パチンコホール、2020年は「減収」が8割に迫る
新型コロナによる休業・時短営業が影響か
2020年、新型コロナウイルスの感染が拡大し、緊急事態宣言が発出された。飲食店やアパレル小売店など一般消費者を対象とする業界を中心に休業要請がなされ、ぱちんこ業界も多くのホールでこれに応じた。また、新型コロナの影響で予定されていた新規則への完全移行期限は延長されたものの、従前から射幸性の高さによるギャンブル依存の問題が指摘され、集客に苦戦するなど業界環境は厳しく、倒産の増加も懸念されてきた。
<調査結果(要旨)>
売上高合計の推移:前年比12.9%の大幅減少
直近3期連続で業績が判明したパチンコホール経営業者1691社の『売上高合計』の推移をみると、2018年の売上高合計は15兆3579億円 だったが、2020年は13兆2374億円となった。2019年は前年比1.1%減であったが、2020年は前年比12.9%減となり、新型コロナによる休業や時短営業、外出自粛などが影響し減収企業が増加したことで売上高合計も2018年からは2兆円以上落ち込む結果となった。
売上高規模別にみると、最も社数が多かったのは『10億円以上50億円未満』(706社、構成比41.8%)。以下、『1億円以上10億円未満』(512社、同30.3%)、『100億円以上500億円未満』(214社、同12.7%)と続き、10億円以上が全体の67.7%を占めた。一方、『1000億円以上』(15社)は全体の0.9%にとどまっている。
地域別にみると、最も社数が多かったのは『関東』(463社、構成比27.4%)で、以下、『近畿』(268社、同15.8%)、『中部』(238社、同14.1%)が続いた。一方、最も社数が少なかったのは『北陸』(60社、同3.5%)、次いで『四国』(65社、同3.8%)となった。
また、都道府県別にみると、『東京』(177社、構成比10.5%)が最多。以下、『大阪』(127社、同7.5%)、『愛知』(122社、同7.2%)が続いた。
『増収』企業の推移をみると、2019年は138社(構成比8.2%)であったが、2020年は40社(同2.4%)と減少した。一方、『減収』企業は、2019年は670社(同39.6%)であったが、2020年は1306社(同77.2%)と大幅に増加した。これまでは厳しい事業環境のなか、各ホールが様々な集客策を講じたことなどで『横ばい』が過半数を占めていたが、新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言発出により、パチンコホールに対しても休業要請がなされたことに加え、その後も外出自粛などにより来客数が減少したことで『減収』が大幅に増加することとなった。
倒産件数の推移をみると、2020年は17件発生。新規則への移行が叫ばれ始めた2016年を境に減少傾向から一変して増加に転じ、2017年は21件、2018年は26件と2年連続で増加していた。その後、新規則への対応期限が迫るなか倒産は増加するのではないかと懸念が強まっていたが、2019年は24件と微減。2020年に入ると新型コロナウイルスの感染が拡大、政府から各種経済支援策が実行されたことで資金繰りが改善し、倒産件数は大幅に減少。足もとでも2021年の倒産件数は6件にとどまっており、3年連続で減少する可能性が高い。
近年、パチンコホールの業界動向を占ううえで、新規則機への対応を避けては通れない。これまで集客に大きく貢献してきたとされる高射幸性遊技機が続々と設置期限を迎え、入れ替えの進捗状況や集客への影響が注目されていた。今回の新規則への対応については、新型コロナ感染拡大および感染防止の観点から、完全移行期限が2022年1月末に延長され、新型コロナで資金繰りが悪化した業者にとっては助け舟になった。
今回判明したホール経営業者の経営環境をみると、業績の悪化が鮮明に表れた一方、倒産件数は減少した。5号機問題とも呼ばれる規制強化のタイミングでは、完全移行年が迫るにつれ倒産件数が増加したため、今回も倒産増加が懸念されていたが、実質無利子・無担保の制度融資など各種支援策がぱちんこ業界にも適用され、資金繰りは改善。倒産抑止につながった。足もとの2021年の倒産件数も現時点で6件にとどまっており、急激な件数増加も考えにくい。一方で、新規則への対応期限を控え、入れ替えに伴う資金需要は都度発生している。
また、従前からの課題である集客および財務体質の改善は引き続き業界全体で取り組まなければならない課題として残っており、アフターコロナを見据え、時代に即した対応をスピーディーに行っていくことが求められている。
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パチンコホール経営業者1691社の売上高合計を見ると、2020年は13兆2374億円となった。2018年は15兆3579億円だったが、以降減少しており2年間で2兆1205億円減少。比率にすると、13.8%減少した
