が主体的にパフォーマンスを発揮するための個別サポートやプロジェクト型の企業支援に従事。子どもから大人まで、それぞれに合わせて「やってみようと思える気持ち」を育むことに寄り添っています。
【現在の主な肩書】
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株式会社ティーブレーン 代表取締役
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理想の職場作り勉強会 主催者
【活動内容】
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組織アセスメント分析
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人材育成コンサルティング
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評価基準作成
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採用活動サポート
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セールス&マーケティングサポート
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子育て支援
【講師としてのコメント】
この度は、全国の市町村で地域おこし協力隊をされている皆様に、DAOマネ勉強会という場へ登壇させていただき誠にありがとうございました。異なる組織や文化の方々と手を取り合いながら地域活性化のプロジェクトを進めるうえで、コミュニケーション術は欠かせない技術だと感じています。自分の心身の状態や、関わる方々の状態を認識しながら接し方を意図的にコントロールする──その方法をお伝えすることで、皆様の地域貢献活動に少しでもお役に立てればという思いで講師を務めさせていただきました。
採用から教育に関する人材に課題を関わりの質を高めて解決し、人と組織のパフォーマンスを高めたい方は、info@t-brain.co.jpまでお気軽にお問い合わせください。
今後の展望
株式会社あるやうむでは、今後も派遣協力隊員同士が知見を共有する勉強会を継続していきます。各地域で生まれた実践を横断的に活かし、地域全体の価値向上につなげてまいります。
各地域のDAOに参加しませんか?
お住まいの地域や、興味のある地域のDAOにぜひご参加ください!
▼ DAOへの参加リンクはこちら|どなたでも気軽に参加できます。
https://lit.link/alywamu-dao
株式会社あるやうむについて
DAOやNFTによる地方創生を推進するため、全国の自治体向けにふるさと納税NFT/観光NFT/地域おこし協力隊DAOソリューションを提供する、札幌発のスタートアップです。
地域の魅力をのせたNFTをふるさと納税の返礼品にしたり、地域でDAOを運営したりすることを通じて、新たな財源を創出。あわせてシティプロモーションや関係人口の創出にもつなげています。
社名「あるやうむ」はアラビア語で「今日」を意味する言葉。いますぐチャレンジしたい自治体・地域の皆様にNFTという先端技術を提供し、応援され続ける地域づくりを支援します。
株式会社あるやうむ 会社情報
会社名:株式会社あるやうむ
代表者:畠中 博晶
所在地:札幌市北区北38条西6丁目2番23 カトラン麻生302号室
設立:2020年11月18日
資本金:1億6449万円(準備金含む)
事業内容:NFTを活用した地方創生コンサルティング・開発
URL:https://alyawmu.com/
Twitter:https://twitter.com/alyawmu/
Voicy:https://voicy.jp/channel/3545
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