世界初、コンソーシアムによる舶用水素エンジンの陸上運転に成功しました

~3社技術の結集により、船の脱炭素化で世界をリード~

NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/次世代船舶の開発」の委託事業で、川崎重工業株式会社(以下、川崎重工)、ヤンマーパワーソリューション株式会社、株式会社ジャパンエンジンコーポレーション(以下、ジャパンエンジン)の3社は、「舶用水素エンジンおよびMHFS※1の開発※2」(以下、本事業)を推進しています。

このたび、本事業による世界初の取り組みとして、実証用の液化水素燃料供給設備(以下、本設備)をジャパンエンジン本社工場内へ新たに設置し、舶用水素エンジンの陸上運転に成功しました。

図1 関係者によるテープカット式

1.グリーンイノベーション基金事業について

日本政府は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を全体としてゼロにする目標を掲げました。この目標は従来の政府方針を大幅に前倒しするものであり、実現するにはエネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションなど、現行の取り組みを大きく加速させる必要があります。このため、経済産業省はNEDOに総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などを研究開発・実証から社会実装まで10年間継続して支援するグリーンイノベーション基金事業(以下、本基金事業)を立ち上げました。

本基金事業はグリーン成長戦略※3で実行計画を策定している重点分野を支援対象としています。また、令和4年度第2次補正予算により3000億円が積み増しされており、令和5年度当初予算により4564億円が積み増しされました。

なお、NEDOは本基金事業の取り組みや関連技術の動向などをわかりやすく伝えていくために、「グリーンイノベーション基金事業 特設サイト※4」を公開しています。

2.今回の成果

「舶用水素エンジンおよびMHFSの開発」において川崎重工が製造した3社共用の本設備は、液化水素を貯蔵してガス化し、各社のエンジンへ、高圧または低圧で水素燃料を供給します。これにより、2ストローク主機関および4ストローク補機関、もしくは電気推進船向けの4ストローク主発電機関といった、実船でのさまざまな用途を想定するとともに異なるポートフォリオを満足したエンジンの運転を可能としています。

そして、川崎重工とヤンマーパワーソリューションは、下表の中速4ストロークエンジンにおいて、ゼロエミッション化を目指した水素燃焼※5を実現させ、所定の出力で運転できることを確認しました。今後は、性能確立を目指し、開発を継続してまいります。また、ジャパンエンジンが開発している低速2ストロークエンジンは2026年春頃の運転開始に向け、現在順調に開発を進めております。なお、3社のエンジンに共通した特徴は、GHGの大幅な削減が見込まれるとともに、水素とディーゼル燃料を切り替える二元燃料仕様により冗長性を確保していることです。

川崎重工製

ヤンマーパワー

ソリューション製

ジャパンエンジン製

種類

中速4ストローク

エンジン

中速4ストローク

エンジン

低速2ストローク

エンジン

型式

8L30KG-HDF

6EY22ALDF-H

6UEC35LSGH

機関回転速度

720min-1

900min-1

最大167 min-1

定格出力

2600kWm

800kWm

最大5610kW

図2 液化水素燃料供給設備外観
図3 川崎重工製エンジンの外観
図4 ヤンマーパワーソリューション製エンジンの外観
図5 ジャパンエンジン製エンジンの完成予想図

3.今後の予定

本事業は、陸上での実証試験を経て、今後、船社・造船所と協力し、それぞれの実船実証運航を行い、社会実装につなげていきます。川崎重工、ヤンマーパワーソリューション、ジャパンエンジンの3社は、国産メーカーとして技術を結集することで、将来的な水素燃料船の普及拡大をリードし、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けて貢献してまいります。

※1 MHFS

   Marine Hydrogen Fuel System(舶用水素燃料タンクおよび燃料供給システム)のことです。

※2 「舶用水素エンジンおよびMHFSの開発」

   参考資料:グリーンイノベーション基金事業/次世代船舶の開発

※3 グリーン成長戦略

   日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を、経済と環境の好循環につなげるための産業政策とし      

て、2021年6月18日、経済産業省が関係省庁と連携して、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し ました。

※4 グリーンイノベーション基金事業 特設サイト

※5 着火に用いる少量のディーゼル油以外は、全ての燃料を水素とした(エンジンにおける)燃焼

【参考リンク】

舶用水素燃料エンジンの共同開発に合意 (2021年4月27日)

「HyEng 株式会社」設立のお知らせ (2021年8月2日)

「舶用水素エンジンおよびMHFS の開発」がNEDO グリーンイノベーション基金事業に採択~ゼロエミッション船の実現に向け前進~(2021年10月26日)

ヤンマーホールディングス株式会社

ヤンマーホールディングス株式会社

1912年に大阪で創業したヤンマーは、1933年に世界で初めてディーゼルエンジンの小型実用化に成功した産業機械メーカーです。「大地」「海」「都市」のフィールドで、エンジンなどのパワートレインを軸に、アグリ、建機、マリン、エネルギーシステムなどの事業をグローバルに展開。環境負荷フリー・GHG フリーの企業を目指し、顧客価値を創造するソリューションを提供しています。未来を育むヤンマーの価値観「HANASAKA」を基盤に、“A SUSTAINABLE FUTURE-テクノロジーで新しい豊かさへ。-”をブランドステートメントとして掲げ、持続可能な社会を実現します。詳しくは、ヤンマーのウェブサイト https://www.yanmar.com/jp/about/をご覧ください。

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会社概要

URL
-
業種
水産・農林業
本社所在地
大阪府大阪市北区茶屋町1-32 YANMAR FLYING-Y BUILDING
電話番号
-
代表者名
山岡健人
上場
未上場
資本金
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設立
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