- 売上高規模別にみると、最も社数が多いのは『10億円以上50億円未満』(706社、構成比41.8%)、次いで『1億円以上10億円未満』(512社、同30.3%)となった
- 『増収』企業が40社(構成比2.4%)である一方、『減収』企業は1306社(同77.2%)と2019年の670社から大幅に増加した
- 倒産件数の推移をみると、2020年は17件発生し、2年連続で減少した。2021年は8月末時点で6件発生。前年同期(12件)比で半減しており、3年連続で減少する可能性が高い
売上高合計の推移:前年比12.9%の大幅減少
直近3期連続で業績が判明したパチンコホール経営業者1691社の『売上高合計』の推移をみると、2018年の売上高合計は15兆3579億円 だったが、2020年は13兆2374億円となった。2019年は前年比1.1%減であったが、2020年は前年比12.9%減となり、新型コロナによる休業や時短営業、外出自粛などが影響し減収企業が増加したことで売上高合計も2018年からは2兆円以上落ち込む結果となった。
売上高規模別:10億円以上が67.7%
売上高規模別にみると、最も社数が多かったのは『10億円以上50億円未満』(706社、構成比41.8%)。以下、『1億円以上10億円未満』(512社、同30.3%)、『100億円以上500億円未満』(214社、同12.7%)と続き、10億円以上が全体の67.7%を占めた。一方、『1000億円以上』(15社)は全体の0.9%にとどまっている。
地域別:『関東』が最多の463社
地域別にみると、最も社数が多かったのは『関東』(463社、構成比27.4%)で、以下、『近畿』(268社、同15.8%)、『中部』(238社、同14.1%)が続いた。一方、最も社数が少なかったのは『北陸』(60社、同3.5%)、次いで『四国』(65社、同3.8%)となった。
また、都道府県別にみると、『東京』(177社、構成比10.5%)が最多。以下、『大阪』(127社、同7.5%)、『愛知』(122社、同7.2%)が続いた。
増減収:『減収』が8割に迫る
『増収』企業の推移をみると、2019年は138社(構成比8.2%)であったが、2020年は40社(同2.4%)と減少した。一方、『減収』企業は、2019年は670社(同39.6%)であったが、2020年は1306社(同77.2%)と大幅に増加した。これまでは厳しい事業環境のなか、各ホールが様々な集客策を講じたことなどで『横ばい』が過半数を占めていたが、新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言発出により、パチンコホールに対しても休業要請がなされたことに加え、その後も外出自粛などにより来客数が減少したことで『減収』が大幅に増加することとなった。
倒産動向:3年連続減少の見込み
倒産件数の推移をみると、2020年は17件発生。新規則への移行が叫ばれ始めた2016年を境に減少傾向から一変して増加に転じ、2017年は21件、2018年は26件と2年連続で増加していた。その後、新規則への対応期限が迫るなか倒産は増加するのではないかと懸念が強まっていたが、2019年は24件と微減。2020年に入ると新型コロナウイルスの感染が拡大、政府から各種経済支援策が実行されたことで資金繰りが改善し、倒産件数は大幅に減少。足もとでも2021年の倒産件数は6件にとどまっており、3年連続で減少する可能性が高い。
避けて通れぬ「新規則機対応」もコロナで延長、今後も急激な倒産増は考えにくい
近年、パチンコホールの業界動向を占ううえで、新規則機への対応を避けては通れない。これまで集客に大きく貢献してきたとされる高射幸性遊技機が続々と設置期限を迎え、入れ替えの進捗状況や集客への影響が注目されていた。今回の新規則への対応については、新型コロナ感染拡大および感染防止の観点から、完全移行期限が2022年1月末に延長され、新型コロナで資金繰りが悪化した業者にとっては助け舟になった。
今回判明したホール経営業者の経営環境をみると、業績の悪化が鮮明に表れた一方、倒産件数は減少した。5号機問題とも呼ばれる規制強化のタイミングでは、完全移行年が迫るにつれ倒産件数が増加したため、今回も倒産増加が懸念されていたが、実質無利子・無担保の制度融資など各種支援策がぱちんこ業界にも適用され、資金繰りは改善。倒産抑止につながった。足もとの2021年の倒産件数も現時点で6件にとどまっており、急激な件数増加も考えにくい。一方で、新規則への対応期限を控え、入れ替えに伴う資金需要は都度発生している。
また、従前からの課題である集客および財務体質の改善は引き続き業界全体で取り組まなければならない課題として残っており、アフターコロナを見据え、時代に即した対応をスピーディーに行っていくことが求められている。
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