アスクル、花王・コクヨと共同で「発注量の平準化に関する実証実験」を実施
~独自のAIを活用、サプライヤーへの発注量の検証でCO2を5.1トン、輸送台数を205台削減等の成果~
本実証実験は、2019年に掲げた「ホワイト物流」推進運動の自主宣言の取り組みの一つで、当社からサプライヤーへの商品発注量を平準化し物量の波動を吸収することにより、輸送車両台数とCO2排出量の削減を目指すものです。2022年4月から2023年1月までの期間、アスクル・花王・コクヨと共同でEC事業者起点の独自AI を用いた需要予測・需要変動を取り込み、発注量を平準化する実証実験を段階的に行いました。その結果、輸送車両台数とCO2排出量の削減などの成果を得ました。
■「発注量の平準化に関する実証実験」実施の背景
昨今のEC物量拡大に伴い、2024年問題で注目を集める人手不足のみならず、トラック輸送急増によるCO2排出量増加が顕著になり、企業にとって生産効率の向上やCO2排出量削減への取り組みが喫緊の課題となっています。
従来、アスクルで採用していた発注方法は一般的な小売業と同様、消費者の需要変動に応じて「必要なモノを・必要な時に・その都度発注する」ものでした。この方法では、発注量が需要に応じて変動するため日々の発注量が一定ではなく、サプライヤーはばらつきのある発注量に合わせて庫内作業を行わなければなりませんでした。また、車両もその都度手配するため、トラックの増台対応をする日もあれば、低積載となり結果的にトラックの空きスペースが多い日も発生するなど、サプライヤー側の出荷・輸送工程が非効率であることが大きな課題でした。また、アスクルも日々変動する入荷量に対して受け入れ作業を行う必要があり、サプライチェーン全体の生産性低下につながっていました。さらに、このような低積載の輸送を行うことで無駄なCO2を排出していました。
そこで今回、物量平準化による輸送車両・CO2排出量削減を目的として、アスクルからサプライヤーへの発注量を平準化する取り組みを開始しました。
■実証実験の概要
当社は、「ホワイト物流」推進運動(※1)に賛同し、2019年に持続可能な物流の実現に向けた「自主行動宣言」を提出しています。今回の「発注量の平準化に関する実証実験」は、自主行動宣言の項目の一つであり、当社からサプライヤーへの発注量を平準化することで、輸送車両台数とCO2排出量の削減を目指すものです。
発注量の平準化を実現するにあたり、アスクルがEC事業者起点でAIを活用した「発注量平準化のシステム」を開発しました。本システムに、サプライヤーの使用する輸送車格(4トン車、10トン車等)と各車格で輸送できる物量(積載可能才数)を取り込み、1週間分の需要予測・需要変動のデータと突き合わせてアスクルからサプライヤーへ発注。発注量を「輸送車両の車格単位での発注量」としたことで、発注の時点で高積載となる仕組みを確立し、発注量の平準化を検証しました。
<実証実験期間>
●2022年4月~2023年1月まで(花王、コクヨ、アスクル)
<各社の役割>
●花王:出荷サプライヤー ●コクヨ:出荷サプライヤー ●アスクル:発注者
(※1)「ホワイト物流」推進運動とは、国土交通省・経済産業省・農林水産省が参加を呼び掛けている運動で、深刻化が続くトラック運転者不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与することを目的とし、「トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化」、「女性や60代以上の運転者等も働きやすい、より『ホワイト』な労働環境の実現」に取り組む運動のこと。
■実証実験の成果
本実証実験を通じて発注量の平準化を図ったことにより、輸送に用いる車両数を削減し、同一の物量に対して排出CO2を削減させる成果を得ました。また、輸送する物量の平準化でトラック積載率が向上し、サプライヤー・当社物流センターの庫内作業も効率化しました。これを受け、当社は2023年2月より本実証実験を他サプライヤーにも展開し、取り組みを拡大しています。
<年間試算結果>
期間:2022年5月21日~2023年4月20日
対象アスクル物流センター:名古屋センター、DCMセンター
① CO2排出量を5.1トン削減 ② トラック台数を削減:4トントラック158台、10トントラック47台削減 ③ トラック積載率が68.0%から69.7%に向上(1.7%改善) (対象品が重量物ではないため、容積で積載率を算出) ④ サプライヤー・アスクル物流センターでの庫内作業の効率化 〔花王・コクヨ(サプライヤー)〕 出庫、仕分け作業の効率化 〔アスクル(荷主)〕 物流センター内での入庫、在庫化作業の効率化 |
アスクルは今後も「エシカル e コマース」を目指し、サプライチェーン全体における 環境負荷・労働負荷低減に向けた取組みを通じて、サステナブルな社会の実現に向けて着実に取り組んでまいります。
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